自動運転技術の研究開発を加速させる「クラウド型のリアルタイム車両データ計測・解析」…アプトポッド

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アプトポッドの「Visual M2M Automotive Pro」画面イメージ
アプトポッドの「Visual M2M Automotive Pro」画面イメージ 全 23 枚 拡大写真

◆車両情報をリアルタイムで計測

アプトポッドは、時系列データの伝送に強みを持つデータ収集・処理サービスを手掛ける中堅ベンチャーだ。1月17日にリリースした『Visual M2M Automotive Pro』は、車両情報の収集、クラウド環境での管理(モバイルネットワークを経由)、可視化・分析など、ADASや自動運転といったCASE(Connectivity Autonomous Shared Electric)車両の開発に欠かせない車両情報を統合的に管理するプラットフォームとして利用されることを想定し開発されている。

『Visual M2M Automotive Pro』は、クラウドサービスサーバーである「Visual M2M Cloud Server」を中心に、車両データを自動収集・送信する車載ターミナル「Terminal System」と、高度な可視化を実現するブラウザアプリケーション「Data Visualizer」で構成される。Terminal Systemでは車両側から入力された制御信号やセンサー信号に対し統合的にタイムスタンプを打ち、モバイル経由でVisual M2M Cloud Serverにストリームデータ伝送することで即座にクラウド上のデータベースに収容される。Data Visualizerからはリアルタイム、過去データなど自在な時間軸で可視化・分析することができる。
アプトポッドの「Visual M2M Automotive Pro」(資料提供 アプトポッド)
Terminal Systemは、いわゆるデータロガーに相当する車載用のユニットだ。自動車の制御信号であるCAN (Controller Area Network)に対応するだけでなく、Ethernet、USBをはじめとする様々なインターフェイス経由でカメラ、ミリ波レーダー、LiDAR、超音波センサー、MEMS(加速度センサー)など、CASE開発に必要なデータを収集する。

従来の車両データ計測は、データロガーを用い、走行して収集したデータをSDカード、HDDなどをオフラインで物理的に接続し、ローカルに記録するのが一般的であった。この点、Visual M2M Automotive Proでは、モバイルネットワークとクラウドを介し、リモートでのデータ計測が可能なところが大きな特徴であり、リアルタイムにデータ確認できることも最大のメリットのひとつでもある。

◆動画データも計測データと同期して保存・解析

クラウドに格納されたデータは、可視化ツールであるData Visualizerを用いて、モニタリングや管理が可能だ。クラウドに保存される生の(バイナリ)センサーデータおよびCANデータはこのままでは利用しにくいが、Data Visualizerは時系列データに特化したビジュアルダッシュボードで、データを直感的でわかりやすいパーツで表示することができる。例えば速度情報なら、スピードメーター式のグラフィック表示にもできるし、時系列の折れ線グラフにもできる。また、グラフ、散布図、ヒストグラムなど、複数のデータの相関を可視化することもできる。設定もドラッグアンドドロップなどの簡単な操作でユーザーフレンドリーだ。

また、データセキュリティ面でも様々な工夫がされている。例えば自動車メーカーでは、バイナリデータであるCANデータを物理値・可視化するために必要なDBCファイルはメーカーごとに異なり機密情報となる。こうした機密性の配慮からVisual M2M Automotive Proでは基本的にCANデータをバイナリでハンドリングし、最終的にユーザーが閲覧する際にローカルPC上に物理値化することが可能になっている。クラウド上のインスタンスもアカウントごとに独立しているため、プライベートクラウドとして安全に利用できる。

さらに特筆したいのは、ターミナルからのデータにカメラによる動画などのメディアデータを含めることができること。他のデータと同様にVisual M2M Cloud Serverにタイムスタンプと合わせて保存でき、Data Visualizerのダッシュボード画面にデータを呼び出すことが可能だ。また、メディアデータは制御・センサーデータと時間が同期されているので、そのままグラフや数値の表示とカメラ映像などを合わせて活用できる。これによりユーザーはバラバラに収集した制御・センサーデータとメディアデータの“タイムスタンプ合わせ”などといった解析前処理の手間から解放されるというわけだ。

◆開発車両の遠隔操作も可能な計測システム
アプトポッドの技術領域(資料提供 アプトポッド)
こうした遠隔データ収集システムをOEMメーカーやサプライヤーが独自で開発するケースも少なくないが、様々に広がる要件に対応するには莫大な投資とリソースを要する。アプトポッドのソリューションは、車載ターミナルから通信環境、クラウド環境、アプリケーション環境までワンストップで提供されるパッケージ型のプラットフォームになっている。サービス利用のためのランニングコストは発生するものの、遠隔で車両情報を取得するシステムとして初期投資を大幅に抑えることができる。

また、双方向なリアルタイムデータ通信に対応することもできる。これは、3G/4G回線モバイルネットワークを介したリモート制御が可能なことを意味する。つまり、CASE車両の開発において、リアルタイムで車両設定を変えたり、制御に介入したりすることが可能になる。もっと簡単にいえば、アプトポッドのプラットフォームを利用して、カメラ映像などを見ながら遠隔地で無人車両を動かすことも不可能ではないというわけだ。

◆開発プラットフォームだがサービスへの応用も

Visual M2M Automotive Proの基盤技術にはアプトポッドが独自に開発したintdashアーキテクチャが採用されている。intdashアーキテクチャは汎用的なインターネットプロトコルを使いながらも、高速時系列データの伝送効率を高めると同時にデータ伝送においてソフトウェア処理で発生する遅延を大幅に抑えることに成功している。

アプトポッド代表取締役の坂元淳一氏によれば、このプラットフォームはコネクテッドカーの双方向通信やリアルタイム遠隔操作なども可能にするという。また、センサーデータをクラウドで集約し活用するという視点では、車両に限らずあらゆる分野の製品にも適用しコネクテッド化できるものだ。実際、アプトポッドにおいては遠隔診断や遠隔制御介入などの次世代プロジェクトが、ロボティクス、ロジスティクス、ファクトリーオートメーションなど、様々な分野で始動し始めているという。
アプトポッド代表取締役の坂元淳一氏
「例えば自動運転というとAI(自律制御)だけに目が向きがちですが、他車両やクルマ以外のモノ、環境情報などを含む社会インフラとして捉えるとどうしても通信による連携が必要です。クルマは、常にオンライン状態であることができないので、ネットワークに依存しないスタンドアローンでの操作が期待されますが、自律制御を司るAIの進化学習には常にデータ収集を行い続けることは欠かせません。そうした意味で、今後は、AI学習のためのデータ収集やOTA(無線経由でデータを送受信すること)向けのインフラがますます重要になってくるでしょう。

また、場合によってはリアルタイムに俯瞰することができるクラウド側から動態制御するようなシナリオもあります。通信環境についても5Gがくるから大丈夫だという意見もありますが、カバレッジを考慮すると局所的であり、課題もまだ多く、既存技術によって提供される限られた帯域を最大活用するための効率的なデータ伝送技術が必要と考えます。

CASE車両にとって高速な時系列データ処理と通信ネットワークは重要トピックだと考えているので、開発環境としての過酷な条件、グローバルでの多様なニーズに対応できるように、プラットフォームづくりを進めています。プロの開発現場の厳しい要求に耐えられるものになれば、近未来の自動運転社会の運用だけでなく、様々なモノやコトが双方向通信で繋がる新たなパラダイムシフトに向けた応用も現実のものとなるのではないでしょうか。」

現状では、CASE車両そのものの開発ニーズが大きいが、自動運転やモビリティサービスが広がってくれば、多くのプレーヤーが移動やシェアリング市場に参入してくるだろう。アプトポッドのサービスは、そうした次世代の開発/サービスプラットフォームとしての可能性も持っているといえるのではないだろうか。

アプトポッド
https://www.aptpod.co.jp/

《中尾真二》

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