SUBARUはどのように北米でアイデンティティを獲得したのか…キーワードは「LOVE」

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ニューヨークモーターショー2018でのスバル プレスカンファレンス
ニューヨークモーターショー2018でのスバル プレスカンファレンス 全 13 枚 拡大写真

先日開催されたニューヨークモーターショー2018で新型『フォレスター』を発表したスバル。北米市場での成長は著しい。2017年の販売台数は64万7956台でシェア3.8%を記録した(オートデータ調べ)。グローバルでも前年比11.1%増の106万5000台の販売台数を記録したが、その要因は間違いなく北米市場の伸びだ。

しかし今となっては好調な同社も、40年に渡る屈折の時代があった。それを打開したマーケティングの取り組み「LOVEキャンペーン」について、スバルオブアメリカ(SOA)のシニアバイスプレジデント・Alan Bethke氏に話を聞いた。

アイデンティティを獲得するために

現在アメリカ市場では、40ブランド、260のモデルがひしめき合っている。これだけブランドがある中で、広告宣伝に目を向けると、皆同じようなやり方で差別化されていない。仕様、スペック、企画広告、インセンティブ(値引き保障)、セールスイベント等、その手法は画一的で、スバルも同じような手法を取っていたという。その結果、販売台数は伸びず18万5000台ほどで頭打ち、シェアも1%に留まっていた。

そこで問題点を分析するため、2007年にスバル車を購入しなかった人を対象にその理由を調査した。理由は多岐に渡るが、「燃費が良くない」「デザイン」は比率が低く、回答は「スバルブランドを知らない」「知っていたとしても名前くらい」といった点に集中。全体の3分の2がそう答えたという。

「つまりスバルにはアイデンティティがなかったということです。我々は改めて他ブランドとどう違うのかを自分たちで見極めることにしました。その結果、スバルのオーナーは高度教育を受けていて、収入も高い。一度購入したら長期に渡って保有する、ということがわかりました。人生に対して情熱的で、自分の好きなものを主張したいということも。バンパーステッカーで自分らしさ、好きなものを表現する人も多かったですね」(Bethke氏)。

また、その頃からスバルのオーナーが自動車雑誌への投稿で、自分の車に対しあるフレーズをよく使っていることにも気づいた。それが「LOVE」だったのだ。スバルはこの言葉をマーケティングのキーワードとして取り入れることにした。そこで展開されたのが下記のようなCMだ。ストーリー性のある内容で、スバルのある生活、人生はいかなるものかを広く訴えた。

まずはブランドを好きになってほしい

1968年に米国での販売を開始してから40年間は、18万数千台のフラットな状態が続いていた。しかし、2008年に3代目『フォレスター』等、北米市場により合ったラインナップ製品が出てきたこと、LOVEキャンペーンが開始したことを受け転換期を迎える。販売台数記録は過去9年連続で更新。約6割がトヨタ、ホンダ、フォードなど他ブランドからの乗り換えだ。

「しかしながらインセンティブ(値引き保障)の水準は最低レベルを維持しています。そのため、収益性で見てもSOA、販売店共に高く、現場からの評価も上々です。お客さんには”LOVE”のイメージが浸透してきました。それ以外には、安全、耐久性、アドベンチャーというイメージを持っていただいています。特にクラッシュセーフティの評価、アイサイトの機能性は広く受け入れられていますね」とBethke氏は話す。

「LOVEプロミス」という取り組みも行っている。これは、地域のコミュニティや医療団体などへの寄付やボランティア、環境保護など行うというもの。始まりは車に対するLOVEだったが、今は広くスバルの実施するサービスや社会貢献にもつながっているようだ。

さらに犬に優しいブランド、というイメージもある。以前からスバルオーナーの約7割がペットを飼っているというデータがあり、それをLOVEキャンペーンでも取り入れることにした。犬が運転しているというCMを作成し、商品そのものに対する説明ではなく“ペットとのより生活を楽しくするブランド“である、と伝える。

「装備的な要素を他のブランドがアピールし続けるなかで、スバルはエモーショナルにフォーカスしています。私たちがLOVEキャンペーンを始めたとき、他にこのような広告を出しているブランドはなかった。決して機能・装備面が他に劣ってるということではなくて、ブランドを好きになってもらった後に分かってもらえれば良いと思っています」とBethke氏。

年間販売台数1700万台以上を誇る巨大市場での生き残りは熾烈だ。スバルの「LOVEキャンペーン」を裏打ちするものは商品力への自信でもあるが、ブランドイメージが浸透し広く受け入れられることでその闘いを生き抜く術を身に着けたのである。

《吉田 瑶子》

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