【VW アルテオン 試乗】プレミアム・セグメントのライバル勢に勝るものは…丸山誠

試乗記 輸入車
VW アルテオン Rライン 4モーションアドバンス
VW アルテオン Rライン 4モーションアドバンス 全 20 枚 拡大写真

『アルテオン』はVWのフラッグシップモデルとして登場。事実上、従来の『CC』後継モデルとなり、4ドアクーペのスタイリングを持つグランドツーリングだ。

プラットフォームは、上級セダンの『パサート』と同じモジュラータイプのMQBを採用。ただし、パサートのホイールベース2790mmに対し、アルテオンは2835mmと45mmも拡大されている。

全長4865mm、全幅1875mm、全高1435mmとボディサイズはパサートよりも一回り大きく、車高は30mm近く低い。ワイド&ローのプロポーションでボンネットから続くキャラクターラインがとても美しい。

プロから見ると加工が難しいプレスラインやボディパネルの合わせ目など、プレミアムな仕上がりになっていることはわかる。だが、フロントグリルのデザインを含めてライバルに勝る迫力が希薄なのが残念。

シンプルなデザインのなかでプレミアム感を追求したのはVWらしいが、それが直観的に伝わりづらいように思う。

これはドライビングシートに座っても同じで、いつものVWらしいシンプルなデザイン。アウディと同じフルディスプレイの12.3インチのメーターを採用し、センターコンソールには手の動きで操作できるディスカバープロも備えるが、基本デザインはVWに共通する。

特にエアコンのコントロールパネルの丸いボタンが3つ並ぶ感じは、『ゴルフ』などと同じテイストだ。フラッグシップモデルならもう少し特別感があるデザインにしたほうがいいと思うのだが、VWファンはこれで納得するのだろうか。

動力性能は申し分ない。パワートレーンは、2リットル直4ターボの2.0TSIエンジンに4輪駆動の4モーションを組み合わせたモデルのみが日本に導入されている。最高出力280馬力、最大トルクは350Nmを1700から5600回転まで発揮する。そのため、どの走行モードを選んでいてもアクセルを踏み込めば、ターボらしい太いトルク感がありスポーティな加速が楽しめる。

走行モードのスポーツを選んで停止状態から全加速すると、1速から2速へのシフトはMTで叩き込むようなショックがある。これがスポーティさを演出するものなのか、単純に制御が粗いのかはわからないが、トランスミッションは『ゴルフR』と同じ湿式7速DSGでダイレクト感のある変速だ。

高速道路でのコーナリングは低重心のためか狙ったラインをトレースしやすく、4モーションらしく路面をとらえている感じが伝わってくる。コーナリングスピード自体も高く、4ドアクーペらしいスポーティさを実現している。

残念なのは高速道路でのレーンキープの性能だ。停止制御までするACCや自動ブレーキももちろん備えるが、手を添えているだけで走行レーンをどこまでも進むというフィールではない。

直線でも手を添えているだけではレーン中央をキープしないことがあり、ゆるいカーブではアウト側に動きつつ車線を認識するとステアリングアシストがされる。それでセンターにキープされればいいのだが、今度はイン側に操舵されやすく、またアシストされる。

フラッグシップモデルとしては、もう少し緻密な制御にしたい。あくまで現在はアシストだが、メルセデス・ベンツの『Eクラス』やBMW『5シリーズ』の性能を考えると物足りなく感じてしまう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

丸山 誠|モータージャーナリスト/AJAJ会員
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。

《丸山 誠》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  2. BEVを2年間所有した、“リアルな”ランニングコストを大公開
  3. 日産の新型セダン『N7』、発売50日で受注2万台を突破
  4. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
  5. VW『ゴルフGTI』50年の歴史で最強、325馬力の「EDITION 50」発表
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  3. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
  4. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  5. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
ランキングをもっと見る