札幌駅の新幹線ホーム地下案、北海道と札幌市は「検討中」…断念報道で

鉄道 行政
年頭会見で、JR北海道への支援問題や、札幌駅の北海道新幹線ホーム建設問題に触れた、高橋はるみ北海道知事。
年頭会見で、JR北海道への支援問題や、札幌駅の北海道新幹線ホーム建設問題に触れた、高橋はるみ北海道知事。 全 1 枚 拡大写真

北海道の高橋はるみ知事は、1月4日に行なわれた年頭の記者会見で、JR北海道に対する支援や、札幌駅の北海道新幹線用ホーム建設問題に対する見解を示した。

JR北海道への支援に関しては、昨年12月6日、JR北海道再生推進会議から「これ以上の時間の浪費は許されない」とした、最後通牒とも言える声明が発表された。この声明は、会議のメンバーである高橋知事抜きで出されたことから、道が主体的に支援を行なうことを突きつけられる形となった。

その後、道は、12月18日に高橋知事が石井啓一国土交通大臣に対して、JR北海道へのさらなる支援を要請。旧国鉄職員への年金財源に充てられている、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)の「特例業務勘定」を、鉄道施設の保守や車両製造などに活用するよう要望した。

一方、12月14日に開催された、2017年最後の北海道議会定例議会では、JR北海道の路線見直し問題を集中審議する特別委員会「北海道地方路線問題調査特別委員会」を設置する決議案が可決され、「待ったなし」の路線見直しに本格的に取り組む姿勢が示された。

これらの動きを受けて、高橋知事は年頭の会見で、特別委員会の設置に対して「大変心強く思っているところでございます」とした上で、「1月11日から議論を始めていただくということでありまして、私どもとしても大いに真摯(しんし)に議論を深めていかなければならないと思っているところでございます」と述べ、特別委員会とともにJR北海道問題の解決へ本腰をあげる姿勢を示した。

また、高橋知事は、昨年12月28日に札幌駅の北海道新幹線用ホーム地下建設案が、工事費の問題で断念されたという報道が流れたことに対して、「12月中旬に道、札幌市、鉄道・運輸機構、JR北海道の四者における事務レベルで議論した結果について報告を受けましたが、『地下案』について検討の対象から外すという説明はなかったというふうに報告を受けている」と述べ、「鉄道・運輸機構、JR北海道という技術の専門組織の間で、どの案で地元の自治体、すなわち道や札幌市へ相談するかということを決着して、提示いただきたい」と要望。札幌市の新たなまちづくりの観点からも、この点を鉄道・運輸機構やJR北海道に対して、強く申し入れる考えであることを示した。

この問題は、札幌市の秋元克広市長も年頭の会見で触れており、「最終的な判断までには至っていないので、今後さらに検討を進めたい、そういう報告があったというふうに聞いています」と述べており、高橋知事と同じ認識を持っている模様だ。

ただ、秋元市長は、具体的な検討状況が明らかにされていないことを憂慮しており、「2030年度に新幹線が札幌までの開業ということにしても、2020年ぐらいまでにはさまざまな都市計画決定の手続きに入らなければいけないということになりますので、そう残された時間というのはありません」と述べ、今年の早い時期に方向性を定めないと、2030年度の開業には間に合わないのではないかという見解を示している。

札幌駅の北海道新幹線用ホームについては、JR北海道が当初の1・2番ホーム転用案に対して、在来線乗入れ問題を理由に難色を示しており、地下ホーム案や東側ホーム案が俎上に載っている。しかし、どの案も工事費や利便性といった点で決定打に欠けた状態になっている。高橋知事、秋元市長ともに地下案の検討は継続中という認識を示していることから、この問題はしばらく膠着状態が続きそうな気配だ。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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