【ボルボ XC40 試乗】本当に「脱ファミリー」を狙っているのか?…岩貞るみこ

試乗記 輸入車
ボルボ XC40
ボルボ XC40 全 18 枚 拡大写真

「XC60が小型になったのではなく、XC40として作りこんだ」。ボルボのコメント通り、外観デザインからして、上のクラスのシリーズとは雰囲気が異なる。そして、違いはインテリアでさらにはっきりと感じ取れる。

90シリーズで大改革を行った、カーナビ画面周辺の雰囲気は踏襲しつつも、小物入れをふんだんに作り、北欧インテリアでいま流行のフェルト素材をドアの内側や足元に取り入れている。開発者によると、『XC40』ユーザーを想定して現地調査を繰り返した結果だという。

だけど、私は、このインテリアに違和感がありありなのだ。いや、いいんですよ。すごくいい。でも、なにかひっかかるのである。

ひとつは、ティッシュボックス入れとゴミ箱の存在。XC40のコンセプトのひとつは、「ファミリーではないターゲット」であるはずだ。なのになぜ、ティッシュボックス入れ&ゴミ箱なのだろう。しかも、ドライバーにとって一番、使い勝手のいいひじ掛けスペースに。

百歩ゆずって、ティッシュボックス入れは、ふつうの小物を入れるとして、問題はゴミ箱である。ふたがプッシュ式で押し込むタイプなので確かに片手でごみを入れやすい。でも、プッシュ式の蓋は、ほかのものを入れにくい。取り出しにくいのだ。それに、押し込んだあとに指をはさむし(痛くないけれど、擦過傷になりそう)。

もうひとつは、ドアポケットである。カタログの記載によると、「ラップトップPCが収納できる」「1リットルのペットボトルなら3本も」って、そんなもんそこに入れる? ドアポケットにノートパソコンを入れる人なんて、会ったことないよ? ほかにも、カード収納や、スマホの置き場所など、さまざまな置き場所が考えてあるのだが、うーむ。

開発者によると、車内の至る所に物がちらばってゴミ箱のようになっている人が多いので、それぞれを入れる場所を作ってあげたということらしい。確かに、家の収納でも「物に住所をつける」というコンセプトがある。それぞれの置き場所を特定することによって、ちらからないようにするというものだ。それはわかる。わかるけど、なんか違和感があるのだ。XC40を買おうというユーザーに求められているのはそこなのか? そもそも、このクルマを見て「わー、車内にゴミ箱があって便利~♪」なんていう人は、ゴミ箱のゴミを捨てないと思うなあ=たまる一方。

そしてフェルト。たしかに、手触りはいいしぬくもりもある。聞くところによると、ペットボトルの再利用でエコにも貢献している。だけど、梅雨のある日本、濡れた靴で乗り込む状況で、しめっぽい車内になったとき、このフェルトはどうなのだろう。

正直なところ、脱ファミリーを本当に狙っているのか? という気がしてしまう。そして、小物入れにおいては、日本は軽自動車があまりにも秀逸で、どうしても比べてしまう。軽自動車のほうが、かゆいところに手が届いているのだ。

XC40の価格と車格。それを考えたときに、このインテリアが日本のユーザーに合うのかどうか、やっぱり違和感があるのである。それでも特にこの「Rデザイン」は走りがめっちゃいいので、オススメ度の★は4つなんだけどね。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。9月よりコラム『岩貞るみこの人道車医』を連載。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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