【メルセデス Eクラスオールテレーン 試乗】あれ、結構なバーゲンプライス?…中村孝仁

試乗記 輸入車
メルセデスベンツ E220d オールテレーン
メルセデスベンツ E220d オールテレーン 全 7 枚 拡大写真

車両価格875万円。AMGを除けば、メルセデス『Eクラスステーションワゴン』系の中では高価である。でも考えてみたら、ほんの10万円の差で『E250ステーションワゴン・アバンギャルドスポーツ』が迫る。

後者はFRだし、こちらは4マチックにエアサスペンションを装備していると考えると、あれ、結構なバーゲンプライス?とも思えてくる。何しろEクラスのステーションワゴンでエアボディコントロールサスペンションを装備しているのは『E400』だけだし、それは1000万円オーバーだということを考えると、なかなかうまい落としどころのような気がするわけだ。

もっとも、グリルまでSUV系にしてクロスオーバー化をした外観に、感性の合わない人は向かない。そもそも、19インチホイールを履いて車高は高いし、グリルは『GLC』や『GLE』と同じスリットの入った太い2本バーのグリルだから、見た目にも厳つい。

一方でインテリアはまんまEクラス。平たく言えばボルボのクロスカントリーやアウディのオールロードをメルセデスが作ったというわけである。昨年の暮れに同じエンジンを搭載する『E220dステーションワゴン』に試乗した。その時にどうにも気になったのがメルセデスらしくない乗り心地であった。同じMRAと呼ばれるプラットフォームを用いた『Cクラス』の方がずつとフラット感が高く、突き上げ感も少ない快適な乗り心地を持っていたことである。

それが、エアボディコントロールサスペンションを装備したオールテレーンの場合は全く別物だった。そもそも地上高がノーマル車と比較して25mmも高いから、足自体も長いだろうし、19インチホイールを履くにしてもサスペンションのセッティングはノーマル車とは根本的に異なっているのかもしれないが、乗り心地だけでEクラスステーションワゴンを選ぶとしたら、断然これがいい。

もちろんモード切り替えが付いていて、スポーツだったリコンフォートだったりが選べるが、基本衝撃を受けた時に瞬時に硬くするような設定だから、通常はコンフォートでもスポーツでもさほど大きな乗り味の違いはない。強いて言えば大きなうねりを通過するような時、コンフォートはまるで船のようで、スポーツにするとそれがクルマらしくなるという程度の差である。

残念ながら短時間の試乗だったので、4マチックの良さを実感することはできなかった。だから、乗り心地とハンドリング、音振のチェックしかできていないが、サイズの大きなタイヤを履いていても、都市部を走る限りハンドリングに大きな差は出ない。今回はドライバーズシートのみならず、パッセンジャーシートでの試乗も堪能したが、隣に乗っていると実に快適で、鉄足のEクラスとは雲泥の差。その乗り心地、まさに『Sクラス』に近いものを持っていると感じたほどである。

このワゴンベースのクロスオーバーモデル、ライバルとなるのは今のところボルボ『V90クロスカントリー』しか見当たらず、アウディは『A4』ベースしかないし、BMWにはこの手がない。日本車だと、例えばスバル『レガシィアウトバック』当たりが思い浮かぶが、それもクラス違いだ。本格的なSUVほどの仰々しさはいらないけれど、そこそこの走破性能と十分な収容能力、そして快適さを求めた場合、こいつは相当に欲しい1台である。

まあ、買えるか買えないかは別にして。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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