まだ間に合う「スノーモビル」…自転車よりも簡単?バイクともスキーとも違う新感覚

モーターサイクル 新型車
ヤマハのスノーモビルにタングラム斑尾で試乗
ヤマハのスノーモビルにタングラム斑尾で試乗 全 26 枚 拡大写真

エンジンを停めたら、あたりに音は何もなかった。一面の銀世界、晴れ渡った空の向こうに妙高山も見える。あぁ、気持ちがいい!

長野県・斑尾高原のスノーリゾート「タングラム斑尾」で、スノーモビルに乗った。冬の山にこんなにも奥深く入ったのは、初めてかもしれない。ウインタースポーツをほとんどやったことのないボクは、もうこの雪景色を目にするだけで感激だ。

スキーを履いて、こんな山の上まで来るなんてことは絶対にできないし、もちろん雪の上を歩くのなんてまっぴら。スノーモビルならエンジンの力でスイスイ登って来られて、安全だしライディング自体も面白い!

その存在はなんとなく知っていたが、どこでどうやって乗れるかは想像すらしたことなかったスノーモビル。調べてみると、全国30か所以上にヤマハの「スノーモビルランド」があり、気軽にレンタルで楽しめるとのこと。今回選んだタングラム斑尾も、そのうちの1つだ。

東京から北陸新幹線でおよそ100分。飯山駅からバスに乗り換えて40分ほどで、この雪山とスノーモビルが待っていた。ウェアや用品はすべてレンタルだから手ぶらでOK。ヤマハでは安全のためにライセンス制度を自主的に設け、初心者の場合は午前中に座学講習、午後から実技講習がありインストラクターがしっかりフォローしてくれる。

◆自転車より簡単に乗れる、かも

陸上を走るオートバイと違うところは、フロントに2本のスキーを履き、駆動はキャタピラということ。ハンドルを握ってシートに跨るライディングスタイルはバイクそのものだが、右手のアクセルがスロットルグリップではなく親指で操作するレバーであり、ブレーキは左手のレバーのみだ。

曲がるときはオートバイのように車体を傾けるのではなく、ハンドルを曲がりたい方向へしっかり切ることも肝心。さらにイン側に体重をかければ、かなりスポーティにも走れてしまうから面白い。

ハッキリ言ってしまえば、ただ走るだけなら自転車より簡単。ヤマハのスノーモビルはさまざまなモデルがラインナップされていて、女性や子どもでも乗れるようコンパクトなモデルもタングラム斑尾では用意されているから心配は要らない。取り回しでの苦労もなく、バックしたいときはリバースギヤに入れればいい。

レクチャーを受けたら、樹林ツーリングに出発だ。景色を見ながらノンビリ走り、途中の休憩も心が洗われるような気分。自分も不慣れなくせに「コーナーではイン側にカラダを動かすように」なんてアドバイスなんかしたりして…。みんなが自然と笑顔になれる。

◆まさにスポーツ!気がつけば夢中になる荷重移動

今回乗ったのは、ヤマハの最新型4ストローク500ccモデル『Venture』。排ガスクリーンで、加速も抜群だからライディングがついついアグレシッブなものへとなっていく。景色を眺めながらノンビリと、でもスノーモビルは充分に楽しいものだけど、モータースポーツとしても奥深く、慣れてくるとスノーモビルの上でいかにカラダを上下左右に動かして荷重を上手くかけるかに夢中になる。前後サスペンションの性能も高いし、かなりアクロバティックな走りもできそう。ボクはジャンプにも挑戦してみた。

寒いかも…。なんて思っていたけれど、うっすら汗をかいて、れっきとしたスポーツであることが改めてわかった。日本ではマイナーな乗り物だけど、アメリカやカナダではレジャーとして盛んだし、欧州やロシアでは実用に多く使われているんだとか。

ヤマハは国内で唯一のスノーモビルメーカーで、1968年に第1号車を発売。雪がなかったため、本社近くの中田島砂丘で実験したと聞くが、高性能が認められ、北極点への探険に使われたり、2014年のソチ冬季五輪では公式サプライヤーとしてヤマハのスノーモビルが活躍したらしい。

汗をかいた後は、温泉に浸かってライディングの疲れを癒す。湯船で思うのは「こんどはあの人も誘ってみよう」という企みだ。今シーズン、雪はまだまだある。

青木タカオ氏による迫力の「VR試乗動画」はコチラ!

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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