同じ燃料噴射装置不良で3度目のリコール、火災の原因に…三菱ふそうトラック・バス

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三菱ふそうによる27日のリコールの改善箇所
三菱ふそうによる27日のリコールの改善箇所 全 1 枚 拡大写真

三菱ふそうトラック・バス(マーク・リストセーヤ社長)のリコールに、リコール対策の「重要性を啓発する」という措置が盛り込まれた。バスやトラックの車両火災防止の焦りが見える。

対象は大型トラック『スーパーグレート』、大型バス『エアロクイーン』『エアロエース』、UDトラックスの大型バス『スペースアローA』『スペースウイングA』の5車種60型式。これらの5車種は、いずれも燃料噴射装置の不具合を改善するために2012年12月、13年10月、そして今回の17年10月にリコールが届け出られた。同じ装置でリコールが度重なるということは異例だ。

今回は新たに「最悪の場合、排気管にたまった燃料が発火して、火災に至るおそれがある」という事象が加えられた。該当車両は当初の約1万3550台から3万2065台に増えた。

運転を続けるうちに、燃料噴射装置に劣化した油分(スラッジ)がたまり固着する。燃料噴射装置が閉じている状態であれば、エンジンは始動しない。逆に開いた状態で固着すると「排気側に燃料が排出され、高温にさらされて発火する恐れがある」(同社広報担当)。同社はスーパーグレートで2台、エアロクイーン/エアロエース2台で、車両火災を確認した。今年9月14日に発生した北海道小樽市の走行中の回送バスで起きたバス火災の原因を特定し、10月27日、リコールを届け出る判断をした。

燃料噴射装置の不具合は、最初のリコールから認められていた。火災は最悪の状態で、多くは煙の発生、エンジン制御のシステム異常の警告灯の点灯が発生し、エンジンが始動しない、逆に吹き上がるという不具合だ。12年のリコールでは、これを燃料ホースから亜鉛が溶け出し、軽油の成分と混じってスラッジを発生させることが原因と考えた。そのため燃料ホースの取り換えがリコールの主な対策だった。燃料噴射装置の対策に乗り出したのは翌年だ。スラッジを除去する洗浄剤を注入し、固着を抑制する機能を追加。ECU(エンジン・コントロール・ユニット)のプログラムも書き換えた。

それでも車両火災は起きた。小樽市のバス火災でスラッジの洗浄は「何度も行わなければならない」(前出・担当者)と結論づけた。リコールでは改めて洗浄剤を使った除去を行い、不具合がわかった装置は新品に交換することにした。

「顧客には真摯に対応する」と、同社広報担当者は話す。リコール後のメンテナンスノートには、洗浄剤による定期的なスラッジ除去が書き加えられることになったので、バス事業者や車両の所有者は注意が必要だ。

関連するリコール届出番号は、3071(2012年)、3244(2013年)、4135(2017年)。

《中島みなみ》

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