『SLばんえつ物語』新津発着に変更へ…JR東日本、高架化で新潟駅乗入れを中止

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磐越西線のSL列車『SLばんえつ物語』。2018年春にも新潟駅乗入れが中止されることになった。
磐越西線のSL列車『SLばんえつ物語』。2018年春にも新潟駅乗入れが中止されることになった。 全 3 枚 拡大写真

信越本線・磐越西線の新潟~会津若松間を結ぶJR東日本のSL列車『SLばんえつ物語』の運転区間が、2018年春にも新津~会津若松間に短縮され、新潟駅への乗入れが中止されることが分かった。

新潟駅の高架化に伴い、高架ホームにつながる線路の勾配を走ることが難しいことなどが理由。新潟市の篠田昭市長はJR東日本に乗り入れ継続を要望していく考えを示している。

新潟駅は上越新幹線のホームが1982年11月の開業時から高架化されており、在来線ホームも連続立体交差事業により高架化工事が行われている。2018年4~6月頃には「第1期」として2~5番線の高架化が完了する予定。5番線のホームは新幹線の既設線路(11番線)にも隣接し、上越新幹線と白新線・羽越本線の在来線特急『いなほ』が同じホームで乗り換えできるようになる。「第2期」となる1番線の高架化は2021年度頃に完了する予定だ。

新潟市議会9月定例会の本会議一般質問(9月20日)で、田村要介議員(新市民クラブ)が「現在の『SLばんえつ物語号』が新潟駅には入れない、(地上の線路と高架ホームをつなぐ)スロープが登れないことが原因で、新潟駅から新津駅までの運行は行わないと、最近どこかで耳にした気がする。これは本当か」などと質問。「最新型新幹線がホームに入ってきて、脇でSLが待っている光景。これはまさに『新・新潟駅』の売りだとは思わないか」と主張し、『SLばんえつ物語』の新潟駅への乗り入れ継続を求めた。

これに対して新潟市都市政策部の大勝孝雄部長は「JR東日本によれば、第1期開業後の『SLばんえつ物語号』については、高架橋の勾配による機関車への負担や煙の問題などを総合的に判断し、新潟駅への運行は行わず、新津駅発着になるとのこと」と回答。「発着駅の変更後はリレー号運行の検討を始め、スムーズな乗り継ぎや利便性が維持されるようJR東日本に働きかけていきたい」などとし、乗入れ中止を前提に対応していく方針を示した。

一方、篠田市長は「物理的に登れないということではないと思う。蒸気機関車だけを使う必要はなく、登るときだけ他の車両で押し上げることも可能。JR東日本の意向は聞いたが、これから意見交換を重ねて、いい形にしてきたい」と述べ、乗入れ継続を要望していく考えを示した。

『SLばんえつ物語』は1999年4月から運転開始。新津市(現在の新潟市秋葉区)の小学校で静態保存されていたC57形蒸気機関車180号機を動態復元し、12系客車6両をけん引している。運転区間は磐越西線の新津~会津若松間だったが、2002年からは信越本線に乗り入れて新潟駅発着となり、上越新幹線との接続が図られている。

《草町義和》

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