ボトムズ? ガンダム? なぜ真っ直ぐなの? 開発者に女子大生が質問攻め[動画]

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榊原機械
榊原機械 全 15 枚 拡大写真

群馬県榛東村、JR高崎駅から15kmの小高い丘の上に、ガンダムやボトムズを連想させるリアルな可動ロボットがいる……。そんな情報を聞きつけ、現地へむかった。

【画像全15枚】

ロボットたちが生息する地は、榊原機械。農機をはじめとする産業機械や、アミューズメント機器、ロボットを製造・販売する小さなメーカーで、「案内します」と出てきたのは、同社開発課の南雲正章氏。

「まずはとにかく、乗ってみてください。あっ、その前にまず僕が動かしてみせましょうか」ということで、倉庫のシャッターを開けると、そこには……!?

ボトムズを想わせる『LANDWALKER』と、ガンダムにも似た『MONONOFU』が、不気味なオーラを放って直立している。南雲さんはまず、全高3m40cmの LANDWALKER に乗り込む。コックピットへの収まり方も、ボトムズに似ている。

足で動かし手で撃つ LANDWALKER
キュルキュル、ズッドッドッドッドとエンジンが始動する。「カワサキの4ストロークOHV汎用ガソリンエンジンを積んでいる」という。エンジン音が聞こえてきたかと思うと、金属でできた関節のきしむ音を発しながら、前進しはじめた。

前後進は「すり足」。足の裏につく車輪がまわり、人間のすり足のように前後に動く。転回は、兵隊や体育でみる「まわれ右」のときの回り方と似たような動作で、向きたい方向の足を後ろへ下げ、45度ほど回る。

さらに右ショルダーにつくバルカン砲からは、単発式6発のゴムボールがエアで勢いよく飛び出る。これも、狙われたらほんとうに「怖いっ」と思う。左ショルダーのショットガンからは、連射式6発が飛び出す。

「エンジンは、関節などの各部に配された油圧機構を動かすためにある」と南雲氏。さらに、「LANDWALKER はボトムズから連想してつくったのか?」と聞くと、意外な回答が返ってきた。

着座姿勢から設計していくとこうなる
榊原機械 LANDWALKER
「いえいえ、ぜんぜんそういう発想はない。もともと『いままでにないロボットを』という発注が多いからか、使うパーツから、ベストなかたちにつくっていく。この LANDWALKER の場合は、コックピットのフルバケットシートが設計の始点」

「クルマのフルバケットシートって、想像以上に後ろに倒れて、着座部分が深い。そういうクルマのシートのような着座姿勢の場合は、この『すり足二足歩行ロボット』がベスト。そういう発想からつくっていった」

操縦スタイルもおもしろい。前後方向は右足ペダルを前後に、左右方向は左足ペダルを左右に踏むことで実行する。左右の手を添えるレバーは、それぞれショットガンとバルカン砲を操作するときに使う。

現状は、コクピットのキャノピーにつくカーナビ用モニタを見ながら、ロボットを移動させる。ロボットの股間付近に前後を映すカメラが付いている。「将来的には、これを複数台用意して、対戦ゲームのようなアトラクションを考えている」と南雲氏。「もう少し機敏に動けるようになるとおもしろいんですけどね」と笑っていた。

開発製造費数億円の巨大ロボット MONONOFU
榊原機械  MONONOFU
そして MONONOFU はもっとデカい。全高8.5m、総重量7.3トン。移動方式は LANDWALKER と同じくすり足二足歩行だけど、動力源はエンジン+油圧ではなく、AC200VかDC24Vの電気。

ガンダムと同じく、コックピットは腹部分。操縦は、3面のモニターを見ながら、すり足前後進、旋回、腰上のみ旋回、バズーカ砲発車などを行う。

可動部分はまさにガンプラそっくり。青色のモノアイが点灯し、バズーカ砲を抱える右腕が上がると、「危ない! 殺られる!!」と感じる。

開発した南雲氏に、大学生たちが質問攻め

この日は LANDWALKER と MONONOFU を見学する大勢の大学生たちの姿もあった。彼らは、埼玉工業大学の学生たち約50名。自動車メーカーやサプライヤー、IT系企業などへエンジニアとしてへ就職する学生も多い同大学の「地域学」というフィールドワークで、群馬県にある榊原機械の工場を訪れたという。

印象的なのは、「乗ってみたい人いますか?」という南雲氏の声かけに、すぐさま「はいっ」と手を上げるのは、決まって女子。引率する井門俊治名誉教授(工学博士)や、「地域学」担当の田中正一教授(教職センター長)は、「いま、こうした体験学習に積極的ですぐに挑戦するのは女性。女性がトライしたあとに、男子学生が続いていくという感じ」と話す。

なぜ、埼玉工業大学の学生たちが、フィールドワークで榊原機械を訪れたのか。聞けば、実は南雲氏が同大学の卒業生。そのつながりで、この見学が実現したらしい。

「地域学では、大学のある深谷の政策や、農業と地域教育、富岡製糸場などを講義に取り入れてきたが、今後はこうした体験型フィールドワークをもっと増やしていきたい。実際に見て、触れて、OBのリアルな開発秘話を聞くときの学生の表情は違う」(井門名誉教授)

「国内の私立大学では初」ともいわれる自動運転車両の公道実験も行っている同大学。井門名誉教授は「今後はロボットやドローンといった分野を、こうした地元の民間企業などと手を組んで、学生たちと現場のプロがいっしょになって開発していく時間をつくっていきたい」とも話していた。

見学も終わろうとするころ、「どうして直線的なデザインなんですか?」と、女子学生の質問攻めにあっていた南雲氏。フルオーダー開発・製造の現場事情について、こう説明していた。

「たとえば、量産タイプであれば、金型やプレスなどを開発して、曲面を多用したボディもつくれるかもしれない。でも一点もので、フルスクラッチするロボットになると、一枚の鉄板を曲げて、溶接して、という流れになる。すると必然的に、直線の多いボディになってしまう」と。
榊原機械 開発課 南雲正章氏と埼玉工業大学の学生

《レスポンス編集部》

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