ミシンやプリンターでおなじみのブラザーが全く畑違いの製品を参考出品した。それはキャスターがついたワゴン型燃料電池システムで、屋内でも利用でき、カセットボンベをセットするだけで簡単に発電することができる。
同社の多角化ビジネスには定評があるが、このワゴン型燃料電池システムは新規事業部が水素社会実現のために2020年の東京オリンピックに向けて開発したそうだ。大きさは480×800×750mmで、出力はAC100V、700Wだ。
「これまで発電機を置くことができなかったオフィスや店舗などで使用することを考えて開発したものです。こういう移動式のものはこれまでになかったと思います。中にカセットボンベが3本入れられるようになっていて、それを入れ替えていけば、スイッチを切ることなく連続運転が可能です」と同社関係者は説明する。
そのカセットボンベも水素を補充できるようになっていて、半永久的に使える。ただ、非常に重くて高価で1本10万円もする。しかし、この燃料電池システムで発電した電気を使うと、音楽の音がよくなるそうだ。
「当社はジョイサウンドという通信カラオケをグループ会社でやっていて、そこでこの燃料電池システムを使って音楽を流したら、音がずいぶんと良くなりました。電気もつくりたての新鮮なものだと、やはり違うんでしょうか」と同社関係者は笑う。
しかし、まだ課題もあるようだ。その最大のものが価格で、このまま発売するとなると、400万円ぐらいになるという。「これからもっと大きさも小さくして、価格も半分ぐらいにしていきたい」と同社関係者。
同社のブースにはこのワゴン型のほか、設置型の燃料電池システムも展示しており、近い将来販売する予定だ。大きさは860×800×2115mmで、出力はDC380V、4.4kW。こちらもカセットボンベ式で、72時間の連続運転が可能とのことだ。同社では、燃料電池のビジネスを将来の柱の一つにしていこうと考えている。