【スズキ RM-Z450】吸気効率を上げ、全回転域で出力アップ…エンジン設計者談

モーターサイクル 新型車
スズキ RM-Z450(2018年モデル)
スズキ RM-Z450(2018年モデル) 全 31 枚 拡大写真

リズムセクションでフロントを谷間に落としても、エンジンパワーであっけなく車体の姿勢を立て直すことができるし、ミドルレンジより上に回せば凶暴とも言えるパワーを発揮する。新型スズキ『RM-Z450』のエンジンは、全域でますますパワフルだ!

エンジン設計の田中眞司さんに、そのワケを教えてもらった。

「まず、シリンダーヘッドの吸気ポート形状の変更と、ポート内の面粗さ改善により、筒内のタンブルフローを向上しています。タンブル比は従来モデルに対して、全回転域で25%のアップです」(田中さん)

「エアフィルターは開口部を従来モデルより30%拡大し、吸気効率を向上。全回転域での出力向上に貢献しています。エアクリーナーからのアウトレットチューブは、形状を直線的なレイアウトとすることで吸気抵抗を減らし、吸気効率を高めました」(田中さん)

「インジェクターの配置と噴射方向の変更もしています。従来モデルでは、吸気ポートの上側にインジェクターを配置し、吸気ポートに沿うよう下へ燃料を噴射していました。新型では、吸気ポートの下側にインジェクターを配置し、バタフライバルブに向かって上へ噴射することで燃料の霧化を促進しています。燃焼効率の向上と、スロットルレスポンスの向上に貢献しました」(田中さん)

「燃料ポンプの圧力を17%増加させ、燃料の霧化を促進。スロットルボディはリンクレス化し、インジェクターは位置変更による燃料霧化の促進によって、スムーズなスロットル操作にも繋がっています」(田中さん)

吸気カムシャフトのプロファイルも見直された。

「吸気カムシャフトのリフト量を増加し、吸気効率を上げました。全回転域での出力向上に貢献します。出力アップに伴い、ピストンにリブを追加し強度を上げました」(田中さん)

言葉だけでは難しいかもしれない。画像をじっくり見ていただきたい。

「EIMはスロットルポジション、エンジン回転数、ギヤポジションを監視しており、そのデータを用いて、点火タイミングと燃料噴射量を調整し、様々な走行状況に応じて理想的なトラクションを発生できるようエンジン出力を制御します」(田中さん)

トラクション・マネジメントはオンロードバイクに採用されているトラクション・コントロールとは異なり、リアタイヤの空転やスリップは検知しません。ECMのプログラムに沿って作動し、タイヤがスリップしたとしても制御はせず、一定の制御で動作し走行中のトラクションを最大化するように作動します」(田中さん)

2018年式『RM-Z450』は、新型スロットルボディや高圧タイプの燃料ポンプなどの新デパイスと、アップデートされた吸気システムを採用。最新のECMの処理速度は2008年の初期型比で1.6倍になり、メモリ容量は2.5倍となっているそうだ。
これが必勝電子デパイス…ホールショットでレースを有利に
「走る」「曲がる」「止まる」をさらなる高みへ…スズキ RM-Z450チーフエンジニア談
【試乗】コースが狭く感じるほどの凄まじいパワー

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 日産 リーフ 新型をライバルと比較…アリア、テスラ、bZ4Xと何が違う?
  2. 15歳から運転できる「小さいオペル」に興味アリ!「通勤用にこういうのでいいんだよ」など注目集まる
  3. 【スズキ ソリオ 新型試乗】乗り心地と静粛性はクラストップ、だが「損をしている」と思うのは…中村孝仁
  4. ついにハイブリッド化! 新型トヨタ『ランドクルーザー300』の発表にSNSでは「バク売れの予感」など話題に
  5. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  3. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る