【ヤマハ XMAX 試乗】スクーターを超えた。これはスポーツモデルだ…佐川健太郎

モーターサイクル 新型車
ヤマハ XMAX
ヤマハ XMAX 全 16 枚 拡大写真

洗練されたスタイリングと「MAXシリーズ」ならではの走りの良さ、快適性と実用性を高次元でバランスさせた新世代のスポーツコミューターが『XMAX』だ。排気量的にも『TMAX』と『NMAX』の中間を担うことになるが、ヤマハでも250ccクラスのスクーターとしては久々のニューモデルである。

加速と環境性能にも優れるBLUE COREエンジンを軽量&高剛性の新設計フレームに搭載していることに加え、注目すべきはフロントサスペンションの構造だ。モーターサイクル同様、アッパーブラケットまで貫通した本格的な正立フォークを採用することで、スクーターの次元を超えた剛性感のあるハンドリングや接地感を実現している。また、TCS(トラコン)やABSなどの安全装備、DC電源付きグローブボックスや45リットル容量のシート下トランクなどユーティリティも充実。LEDタイプのヘッド&テールランプ、LCD採用の多機能ディスプレイやスマートキーなど先進的な装備も魅力である。

さて、目の前のXMAXだが、車格はNMAXより明らかに大きく、どちらかというとTMAXに近い存在感がある。ライポジは上体を起こして乗るヨーロピアンタイプで、スリムだが高さのあるスクリーンのおかげで防風性も高い。一点、シートに関しては幅広で高さもあるため足着きは良いとは言えないが、そこはスポーツモデルと割り切って乗るべきだ。

エンジンはスムーズで静か。加速もモリモリくる感じではなく、いつの間にか速度が乗っているタイプ。むしろNMAXのほうが鼓動を感じるほどだが、速さはさすがに250ccだけのことはある。CVT(無段変速機)のおかげで、どの速度域からでもアクセルひとつで最大トルクの加速ができるため、最高出力23psのスペック以上の速さ感がある。また、一般的なモーターサイクルと異なりエンブレが最小限なため、スロットルオン・オフによるギクシャク感がない。ギヤチェンジも必要ないためイージーに乗れて疲れにくいなど、街乗りの中でスクーターならではのメリットをあらためて感じた。

一方で、モーターサイクルタイプのフロントフォークは剛性感たっぷりで路面のギャップも平穏にいなしてくれるし、高速巡行での車体のスタビリティも抜群。コーナーではフロント15/リヤ14インチタイヤの組み合わせにより、路面が多少荒れていても安心してバンクさせていける。前後ディスクブレーキの効きも十分で、急減速でも安定して減速Gを受け止めてくれるなど、場所が場所なら攻める走りも可能だろう。ABSに加え、スクーターでは珍しいトラコンが標準装備されたことも嬉しい。走りの性能に見合った安全装備と言えよう。

最初はもう少しゆったり乗りたい感じもしたが、走るほどにスポーティな乗り味が体に馴染んでくる。その意味でもXMAXはクルーザーではなくスポーツモデルなのだ。エッジの効いた現代的なスタイリングは都会でも絵になるし、高速道路を使ったタンデムツーリングも余裕でこなせるはず。1台で何役もこなせるスタイリッシュで懐の広いスクーターだ。


■5つ星評価
パワーソース:★★★★
ハンドリング:★★★★★
扱いやすさ:★★★★
快適性:★★★★
オススメ度:★★★★★

佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

《佐川健太郎》

佐川健太郎

早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。メーカーやディーラーのアドバイザーも務める。(株)モト・マニアックス代表。「Yahoo!ニュース個人」オーサー。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

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