ブーム復活か? 新型 SUV 6車種スペック比較…CX-5、エクストレイル etc

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マツダ CX-5 XD
マツダ CX-5 XD 全 16 枚 拡大写真

SUVは欧米では根強い人気を誇っている。とくに北米では、販売ランキングの上位はクロスオーバーSUVが占め、現地自動車価格情報サイトによれば全体の40%がSUVだという。そして2018年、日本にも再びSUVブームが起きようとしている。

日本は、道路整備が進んでいたり、道路が狭かったりとSUVのメリットを活かせる場面があまり多くないせいか、むしろミニバン人気のほうが高い。とくに欧米ユーザーが求める大型指向により、SUVのサイズが大きくなることで、日本で便利な小型SUVは車種が絞られてきている。

日本にもぞくぞく投入される新型SUV

しかし、昨年末から2018年にかけて、ホンダ『CR-V』、スバル『フォレスター』、トヨタ『RAV4』などSUVの新型発表が続いている。CR-VやRAV4などかつての人気SUVの復刻ともいえる新型投入といった気になる情報も入ってきている。とくにRAV4などは、日本より北米での人気が高く、サイズやスペックがアメリカスタンダードになって、日本モデルの新型投入がなくなって久しい車種だが、今回逆輸入のような形で国内市場に改めて投入される。

うれしいのは、新しいSUVは、2WD/4WD、ガソリン/ディーゼル/ハイブリッドといった駆動方式やパワートレインのラインナップも豊富になり、衝突被害軽減の自動ブレーキやアダプティブクルーズコントロールなどのADAS技術や、各種コネクテッド機能も搭載されること。SUVとしての走行性能とユーティリティに加え、安全・快適の先進技術も投入される。ユーザーとしては燃費、エコ、安全、便利、実用性といった点で大いに悩ましいが、選ぶ楽しみはむしろ増えている。

そこで、国内売れ筋のSUVや新型投入が予定されている6車種、マツダ『CX-5』、日産『エクストレイル』、三菱『エクリプスクロス』、CR-V、フォレスター、RAV4について主だったスペックを比較してみたい。

駆動方式とパワートレインについてはラインナップされているものをひととおり取り上げるが、グレードは上位モデルに絞った。また、CR-V、フォレスター、RAV4については、国内仕様の詳細は正式に発表されていないので、各社のリリース情報や取材情報などでの比較となる。国内市場に投入されるときのスペックと同じとは限らない。

■マツダ CX-5(25S・XD L Package)
マツダ CX-5 XD
CX-5は、シルエットだけならハッチバックのコンパクトカーを思わせるようなデザインで、SUVっぽい腰高感があまりない。全長4.5mちょっとあり、国産SUVとしては標準的なサイズだが、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの2種類のパワートレインが用意されている。

CX-5はディーゼルが人気だ。マツダのSKYACTIV-Dは、騒音も振動もディーゼルを感じさせないので燃費やランニングコストを考えたらディーゼルがお得だ。音が気にならなければ、ディーゼルの450Nm/2000rpmという低速からのトルクはむしろメリットであり魅力ポイントだろう。

また、見た目からはわかりにくいがCX-5はトレッド幅が1595mmと国産同クラスのSUVより20mm前後広くなっている。北米市場の大きいSUVのクラスが1600mm前後なので、それに近い。マツダのマルチリンクとGベクタリングと相まって、なかなか楽しそうな操作性を予感させてくれる。トルクフルなディーゼルエンジンなら、ヒルクライムもストレスなく走ってくれそうだ。

■日産 エクストレイル(20 Xi・20 Xi HYBRID)
日産エクストレイル
エクストレイルは北米仕様(『キャシュカイ』)のみならず日本でも人気のSUV。発売以来、シートやトランクルームの防水・防汚機能は、アウトドアを楽しむユーザーの高い支持を得ている。今回比較している車種の中ではサイズのわりには車重が軽い(1540kg)。キャンプ用品やスポーツ用品など荷物をたくさん積むには都合がよい。

ハイブリッドの設定もあり、JC08モード燃費はカタログ値で20km/L(4WD)となっている。マイカー燃費管理サービス「e燃費」の実測値からはカタログ達成率65%という数字がでている。『プリウス』はカタログ達成率60%を切るくらいなので、ハイブリッド効果は期待していいだろう。低燃費の経済性は、長距離走るユーザーにとってもうれしい。

エクストレイルのハイブリッドシステムは1モーターで、発電と回生を行うタイプ。エンジンとモーターはそれぞれクラッチ機構を持ち、状況に応じてEVからエンジン走行を切り替える。街中はEV走行が可能で、加速時は2つのクラッチをONにして、エンジンとモーターの両方でタイヤを駆動させることもできる。使わない方のパワートレインはクラッチで切り離すことができるので、減速での回生ブレーキ以外、片方がパワーをロスさせることはない。

日産で特筆すべきは部分自動運転技術「プロパイロット」だろう。エクストレイルにもプロパイロットの設定がある。すでに複数の車種に展開され、機能面での大きな不安はなく、高速道路でうまく使えば移動中の疲れ方が違う。とくにアウトドアやスポーツを楽しんだ後、心地よい疲れが、単調な高速道路走行や渋滞走行で苦痛になるのをかなり軽減してくれる。

行動派のエクストレイルにプロパイロットは実は合理的な選択だ。

■三菱 エプリクスクロス(G Plus Package)
三菱 エクリプスクロス
SUVといえば三菱の名を忘れてはいけない。解放感のあるウィンドルーフが特徴的だが、三菱らしい剛健なイメージがあるデザインは、クロスカントリーのDNAを垣間見ることができる。

スペックをみるとさらにそれが確定的となる。エンジンは1.5L直噴ターボ(4B40)。150PS、240Nmというパワーユニット。三菱エンジンならではの低速トルクの強さは走りが期待できる。車重も1550kgとエクストレイルに次ぐ軽さ。見た目のイメージは存在感があり大きく感じるが、全長4400mm、全幅1800mmはSUVとしてはコンパクトサイズともいえる。街中でもワインディングでもしっかり走ってくれるのがエクリプスクロスだ。

もちろんいまどきの車として、自動ブレーキやアダプティブクルーズコントロールといったADAS機能も搭載しているが、三菱車の場合、S-AWC、AYC、ASCといったサスペンションまわりの電子制御システムの存在も欠かせない。これらは、『ギャラン VR-4』がWRCのグループAで参戦していた時代の技術に由来するもの。ラリー車の走行性能を向上させるアクティブコントロールテクノロジーとして、その後の『ランサーエボリューション』にも受け継がれた。これらが4WDの性能をいかんなく発揮してくれるだろう。

■ホンダ CR-V
ホンダCR-V
CR-Vは北米で人気のSUV。この秋にも国内市場に投入される予定だ。国内仕様の詳細は未定。

特徴はホンダ独自のi-MMD(ハイブリッドシステム)と4WDの組み合わせといわれている。i-MMDは発電用と駆動用の2モーターを搭載したシリーズハイブリッドシステム。高速走行時などにエンジン出力をドライブトレーンに直結するエンジンモードがあるが、それ以外はバッテリーでのEV走行モードか、エンジンが発電用モーターを回してバッテリーに電力を供給しながらEV走行をするモードとなる。

i-MMDはこれまでFFにしか搭載されていなかったが、CR-Vには4WDモデルに搭載される予定だ。シリーズハイブリッドによる4WDの走りがどうなるか今から楽しみだ。

ボディサイズは北米の現行モデルと同等とすると、エクストレイルやCX-5とほぼ同じクラスと思っていいだろう。北米仕様は乗用車では珍しいTPMS(空気圧モニタリングシステム)の設定がある。また、ディスプレイオーディオなどコネクティビティ機能も充実している。これらの設定がどうなるかも気になる。

■スバル フォレスター(北米モデル)
スバル・フォレスター新型(ニューヨークモーターショー2018)
新型フォレスターは3月のニューヨークモーターショー2018で発表されたばかりだが、その直後4月頭に国内でもお披露目会が行われた。日程などは未定だが、これも年内には日本市場に投入されるはずだ。

ボディサイズは、全長4625×全幅1815×全高1730mm。CX-5より少し大きい。エンジンは2.5L水平対向4気筒エンジン(FB25)。トランスミッションはリニアトロニックCVTを搭載する。ルーフレールに荷物固定用の穴(タイダウンホール)をつけたり、リアハッチの開口部を大きくとる工夫、リアドアの開口部とサイドシルを工夫し、そこをステップ代わりにルーフレールへのアクセスを容易にするなど、アウトドアユーティリティを強く意識したパッケージングもヘビーユーザー向けだ。

フレームがスバルグローバルプラットフォーム(SGP)を採用したとあるので、腰高SUVながらボディ剛性は高くリニアな操縦性と安定感のある乗り心地が期待できる。

他社のSUVがハイブリッドやEVなど次世代パワートレインをラインナップする中、スバルは安定のボクサーエンジンのみのモデルだが、新しいテクノロジーを拒否しているわけではない。EyeSight(アイサイト)は業界でいち早く導入されたADASシステムだ。フォレスターにもアイサイトVer.3が搭載される。さらに、乗用車やSUVでは世界初となるドライバーモニタリングシステムにも注目したい。

センターコンソール上部のマルチファンクションディスプレイ(MFD)に光学式カメラと赤外線カメラを内蔵し、運転手の疲れや覚醒度などを監視するシステムだ。2つのカメラの映像から、運転手の状態を4段階で認識し、居眠りやわき見などを警告してくれる。自動ブレーキやステアリングに対して、直接介入することはないが、アイサイトとは連携制御されており、わき見や覚醒度が低い状態では、アイサイトの衝突判断が強化される。

カメラは運転手の状態を把握するだけでなく、顔認証も行える。5名までの顔を覚えることができるので、運転手によってシートやミラーの位置を自動調整してくれる。

この機能は将来的に、セキュリティ機能、助手席の監視、車内状況の認識へと応用も可能だ。レベル3以上の自動運転では、自動運転から手動運転に切り替えるとき、運転手の状況によって適切なタイミングで切り替えを伝える必要がある。路面など外部の状況だけで、自動運転ができなくなったと判断しても、運転手がすぐに制御を引き継ぐことができるとは限らない。このタイミングの判断(そのためには車内の様子を常時監視しておく必要がある)と伝達方法は、各社が自動運転技術とともに研究している分野だ。

■トヨタ RAV4(北米モデル)
トヨタRAV4ハイブリッド
RAV4は、かつて日本国内で若者を中心にヒットした名車だ。その後、北米でのSUV人気に支えられたロングセラーカーだが、国内では2008年のマイナーチェンジ後、新型が投入されてこなかった(2016年、C-HR発売時にはいったん販売が終了している)。今年のニューヨークモーターショーで発表された新型RAV4は、2019年の日本市場投入が発表されている。

TNGAプラットフォームの採用、2.5Lガソリンエンジン、2.5Lハイブッドシステム(THS-II)搭載などが予定されている。ガソリンエンジンモデルはトヨタベクタリングシステムによって操縦性の向上が図られる。4WDのハイブリッドシステムはトヨタ「E-Four」と呼ばれる方式になる。E-Fourは、前輪をエンジンが担当し、後輪をバッテリーとモーターが駆動する。前後輪が別々のパワートレインで駆動される。

エンジンによるFFを基本として走行条件、路面状況などによってリアモーターが制御され、雪道や悪路での走破性、安定性を確保する。

RAV4は「Robust Accurate Vehicle with 4 Wheel Drive」(4輪駆動による堅牢だが精緻な車両)の略とのことだそうだ。堅牢やヘビーデューティーと精密であることは相反しそうだが、北米仕様はAlexa対応や各種コネクテッド機能の対応に加え、第2世代の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を全車標準装備にするなど、ADAS機能が充実している。TNGA(堅牢)とToyota Safety Sense(精緻)を両立させるというコンセプトのようだ。

現段階での詳細は不明だが、国内ではRAV4後継の『C-HR』の市場が成立しているため、どんな装備でターゲットがどのあたりに設定されるのか期待して待ちたい。

《中尾真二》

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