今回、ヤマハ発動機が「人とくるまのテクノロジー」に出展したのは『MOTOROiD(モトロイド)』と、自動搬送ロボットの『AFV』という2台のコンセプトモデルのみ。機械部品やエレクトロニクス部品の展示は一切しないという、思い切ったディスプレイだった。
「去年は鋳造というテーマで出展しました。今年はどうするかいろいろ検討してロボティクスをテーマにしようと決め、出展物を選んでいます」と説明するのは、企画・財務本部コーポレートコミュニケーション本部企画グループの海野敏夫 主管。自動車の世界に囚われることなく、ロボティクス化や自動化によってもたらされる新しいモビリティの姿を提案した、と考えればいいのだろう。
無人でも自立し、自律移動もできるモトロイドは、すでに東京モーターショーやCESなどで展示済み。しかし今回のステージイベントでは、モーターショーとは異なった切り口で魅力や特徴をアピールしていたのが印象的だった。
たとえば実際の車両のカウルやホイールなども3Dプリンタで製作したことで、開発リードタイムを大幅に短縮できたといったエピソードに聴衆は聞き入っていた。
いっぽうAFVは、工場などの製造現場で自律走行する無人搬送車のコンセプトモデル。名称は「Autonomus Factory Vehicle」を略したもの。上部の半球形のターレットにカメラがあり、人を認識すると一時停止してターレットを回転させてカメラを向けるというユーモラスな動きが注目を集めていた。
しかし走行にはこのカメラは使われていないと聞かされ、いささか狐につままれた気分。実際には車体下部に270°の認識範囲を持つLiDERが搭載され、これで人や障害物を検知している。
カメラは、たとえばオペレーターに周囲の環境や状況を伝えて、監視に役立てたり物流の最適化を促すといった役割などを想定しているという。「AFVをどう使っていこうか。活用方法を探り、問いかけるために出展しました」と海野主管。
ヤマハはこのほか、イベント主催者による企画展示コーナーの「自由な移動の拡大」ゾーンに、立ち乗り3輪モビリティの『TRITOWN(トリタウン)』を展示した。