【SUPER GT】F1王者バトンとホンダのエース山本尚貴…最注目コンビのNSXが開幕戦でいきなり2位表彰台

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開幕戦岡山、GT500クラス2位となった山本とバトン。
開幕戦岡山、GT500クラス2位となった山本とバトン。 全 8 枚 拡大写真

2009年のF1世界チャンピオンで、ホンダとも縁深く日本で抜群の人気を誇るジェンソン・バトンが、今季はSUPER GTにNSXで自身初のフル参戦。その初戦は2位表彰台獲得という絶好の滑り出しとなった。バトン、そして彼の頼れる僚友・山本尚貴の開幕戦の戦いをフィーチャーする。

岡山国際サーキットで開催されたSUPER GTの2018年シリーズ開幕戦(7~8日)。そこに、英国出身の38歳、2009年F1世界王者ジェンソン・バトンの姿があった。今季、バトンはホンダの国内戦線エースパイロットである山本尚貴(29歳)とコンビを組み、チーム国光の#100 RAYBRIG NSX-GT(タイヤはブリヂストン=BS)でGT500クラスに参戦する。昨年、他チームのNSXで鈴鹿戦にスポット出場はしているが、今季はレギュラードライバーとしての参戦になる。

2段階ノックアウト方式の予選では、バトンはQ2を担当。山本がQ1突破を果たしたあとを受け、急転したウエット路面での戦いとなったQ2をバトンは5位で終えた。そして決勝にはバトンが前半を、山本が後半を受け持つオーダーで臨む。注目要素の多いSUPER GTだが、大観衆のお目当てのひとつがバトンの走りであることは間違いない。そして僚友の山本も実力、人気とも屈指のドライバーのひとり。今季最注目の存在、#100 NSXはどんな今季初戦を戦うのか。

決勝はドライコンディション。SUPER GTのスタートは全車が隊列を組んで走っている状態から開戦するローリングスタート方式で、F1やスーパーフォーミュラのようなフォーミュラレースで多く採用されているスタンディングスタート方式(静止状態から一斉に動き出す)とは違う。しかも今年はスタート前の2列隊列の維持等に一層の厳格性が求められる等の改革が規則面で施されている。その初回だけに多少混乱気味というか、ローリングスタートにしてはスタート~1周目の順位変動が大きい展開になったが、そのなかでバトンは1周目に3つ順位を落としてしまった。

「タイヤをウォームアップさせるのにはやはり苦労したし、なかなかにクレイジーなファーストラップだったね」とバトン。ただ、「2台の日産がスタートで僕を追い越していったけど、彼らは(ジャンプスタートで)ペナルティを取られてしまったんだよね」と振り返れる冷静さはさすがである。1周目の実質的な意味でのポジションダウンは1つ(5→6番手)だった、ということにもなる。不慣れで難しいスタートによく対応したといえるだろう。

「広くないコースで、常にGT300クラスのトラフィックがある状態での走りもやはり大変だった。ヤマモトサンが同じタイヤで(タイヤ無交換作戦で)走ることになっていたので、タイヤ、そして(ピットでの給油時間節約等のために)燃料セーブも意識して走った」。バトンは11周目にコース上で1台にパスされはしたが、実質7番手の状態でレース折り返しの少し手前、37周終了でピットへ。タイヤ無交換作戦が活き、ここで#100 NSXは実質のトップに浮上するかたちとなった。

そして、44周目に#17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大&小暮卓史/BS)には先行を許すが、#100 NSXは最後まで山本が#17 NSXに食い下がって力走。初戦をホンダ1-2フィニッシュの一翼を担う2位という好結果で終えるのであった。

F1時代からシルキースムースとも評されたバトンのドライビングは、タイヤに優しく、雨などの不安定な路面状況でも特に威力を発揮したものだが、今回も予選Q2、そしてタイヤ無交換作戦の決勝でその片鱗が見られたといっていいかもしれない。ただ、この2位の最大の立役者は僚友の山本である。バトンも「ヤマモトサンが素晴らしい仕事をした。使い込んだタイヤではブレーキングが難しいと思うが、彼は素晴らしく速く走っていた」と、SUPER GTでは先輩であり、チームのエースである山本を絶賛する。

春とは思えぬ異常な低温コンディションを利してのタイヤ無交換作戦。他のNSXにもこの作戦を取った陣営はあったが、最高にうまく機能させたのはバトン&山本だった。作戦決定は「今朝だ。グレートなアイデアだった」とバトン。そのアイデアは、山本の発案でもあったようだ。

山本はレース直後、「(今回と近いコンディションだった3週間前の)岡山公式テストの時にJB(バトン)がずっと長く乗っていた時のデータとかを見て、自信をもって決めました(チームに進言しました)」と語っている。レース終盤、さすがに「タイヤのライフ的にはきつかったです」。シリーズの長い戦いを考えてエンジンをいたわる必要もあったそうだが、それでもトップが見える位置を走り続け、しっかり2位を得た山本のパフォーマンスはバトンが言うように素晴らしい仕事だった。

バトンは「僕にとっては2012年のF1ブラジルGP以来の表彰台だし、SUPER GTフル参戦初戦での表彰台はとてもスペシャルなものだよ。いいシーズンのスタートになった。もちろん、まだ学ぶべきことも多いけどね」と、レース直後に喜びと今後への決意を語り、意欲をまた新たにしているようだった(成績上は2014年オーストラリアGPでバトンは3位になっているが、上位車両のレース後失格によるくり上がりだったため、表彰台には登壇していなかった)。

予想以上といっていい成果と内容とともに始まった、GT500最注目チームの2018年。成績連動のウエイトハンデとの格闘も始まる次戦富士500kmレース(5月3~4日)以降も、#100 NSXにはファンの熱視線が注がれることとなるだろう。

《遠藤俊幸》

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