【ヤマハ MT-10 試乗】海外ストリートファイター勢に食い込める完成度…佐川健太郎

モーターサイクル 新型車
ヤマハ MT-10
ヤマハ MT-10 全 14 枚 拡大写真

『MT-10』はヤマハが誇るスーパースポーツ、『YZF-R1』がベースのスポーツネイキッドモデルである。R1ベースの水冷直4エンジンはストリート寄りのトルク特性となり最高出力も160psへと最適化。車体も剛性バランスを見直しボディパーツの約6割を専用パーツに変更するなど、単なるR1のカウルレス版には留まらない独自の個性を持ったモデルとして作り込まれている。

【画像全14枚】

“意のままに操れるストリート最強のスポーツ性能”を開発コンセプトに、トラクションコントロールやエンジン出力を選択できる「D-MODE」、クイックシフターなどR1譲りの電子制御に加え、クルーズコントロールも標準装備されるなど幅広いシーンに対応できる仕様だ。試乗したのは上級バージョンの「MT-10SP」で、オーリンズ製電子制御サスペンションやフルカラーTFT液晶メーターなど、MTシリーズの最高峰に相応しいハイグレードな装備が与えられている。

車体はR1ベースということもあり、かなりコンパクトだ。ホイールベースも1400mmとR1よりも短く、車重も210kgとミドルクラス並み。シートもR1より30mmも低い825mmに抑えられ、加えてビギニングが柔らかい前後サスのおかげで足着きも良好だ。また、ハンドルも幅広かつ高めで、ステップ位置も程よくスポーティな位置に設定されるなど、リラックスして乗れるライポジになっている。

エンジンは電子制御スロットルのおかげで開け始めのレスポンスが穏やか。ただ、スロットルを開けていくとR1由来の激しさが顔を出す。クロスプレーン独特のパルスの効いたサウンドとともに怒涛のパワーが湧き出てくる。今回は公道での試乗ということで思い切った走りはできなかったが、それでもちょっとしたコーナーを曲がるときに俊敏なハンドリングの片鱗は垣間見ることができた。

一方でステアリングダンパーが装備されるなど『MT-09』と比べるとより高速域での運動性能を狙っているため、低速では逆に粘っこい手応えも感じられる。前後サスはダンピングが効いたコシのある乗り心地が印象的で、剛性感のある車体とも相まってコーナリングでは路面にピタッと吸い付いたように曲がっていく。以前、クローズドコースで試乗したときはそのパフォーマンスの高さに驚愕した記憶がある。これだけのパワーと性能を十分に生かせる場所は限られてしまうだろうが、その余裕を街乗りで悠々と楽しむのもまた一興だろう。

ちなみに、ライディングモードには4つの設定があり、個人的にはやはり「C」モード(街乗りやツーリング向け)が乗りやすいと思った。トラコンの介入タイミングは遅めで、ABSもかなり突っ込んだ奥で効くなど、あくまでも操る楽しさを重視したライダー主体の電子制御の設定になっている点にも好感が持てる。

いわゆるストリートファイターのジャンルはこれまで海外メーカーの独壇場だったが、MT-10はそこに割って入れる高いパフォーマンスと完成度を持っている。まさに”The King of MT”に相応しい存在感を持ったモデルと言えよう。
■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
ハンドリング:★★★★
扱いやすさ:★★★
快適性:★★★★
オススメ度:★★★★

佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

《佐川健太郎》

佐川健太郎

早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。メーカーやディーラーのアドバイザーも務める。(株)モト・マニアックス代表。「Yahoo!ニュース個人」オーサー。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

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