帝人、EV向けメンブレンのラインを拡充…車載用次世代電池も視野

エコカー EV
EVへの応用箇所
EVへの応用箇所 全 6 枚 拡大写真

6日、帝人はEV他を背景とするバッテリー需要に対応するため、リチウムイオン電池セパレータ「リエルソート(LIELSORT)」の生産設備の増強し、微多孔膜「ミライム(miraim)」の量産工場を2018年中に稼働させると発表した。

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セパレータは、バッテリーの電極や電解質を分離するための薄膜(メンブレン)。この品質や性能が、バッテリーの容量、耐久性に影響し、とくに急速充電が必要なEV用の大容量、高耐熱、高エネルギー対応のバッテリーには欠かせない素材。中国だけでなく国内からも需要、引き合いが増えており、韓国のリエルソート工場のラインを追加し、合計3系列で増産体制を整える(電池部材事業推進 班長 松原寛氏)という。背景には中国でのEV需要がある。

とくに自動車メーカー、サプライヤーは製品の安定供給を重視する。現在、帝人の電池事業のほとんどが民生用バッテリーに占められているが、生産体制の増強により車載用バッテリーのニーズに答えていく考えだ。

ミライムは、10μm前後の微細な穴の密度、薄膜の厚さ、耐熱・耐圧・浸透性といったコーティング技術を細かく制御できるPEフィルム。医療・医薬品製造、熱交換技術、半導体製造に欠かせないもの。これまでは技術開発に利用していたラインを改造し、製造を続けていたが、本格的な需要の立ち上がりと生産技術の確立により、専用ラインを松山事業所に新たに設置する。量産体制は現状の5倍程度を目指す。

微多孔膜は、半導体チップ上の配線パターンを洗浄する液の濾過にも利用される。プロセッサやメモリの配線が10nm級になる中、レジスト液(洗浄液)の異物を同じレベルで除去できる濾過膜(フィルタ)は、ミライムを除くとほとんど製品化されていない。ハイエンド半導体ニーズとIoTブームにより、こちらも投資を判断した。

帝人では、高性能の次世代リチウムイオンバッテリーのセパレータには、リエルソートを展開していく。EV向けバッテリーとして全固体電池の開発は進められているが、現実には高耐圧、高エネルギーで急速充電に耐えるリチウムイオンバッテリーのニーズが逼迫している。帝人が持つ耐熱コーティングや接着性の高いコーティング技術によってリエルコートはハイエンドな車載EVバッテリーに適用可能だとする(松原氏)。

ただし、全固体電池や燃料電池が主流になると、現状のセパレータは役割や機能が変わる可能性がある。その場合でも、民生用を含めたリチウムイオンバッテリーの需要が急になくなるわけではない。またミライムやミライムを応用した新しい素材、コーティング技術によって次世代バッテリーに必要な部材を開発していくと松原氏はいう。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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