NORELは自動車リースではなくウェブサービス… IDOM 北島昇 執行役員[インタビュー]

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同社執行役員 経営戦略・人事・広報 カスタマーサクセス担当の北島昇氏
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「ガリバー」のブランドでおなじみ、自動車の流通現場で大きな存在感を発揮するIDOM(イドム)。従来の自動車流通ビジネスの変革に向けて、自動車リースや中古車フリマなど、新しい領域に積極的に挑んでいる。月々1万9800円からの定額制で、好きなクルマに乗り換え放題というサービス『NOREL』について、同社執行役員 経営戦略・人事・広報 カスタマーサクセス担当の北島昇氏に聞いた。



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雪国でも2WDに乗れる


---:NORELの代表的なユーザー像はどのような方なのでしょうか。

北島氏:多くは2つのパターンに分かれます。ひとつは、クルマが好きでいろいろなクルマに乗りたい、という方です。初期の段階でご登録いただいたイノベーター層の方々はそういうケースが多くて、輸入セダンや国産の高級車など、様々なクルマに乗る方が多いです。

一方で対照的ですが、可処分所得が厳しい子育ての時期に、7年ローンを組んでミニバンを買う、という選択ではなく、この先もライフステージが変わるというなかで、大きな負債を背負わずにすむ、という負担の軽さをご理解いただいて使っている若いファミリーです。

---:ユーザーの具体的な事例はありますか。

北島氏:いろいろなクルマに乗りたい、という方は、待ってました!というくらいの勢いで、3-4ヶ月の短期間でクルマを入れ替える方がいます。「こういうサービスがなければ絶対にできなかったこと」と言っていただけるのは、すごくありがたかったです。

また、2月から全国展開を始めたのですが、青森の方で、これまでは雪があるので4WDのクルマしか乗れなかったけど、夏は2WDでも乗れるので、NORELで乗りたかった2WDに乗れるようになった、というケースもありました。

---:では逆に、購入という所有形態と比べて、NORELのデメリットはありますか。

北島氏:7年間1台の車でいい、という方にとっては割高になるケースがあります。

---:NORELで利用できるクルマは、ガリバーで買い取った車両ということですか。

北島氏:現状、基本的には買い取っているクルマを使っていますね。

---:買い取ったクルマの中から、これは販売、これはNOREL、というように分けているんですか。

北島氏:そうではありません。NORELが在庫を持っているわけではなく、それぞれのクルマが販売されるのか、貸し出されるのか、約定するまではグループとして車両を保有している形です。

あらかじめ分けてしまうと機会損失が出るので、売れれば売る、その前にNORELで契約されれば貸し出す。それがIDOMとしてのビジネスの強みです。

---:そのようにリアルタイムで売り先を決められる仕組みがあるということですね。

北島氏:どの販路で出すのがいいのか、という事に関しては、過去ずっとやってきたビジネスですので、それは元々もっている機能なんです。
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安いプランはそれなり、ではないロジック


---:月額1万9800円から2万円刻みで9万9800円までプランがありますが、どのプランが一番人気がありますか。

北島氏:いまは、5万9800円と7万9800円のプランが同じくらい人気があります。

---:例えば安いほうのプランだと、どのようなクルマに乗れるのですか。

北島氏:一言で表しにくいのですが、安いプランだとそれなりのクルマにしか乗れない、ということではないロジックがあります。なぜかと言うと、当社に買い取りビジネスのノウハウがあり、価値が下落しづらい車種は、当社からするとリスクが少ないので、比較的安いプランに向いているのです。

---:ミニバンやハイブリッド車が人気、などの傾向はありますか。

北島氏:サービス当初は輸入車のセダンなどに人気が集中していましたが、だんだんと分散していって、例えばステップワゴンなども人気があります。いろいろなクルマに乗りたい趣味性の高いユーザーだけではなく、手軽さにベネフィットを感じている方々に広がっています。そういった意味では、ユーザーのボリュームゾーンにだんだんとリーチが広がっているという感触はあります。

手軽さは、クレジットカードで決済できたり、維持費や書類の手続きなどの手間がないことからも来ています。お客様の中には、NORELのサイトに訪問してから1時間たらずで手続きを終えてしまう方もいるほどです。

NORELは“ウェブサービス”


---:個人向けにクルマをリースするサービスが他にも増えていますが、NORELの一番の訴求ポイントはなんでしょうか。 

北島氏:3か月ごとにクルマを乗り換えられることと、あとは車種の多さですね。NORELは、輸入車から高級車、ミニバンまで多種多様なクルマが選べるのがいいところです。

---:100万円単位のお金を一度に払う、あるいは借金をするという買い方ではないクルマの所有のしかた、そういったニーズが一定数あるということでしょうか。

北島氏:僕らは、所有体験をサービスとしてリプレイスする、という考えをもってやっています。NORELをローンチして3ヶ月後に、“いけてるウェブサービス”という記事にNORELが掲載されたんですけど、まさにそこを目指しているということです。つまり、(リースに関わる)リスクやオペレーションはこっちが引き受けるので、お客様には、ウェブサービスに向き合う気持ちで接していただく、という事が凄く大事です。
同社執行役員 経営戦略・人事・広報 カスタマーサクセス担当の北島昇氏



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クルマを“売る・買う・貸す・借りる・使う”


---: IDOMがリースのビジネスを手掛ける意味とはなんでしょうか。

北島氏:大きく3つの理由があります。ひとつは、当社の創業者がクルマの買い取りを始めた時から、「クルマを衣服のように気軽に乗り換えられる状況を作りたい」と考え、きちんと買い取ることで次のクルマに乗り換えるハードルを下げる、という事をやってきました。それまでは下取りしてもらうしかなかったのです。

その後、中古車の小売りをすることで、グレードの高いクルマを買える、という中古車の面白味を提供しました。ただ本当の意味で、衣服のように乗り換えができるか、という事をどうやって実現できるか、という想いは、創業時からずっとありました。

そういった背景に加えて、クルマを借りて利用することに対するハードルがどんどん下がってきて、市場の需要が高まってきたということがあります。

2つめの理由が、当社の戦略であるCaaS(Car as a Service)の一環という意味合いです。クルマに限らず“所有から利用へ”といわれていますが、実際には、市場が一気に“利用”に変わるというわけではありません。そういう状況で、会社としては、“クルマを売る、買う、貸す、借りる、使う”をすべて展開していくことが成長上必要だよね、という経営上の意思決定ということです。

3つめの理由はシナジーです。今のところ買い取り事業をメインでやっていますが、資産効率の観点から、クルマの生涯価値をどう上げるかが戦略上のテーマなのです。

我々がある車両を買い取ったとして、このクルマをオークションで売るのと、小売で売るのと、NORELで実際使ってもらうのと、カーシェアで貸し出すのと、C2Cで出品するのと、どれがいちばんお客様のためになり、かつ我々の利益にもなるのか、という事をきちんと見ていくことです。

---:流通の現場で事業を展開するIDOMだからこそ、ということですね。

北島氏:そうですね。我々は流通サイドですから、お客様にとって最適なパッケージとは何か、という事をきちんと定義していく立場にあると思います。

---: IDOMの全体のクルマの流通を通して、例えばリースだとこの車種が利回りがいい、この車種は販売したほうがいい、といったノウハウが蓄積されているのでしょうか。

北島氏:はい。24年間の事業のなかで蓄積してきたのは、ある特定の車両が3年後いくらになるのか、という予測精度なんですね。算定の仕方や予測精度は当社の価値だと思います。

ただ、いくら利回りがいいといっても需要あっての事なので、ニーズに応じて所有、利用、個人間取引など、広く選択肢を提供できる事がすごく大事だと思っています。

そうやって、売り買いの一瞬の利益だけを見るのではなく、お客様のニーズに応える選択肢を持っている事が、ライフタイムバリューを向上することにもつながるということです。

顧客体験の向上に投資


---:これからのNOREL事業の目標や、目指すイメージはありますか。

北島氏:2019年2月までに年商10億円、という数値目標があり、現在のところ毎月伸びている状況です。

いっぽうで、やはりライフタイムバリューの視点が重要なので、社内で「カスタマーサクセス」というチームを作りました。いわゆるクレームを受けるためのカスタマーサポートでなく、プロフィットセンターとして、いかにお客様の体験を向上したりクロスセルして、最終的にライフタイムバリューを上げていくか。そうすることで、お客様にとっても僕らにとっても、クルマを売買する事でお互いWin-Winになることを目指しています。

(プロフィットセンターとして)お客様の体験を向上する事にお金を使う事ができるので、一例としては、(最低乗り換え期間の)90日縛りというものも、今のサービスの制約事項だと思っていますし、もっと短くできないかという話もある。

---:例えば、オプションを追加すると60日で乗り換えられるようになる、というような事ですか。

北島氏:例えばそうですね。それも含めて、サービスとして向き合ってもらうには、僕らもサービス会社としての投資領域を考えなくてはいけない。クルマの売買は、新規獲得をいかに増やすか、に力を入れることが多いですが、顧客の体験を向上することにもきちんと投資して体験をよくしていく。

いつも思っているのは、本当にいいクルマはたくさんあるし、もっと面白いクルマがありますよ、ということ。生涯に乗り替える車は平均6台ですが、僕らはこれを100台にしたいんです。もしできれば、おそらくユーザーさんにとっても業界にとってもいい事のはずで、そういう事を役割としてやっていきたい。自動車と、変わりゆくユーザーの間をつなぐ役割になりたいということは強く思っています。



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《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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