【スバル XV 試乗】運転大好きなスバルユーザーが、求めているものはこれなのか?…岩貞るみこ

試乗記 国産車
スバル XV
スバル XV 全 8 枚 拡大写真

いいところ、ついてくるなあ。最低地上高はSUVでは必須といえる200mmを保ちながら、全高は1550mmと控えめ。おかげで、圧迫感のないすらりとしたスタイルが成立している。

ヘッドライトまわりのデザインは、オフだけでなくオンロードも任せてと言わんばかりのシャープさで、まなざしには、ほんのりと色気がある。乗った感じも、いつものスバルらしい、誠実でしっかりとした手ごたえと反応。ハンドルをきったときの、ボディがよれることなく自然に曲がり始めるリニアさは、いつもながらほっとする。特にこの『XV』の場合、足回りのタッチがほんの少し柔らかく仕上げられていて、乗員をやさしく受け止めてくれる安心感がたまらない。

ただし、問題はインテリアである。センターパネルあたりデザインの武骨さは、どうにかならないものなのか。外観にあしらわれたこの色気を、どうしてインテリアでは出せないのだろうと、首をひねりたくなる。しかも、センターパネルにはカーナビの上に、マルチファンクション・ディスプレイなるカーナビの半分くらいの画面がはめ込まれているのだが、これが「うるさい」。

画面からいろんなものが発せられていて情報過多なのである。カーナビに地図情報やら、標識情報(アイサイトのカメラで読むのではなくカーナビに組み込まれている)が表示され、さらにこのマルチファンクション・ディスプレイから、同じように標識情報やら高速のインターチェンジ情報やら(カーナビとほぼ同じ内容)、クルマの状態やら、前車追従中の情報やらが発せられ、さらにもうひとつ、速度計とタコメータのあいだに、マルチインフォメーション・ディスプレイがあって、レーンキープ・アシストの情報などを伝えてくれる。

いや、走行中にそんなに一気に伝えられても、どこを見ていいやらわからないぞ。そもそも運転は、前方や周囲を自分の目で確認して運転するもの。これら情報はアシスト機能であって、出しゃばっていいものではないはずなのに。由緒正しき運転大好きなスバルのユーザーが、求めているものはこれなのか?

情報の重要性、そして、シビアな環境のなか、なにをどの順番でどう伝えると理解し、安全な運転に導けるのか、HMI(Human Machine Interface)。もう一度、考えていただきたい気分である。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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