【グッドイヤー エフィシエントグリップ 試乗】ウエット路面でも絶大な安心感と優れたコントロール性…片岡英明

試乗記 国産車
グッドイヤー エフィシエントグリップ 試乗会
グッドイヤー エフィシエントグリップ 試乗会 全 23 枚 拡大写真

日本グッドイヤーは、「Efficient Grip(エフィシエントグリップ)」シリーズ プレミアムセグメント向けの2製品を2月1日に発売した。

エフィシエントグリップは、そのネーミングが示すように「効率よくグリップ」する、グッドイヤーのコンフォートカテゴリーに属する低燃費タイヤブランドだ。このエフィシエントグリップは「「E-グリップ」の略称で親しまれている。日本市場では2015年に、E-グリップ・パフォーマンス、E-グリップ・エコEG01、E-グリップSUV HP01という3パターンが発売された。

新たに加わったのは、「イーグルLSエクゼ」の後継となる「E-グリップ・コンフォート」とクロスオーバーSUVに最適な「E-グリップ・パフォーマンスSUV」の2パターンだ。Eグリップ・コンフォートはプレミアムセグメントの乗用車向けのタイヤで、輸入車に乗っているユーザーもターゲットにしている。どちらのタイヤも「喧噪を、置き去りにしよう」がキャッチフレーズだ。走りだけでなく、快適性と静粛性も徹底追及した。

ワイドバリエーションを誇るE-グリップ・コンフォートは、高い静粛性とシャープなハンドリングを高次元でバランスさせたタイヤで、プレミアムセダンのユーザーやインチアップユーザー、快適性にこだわるコンパクトカーのユーザーには最適である。

静粛性を高めるために採用したのが、ショルダーブロックのピッチ数を最適化した新アシンメトリーパターンだ。ショルダーピッチの数はイーグルLSエグゼの69に対し、78と13%も増えている。路面からの叩き音を分散しているから、パターンノイズは28%、ロードノイズも7%低減したと言う。また、専用のショック吸収構造を採用し、上質な乗り心地を実現した。マルチプルリブデザイン、ラウンドプロファイルの採用により、路面追従性も向上している。

論より証拠、日本自動車研究所の特設コースで実力をチェックしてみた。試乗当日は雨に見舞われる悪条件だったが、比較したイーグルLSエグゼとの違いははっきり分かる。騒音と振動性能をチェックするため、『マークX』で波打った路面や段差を走ってみた。違いが分かりづらいかな、と思ったが、E-グリップ・コンフォートは荒れた路面でも快適だ。走り出した直後からパターンノイズが小さく感じられるし、通過時の水はね音も小さい。また、段差の乗り越えでもガタゴトとしたハーシュネスや振動が上手に抑え込まれている。乗り心地も1ランク上の印象だ。

これに続くスラローム走行では、排水性のよさを確認できた。路面に対する追従性がよく、ウエット路面でもコントロールしやすい。ただし、初期の応答性、キレのよさはイーグルLSエグゼのほうがスポーティで軽快だ。だが、大きく転舵したり、切り込んだときの動きがよく、接地フィールも優れているなど、扱いやすさが光る。快適性とハンドリングの妥協点が高く、安心感のあるタイヤだ。

次に試乗したのはE-グリップ・パフォーマンスSUVである。併売する「E-グリップSUV・HP01」よりオンロード性能を重視したタイヤで、開発はグッドイヤーのルクセンブルグ・イノベーション・センターで行った。1万時間を超える時間をかけて開発したグッドイヤー渾身の力作なのである。ターゲットは、乗用車ベースのプレミアム・クロスオーバーSUVに乗っているユーザーだ。

こちらも静粛性と乗り心地を徹底追及したコンフォート性能の高いタイヤで、ハンドリング性能だけでなくウエット路面でのブレーキ性能も大きく向上させた。ノイズを抑え込むために接地形状を最適化し、接地圧を上手に分散させている。また、ブロックピッチ数を増やし、配列を最適化してショックとピッチノイズを低減しているのも特徴だ。

試乗車は高い静粛性が自慢のハイブリッド車、レクサス『RX』450hである。EグリップSUV・HP01と比較してみたが、短時間の試乗でもEグリップ・パフォーマンスSUVの非凡な実力を知ることができた。ロードノイズや水はね音、パターンノイズは明らかに小さく、路面が変わっても急激に音が高まらない。また、凹凸のある路面でもショックや振動を上手に受け流す。

大きなRの旋回では優れたコントロール性を見せつけた。ウエット路でのブレーキ性能は優秀で、姿勢も安定している。また、制動距離そのものも短い。パイロンスラロームでは一体感のあるハンドリングと優れた接地フィールを披露した。

SUV用のタイヤはサイドウォールの剛性感に欠け、腰砕けになるものも少なくない。だが、E-グリップ・パフォーマンスSUVは、背の高さを意識させない優れたトレース性と素直なハンドリング性能を身につけていた。ミューの低い路面だったが、連続するコーナーを軽やかに、しかも安定して駆け抜けることができたのである。また、乗り心地もいいなど、オンロード派にはうれしいタイヤだ。

最後に、他のE-グリップシリーズのタイヤも試してみた。『プリウス PHV』に履いたタイヤで比較したが、ウエット路面で絶大な安心感と優れたコントロール性を見せたのはエフィシエントグリップ・パフォーマンスだ。限界性能が高いだけでなく、扱いやすいなど、バランスのとれたタイヤである。

《片岡英明》

片岡英明

片岡英明│モータージャーナリスト 自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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