ドイツ製を上回った! 日本の中小企業が手がけたカーボンプロペラシャフト

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サンレイ工機のブース。様々なローラーの見本に混じってミニカーとプロペラシャフトが展示されていた。
サンレイ工機のブース。様々なローラーの見本に混じってミニカーとプロペラシャフトが展示されていた。 全 3 枚 拡大写真

中小企業モノづくりマッチングの各ブースは小さく区分けされており、1コマの小さなブースを巧みに活用して多彩な展示を展開している。そんな中で2コマを使って商品を展示していたのがサンレイ工機。なぜかと言うと2m以上はある長いローラーを展示していたからだ。

そのローラーに混じって展示されているのは、どう見てもクルマのプロペラシャフト。それもCFRP製の軽量なヤツだ。傍らにはSUPER GTの「GT-R」のミニカーまで飾られているから、どうやらこのマシンに使われているようだ。しかし、どうしてローラーと一緒にプロペラシャフトが展示されているのだろうか?

その場に居たカーボンファイバーメーカーの三菱ケミカル代理店の説明員に尋ねてみると、当初ニスモ(日産自動車のモータースポーツ部門)はドイツのあるメーカーにCFRPプロペラシャフトの製作を依頼したのだが、実際に使ってみると耐久性などに問題が生じてマシントラブルの原因になってしまった。そこで国内で製作できるところを探してサンレイ工機に行き着いたのだとか。

同社はフィルムシートや紙などを生産、加工するための機械に使われるローラーの製作を手がけてきた企業。高い精度で仕上げる技術には定評があったらしい。

ローラーは従来、金属製であったが、液晶TVが大型化するなどに伴ってフィルムも幅が増えていき、精度追求のために更なる剛性要求や高回転化のために軽量化が求められるようになり、三菱ケミカルが同社のカーボンファイバーを利用したローラー、カーボリーダーを製作することを思い付き、高い工作精度を誇るサンレイ工機をパートナーに開発して製品化したらしい。

こうしてローラーでは実績があったことから、件のCFRP製プロペラシャフト製作を製作する際にも白羽の矢が立った、という訳だ。トランスアクスルのためエンジンと同回転で回るプロペラシャフトは1万回転、500psオーバーの出力に耐えるだけの強度と信頼性が要求される。それを見事にクリアしたサンレイ工機製のプロペラシャフト。今ではレクサスのSUPER GTマシンにも採用されているそうだ。

《高根英幸》

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