明治維新150周年、佐賀で幕末をあじわう【ドライブコース探訪】

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肥前さが幕末維新博覧会
肥前さが幕末維新博覧会 全 19 枚 拡大写真

明治維新150周年にあたる今年、各地で記念イベントが行われている。薩長土肥(薩摩・長州・土佐・肥前)の一角を占める佐賀で来年1月14日まで開催されている「肥前さが幕末維新博覧会」に、ゴールデンウィークのツーリングの道すがら立ち寄ってみた。

【画像全19枚】

博覧会の中心、幕末維新記念館は佐賀城跡の市村記念体育館に設置されている。まず写真撮影コーナーでプロカメラマンに記念写真を撮ってもらい、中へ。

館内は「幕末維新」体感シアター、「技」からくり劇場、「人」賢人ラウンドシアター、「志」ことのはのむすび、の4コーナーに分かれ、係員の誘導に従って順に見学していくというシステム。

佐賀は幕末四賢侯のひとりに数え上げられる維新当時の藩主、鍋島直正が良いものを佐賀にとどめず日本のためにという哲学を持っていたこと、新しいものの導入に積極的な土地柄であることなどが影響してか、歴史的遺物が非常に少ないのが特徴。ゆえに「苦肉の策として映像演出を中心とした展示を制作してみた」(イベント関係者)ということであったが、実際に見てみると、それらのコンテンツはきわめてシンプルながら、幕末における佐賀の躍動感を存分に示す素晴らしい内容に仕立てられていた。

幕末の日本において海外列強の脅威を身近に感じ、先進技術の導入と国産化にことのほか熱心だった国といえば、現在NHK大河ドラマ「西郷どん」でも描写されている薩摩のイメージが強い。薩摩が琉球方面で外国船との小競り合いをたびたび経験し、海外情報を独自に得ていたことから、早くから産業革命に乗り出していたのは事実だ。

が、海外との交流の場であった長崎の警護を担当していた佐賀の先進性、世界情勢への慧眼は正直、それ以上。なた、溶鉱炉の高温に耐える煉瓦を作る技術がなく、大砲を作っても作っても破損し、責任に押しつぶされそうな手下に対し、「いくらでも失敗しろ」という姿勢を貫いた鍋島直正の姿勢は、現代の企業経営のありようにも通じるものだ。

幕末維新体感シアターでは半円形のスクリーンでその歴史解説が、技からくり劇場では黒子も登場するスキットで鍋島直正の先見の明と手下の技術開発へのあくなき情熱が、賢人ラウンドシアターでは言わずと知れた大隈重信、佐賀戦争の末に非業の死を遂げた江藤新平、島義勇ら藩校「弘道館」出身者と鍋島直正の対話が繰り広げられる。歴史的な展示物なしでここまで維新のスピリットを伝えられるものなのかと、いささか浮薄にすぎる西郷どんに少々呆れ気味の鹿児島人たる筆者としては感心しきりであった。

すべてのコンテンツを見た後、入る前に撮った記念写真を受け取る。小さなスナップは無料で必ずもらえるが、1200円払えば大きな写真ももらえる。せっかくの記念なので筆者は買ってみた。

維新博はこの維新館のほか、大隈重信が学び、後に退学になった藩校、弘道館での学びを体験できる「リアル弘道館」、佐賀ゆかりの葉隠精神の本当のところを知ることができる「葉隠みらい館」などもあり、徒歩で行き来できる。維新館とリアル弘道館、葉隠みらい館の間には鍋島直正を祀った佐嘉神社もあり、その門には佐賀が国産化に初めて成功し、東京・台場にも設置されたという巨大な150ポンド級キャノン砲の復元モデルも展示されている。

会場は長崎自動車道佐賀大和インターから10km弱。佐賀~長崎は一般道の整備状況が悪く、交通の流れが非常に低速な区間が多いので、アプローチは高速を使うのが無難だろう。東に吉野ヶ里遺跡、西に武雄温泉、南に川下りで有名な柳川と、観光資源も結構豊富なので、休日ドライブの目的地としておススメしたいスポットである。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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