【アイサイト ツーリングアシスト 試乗】運転支援中はナビもオーディオもオフに? “音”の課題…岩貞るみこ

試乗記 国産車
スバル アイサイト ツーリングアシスト 公道試乗
スバル アイサイト ツーリングアシスト 公道試乗 全 3 枚 拡大写真

今回は、『レヴォーグ』(と『WRX S4』)に採用されたスバルの新型アイサイトである。新たに搭載された技術に、ハンドル制御の進化版がある。自車線内にとどまるように、ハンドルをきってくれるというものだが、これまでは、白線をアイサイトのカメラで読み取って行っていたけれど、今回は、渋滞により先行車の存在で車線が見えにくかったり、さらに白線が消えていても、先行車の走行軌跡から判断して、アシストできる機能が加えられている。

設定された高速道路で試してみると、白線が消えた路面では先行車がいてもキャンセルされる頻度が高く、毎回、謳い文句通りではなかったものの、そのほかにおいては、ハンドルのアシストするタイミングや動かし方、さらに渋滞での先行車追従機能など、ふつうに走らせていてストレスなく使えて本当に役に立つ。毎年の盆暮れ正月や黄金週間など、帰省や子どもの学校が休みのタイミングで長距離を走るドライバーの、非常に強い味方だといえる。

ちなみに、アイサイトの場合は、速度標識は読んでいない。カーナビ画面などに標識と同じ表示が出てくるものの、これはカーナビに組み込まれている情報を出しているとのこと。ステレオカメラがあるのに、なぜ読まないのかと尋ねたところ、いまはコンピュータが、運転支援系技術のためにフル稼働で分析しているのだそうだ。今後(おそらく日進月歩で進化はするだろうから、近い将来)は、アイサイトのカメラでリアルな標識を読んで、なにらかしらの車両制御に活かしてくるものと思われる(予想)。

ところで、今回の試乗で、気になった点をひとつ。それは音。高速道路を走行中によろよろと白線を踏みそうなったらポーンと音がする。もしくは、まっすぐ走っていてもハンドルを離しっぱなしにしていると「ちゃんと持て」とばかりに、ポーンポーンポーンと音がする。この音が小さい。なにに対して小さいのかというと、カーナビの音声案内だ。試乗コースを間違えないようにという配慮から、スタッフが入力してくれた目的地まで案内をしてくれるのだが、この音のほうが大きくて、コーションやアラームが埋もれてしまうのである。ついでに、カーナビはETC2.0もキャッチするタイプゆえ、高速道路上で電波を受信するたびにしゃべることしゃべること。困ったのは、カーナビの音声と、アイサイトのコーションが重なったときだ。音を聞き分けるのに、一瞬、戸惑うのである。

だったら、カーナビやETC2.0の音を小さくしろという話がある。たしかにそうだ。もっと言えば、音声を切ればいいという話もある。そりゃそうだ。でもじゃあ、半永久的にカーナビの音声案内は使わずに過ごせという話になりかねない。音楽はどうだろう。ラジオなども楽しむことに躊躇する気分にさせられる。それよりも心配しているのは現在、スバルに限らずあらゆる角度から事故対策の運転支援システムが研究されており、そのほぼすべてが「音で注意喚起」といっている。すべて採用されてしまったら、いったいどうなるのだろう。優先順位をつけるとか、アラームのときはその他の音を小さくするとか、ほかのアラームのやり方を考えるとか、ぜひ早期実現をお願いしたいです。

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。9月よりコラム『岩貞るみこの人道車医』を連載。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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