「藤吉さんが好きな笑いを、商売にしてみませんか?」
舞台は明治後期。笑うことを禁じられた京都の老舗薬問屋「藤岡屋」に生まれたヒロインが、笑いをこよなく愛する旅芸人・藤吉と出会い「笑って生きる」ことに人生の希望を見出し、日本中を笑いにつつむべく大冒険を始める……2017年10月2日からスタートするNHK朝の連続テレビ小説「わろてんか」のストーリーだ。ストレートに“笑い”をテーマとする本作は、幅広い層に向けたポジティブなメッセージにあふれている。
ヒロイン「藤岡てん」役の葵わかなさん、夫の「北村藤吉」役の松坂桃李さんに本作の見どころ、撮影への意気込みを聞いた。
てんは「陽」の気持ちが100%…葵わかなさん
----:今回『わろてんか』のヒロインに決まった時のお気持ちは?
葵わかなさん(以下、敬称略):実は『わろてんか』のオーディションを受けた時は、手応えを1ミリも感じていなかったんです(苦笑)。なのでヒロイン発表の前日まで、自分がてんちゃんを演じることをまったく想定していなかったので、純粋に驚きました。しかも、ヒロインに選ばれたことを知ったのは、オーディションの最終面談と聞いて臨んだ場で発表されるというサプライズ演出だったので、余計にウソじゃないかと思って。「へ?」っていう気持ちのまま、固まってしまいました。
その日はそのまま、「え?ホント?え?」っていうハテナが頭に浮かんだままひと晩を過ごし、翌日にヒロイン発表の記者会見に臨みました。それでもまだ実感がなかったのですが、その後、両親や友達、これまでお仕事でご一緒した方々から、「よかったね」「すごいね」って連絡が来て、ようやく本当のことなんだと実感しました(笑)。
それから“朝ドラのヒロイン”ってこんなに周りの方々に喜んでもらえるものなんだって、ジワジワとうれしさが込み上げてきて…。その時になってようやく初めて、喜びや感動がやってきました。
----:ご自身の役柄についての印象や、演じるうえで楽しみにしていること、役のここに注目してほしいという点などがあれば教えてください。
葵:台本から感じたてんの第一印象は、明るくて、笑い上戸で、きっと表情がコロコロ変わる女の子なんだろうなということ。そこから撮影が進むにつれて、表面に出ている部分だけじゃない、その「心」を感じるようになってきました。「てんちゃんって実はこういう人なんだ!」っていう気づきが日々ありますね。例えば、ドラマでは藤吉さん(松坂桃李)の母・啄子さん(鈴木京香)から、とても厳しく当たられるんですが、それでも笑顔を絶やすことはありません。そういった時でもてんが笑っていられるのは、すべてを受け止める「大らかさ」があるからだと思いますし、他人の良いところを見つけていつの間にか好きになり、その人を「笑わせてあげたい」とまで思える強さがあるからだと思います。そういった、目には見えない部分を大切に演じていきたいと思います。
そして、てんとして生きるうえで大事にしたいのは、いつも人に対して純粋な心でいること。てんは「陽」の気持ちを100%持っているんです。言い方を間違えれば皮肉に聞こえるようなセリフも、てんだからまっすぐ相手に届けられるし、そこに心を打たれる人がいるんだと思います。てんは気持ちの浮き沈みが激しいけれど、「素直に笑える」ことが、演じていて何より楽しいですね。
やはり芸事はとても難しいです!…松坂桃李さん
----:ご自身の役柄についての印象や、演じるうえで楽しみにしていること、役のここに注目してほしいという点などを教えてください。
松坂桃李さん(以下、敬称略):藤吉という人物は、とにかく気持ちがまっすぐな男です。お笑いの道で一番をとりたい、てっぺんまでいきたいと、目標に向かって、がむしゃらにいろいろな芸に挑戦していきます。手品や太神楽をしたり、屋根の上で歌舞伎の見栄を切ったり…でも全然ウケないんですよね(笑)。自分には芸の才能がないということがわかる。逆に言えば、芸の才能がなさすぎて、裏方へ回ろうと決心がつくんです。
寄席経営を決断するシーンで、てん(葵わかな)から「藤吉さんには人を笑わせたいという気持ちがあるじゃないですか」と言われるんです。藤吉にはその気持が子どものときから色あせずにあったからこそ、ふたりで寄席をやろうと決心することができたんだと思います。
そして実際にやってみると、やはり芸事はとても難しいです! だからこそちょっとでも上手にできると楽しくなってくるんですよね。その芸を、こども時代のてんちゃん(新井美羽)や、葵わかなさん演じるてんに笑ってもらえるとよりうれしくなります。
----:収録に参加されてみて、現場の印象は?
松坂:実際に笑いの力を実感しているところです。収録が押していて、現場の雰囲気がピリピリするときがあるのですが、そこに少しでも笑いがあるだけで、「よし頑張ろう!」と前向きになれたり、皆の気持ちをやわらかくしてくれたりするんです。そういう力が笑いにはあるということを実感しています。
大阪編の寄席のシーンの収録からは、いよいよ本物の芸人さんたちが演じるキャラクターが登場するんです。「まったく面白くない芸人」という役どころの万丈目吉蔵を演じられる藤井隆さんや、興行界の風雲児と呼ばれる寺ギン役の兵藤大樹さんなど、実際に芸人として活躍されている方々がどういう芝居をされるのか、そしてどんな笑いの現場になるんだろうと未知数なだけに、僕も楽しみだったりします。
毎日の生活になじむようなドラマに(葵さん)
偉大な“笑い”の力を味わって(松坂さん)
----:放送を楽しみにしている視聴者の方々へのメッセージをお願いします。
葵:このドラマの魅力は、展開がとっても早いところです。京都の薬種問屋のお嬢様として育ったてんが、気づけば大阪の米問屋で女中さんの格好をして働くようになったりと、どんどん変化していきます。その過程のなかで蓄えた経験のひとつひとつを生きる力に変えて、大人になっていくてんを演じていきたいですね。
また、舞台が京都から大阪になると、お笑い芸人さんもたくさん出てきます。あまりにおもしろいので、リハーサルから普通に笑っちゃうんです。『わろてんか』には、いろいろな世界観が存在していて、それがひとつにつながっていくのも面白いなぁと思います。あまりにも目まぐるしくて、ついていくのが大変なくらいですが(笑)。
慌ただしい朝の時間にもさらりと見られるけど、どこかクスッと笑えるような、視聴者の皆さまの毎日の生活になじむようなドラマになるとうれしいですね。ぜひ、楽しみに待っていてください!
松坂:ここまでストレートに“笑い”をテーマにしたドラマは、今までにも、そしてこれからもあまりないような気がします。ドラマには本物の芸人さんもどんどん登場してきますし、毎朝一日のはじまりに『わろてんか』を観てひと笑い、ニヤリでもいいので笑っていただきたいです。笑うことで人は元気づけられたり、気持ちが楽になったりするので、偉大な“笑い”の力をみなさんに味わってほしいです。
さらに今回、撮影風景をおさめた360度動画を入手した。明治時代を再現した街並み、葵さん演じるてんや、松坂さん演じる藤吉の生き生きとした“笑い”ある現場の雰囲気を、放送に先駆けてぜひお楽しみあれ。
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