【ヤマハ XSR900 試乗】街乗りでチンタラ流すよりもスポーティに走りたい…青木タカオ

モーターサイクル 新型車
ヤマハ XSR900
ヤマハ XSR900 全 20 枚 拡大写真

まず関係性を少し整理しておこう。『XSR700』が『MT-07』をベースにしているように、『XSR900』もまた『MT-09』とエンジンやフレーム、足まわりなどを共通としている。そしてエンジンは700が並列2気筒、900は3気筒エンジンを積む。

どちらかというとXSRのサスペンションは硬い味付けで、シートに跨ったときの印象は腰高な感じ。MT-09のフロントフォークはシングルレートだが、XSR900はダブルレートで減衰力も高め。着座位置はMT-09よりXSR900の方が50mmほど車体の後方になるといった違いがある。700もほぼ同様だ。

MT-09や07は車体の動きもハンドリングもヒラヒラと軽く、前寄りに乗って操るその感覚はもはやモタードに近い。エンジンのスロットルレスポンスも鋭いほどに過敏で、MT-09に関してはもう瞬発力もパワー感もまるでリッタースポーツの域で、ヤンチャに走りたくなる。

その一方で、サスペンションの減衰を強く効かせ、車体に落ち着きを持たせているのがXSR900。動きが上質で、ハイスピードレンジで負荷をかけてもしっかり踏ん張るスポーツバイクの足まわり。街乗りでチンタラ流すより、メリハリを効かせたスポーツライディング向けにセッティングされている。

そしてエンジンもパワフルそのもの。D-MODE(走行モード切替システム)は3段階で「Bモード」「STDモード」「Aモード」の順に力が出る設定だが、「A」はもうトルクの塊と言っていい力量感。常用回転域でモリモリとトルクが出るから走りはもはやギクシャクしてしまっているが、強烈な加速が痛快すぎて右手スロットルの開閉がやめられない!

これだけの駆動力を一気にかけているのに、タイヤがしっかりグリップしているのだからトラクション性能も素晴らしい。この右手と駆動輪のダイレクト感、ヤマハのクロスプレーンコンセプトの賜物なんだと感心する。

トラクションコントロールにも頼ることができ、これはOFFの選択を含めモードは3つ。スリッパークラッチと相性良く、ビッグトルクをコントロールしてくれる。

もちろん、トリプルエンジンの独特なサウンドを味わいながらノンビリ流してもいい。トップギヤ6速での100km/h巡航は4000rpm強で、高速クルージングもお手のもの。そこから加速したくなったら、シフトダウンは不要でアクセルをひと捻り。

スポーツライディングを楽しみたい人向きだが、もちろんツーリングメインに使って何も不満はないだろう。

■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
コンフォート:★★★★
足着き:★★★★
オススメ度:★★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
  2. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  3. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  4. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
  5. 【BYD シーライオン7 新型試乗】全幅1925mmの堂々サイズも「心配無用」、快適性はまさに至れり尽くせり…島崎七生人
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  5. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
ランキングをもっと見る