最新の自動運転カーを体感しに大学へ…いまどき高校生のAI志向

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埼玉工業大学 自動運転実験車両
埼玉工業大学 自動運転実験車両 全 8 枚 拡大写真

埼玉県深谷市普済寺。トウモロコシやネギの畑が広がるのどかなこの地で、ZMP製自動運転開発プラットフォーム『RoboCar HV』をベースとした自動運転実験車が、テストを積み重ねている。

埼玉工業大学工学部情報システム学科の研究チームが行う、公道での自動運転車の実証実験だ。同大学は、ことし最初のオープンキャンパスを開いた6月10日、大学構内で自動運転の体験試乗のデモンストレーションを実施。高校生やその家族たちに、自動運転車開発のその最前線を公開した。

「2017年からZMP製 RoboCar HV をベースにした自動運転車の研究・開発を、公道や構内でいろいろ実証実験している。屋根上に設置したレーダーは、全方位3D-LiDARセンサーを2台積んで精度を上げている。さらに、その前後にもレーダーを追加し、この深谷によく発生する濃霧や煙霧での走行影響などもデータとして収集している」と話すのは、同大学工学部情報システム学科、渡部大志教授(理学博士)。

AI分野や自動運転といった世界に興味を持つ高校生たちの列に混じり、記者たちもこのクルマに試乗してみる。助手席側には、走行ルート上のレーダーを立体的に可視化できるモニターがつき、センターコンソール部分には、一般的なクルマには見られない、マウスと緊急停止ボタンがある。

マウスでクリックすると走り出す


渡部教授やスタッフがこの自動運転実験車の後席に座り、助手席に記者が座る。運転席に人は、いない。「はいじゃあ行きまーす」とスタッフが声をかけ、聞こえてきたのは、マウスをクリックする音だけ。と、同時にプリウスがスルスルスル……と走り出す。

大学構内の駐車場を、ほかのクルマを避けながら周回する。ハンドルが勝手にまわり、出発地点に戻ると、緩やかにブレーキがかかる。「安全対策として、後部席に緊急停止ボタンがあり、研究者が同乗し、安全を監視しながら走行する」と渡部教授。

この研究チームは、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)における、「自動走行システム」の大規模実証実験にも参加している。同大学は、私立大学としては唯一の参加機関として、国内外の大手自動車メーカーとともに実証実験を重ねている。

また同大学は、来年2019年4月に工学部情報システム学科にAI専攻(定員40名)を新設することからか、今夏のオープンキャンパス初日には、高校生やその父母たちが想定以上に駆けつけた。大学側は「当初予定していた学科ガイダンスの会場が定員を超えてしまい、立ち席も出てしまった」と、想定外の来場者数にあわてていたようす。

「春日部からクルマで1時間半かけてやってきた」という親子は、この埼工大版自動運転実験車に体験乗車し、こんな感想を話していた。

高校生の視点は機械工学の先のAIへ


「もともと、クルマや鉄道、航空に興味があって、機械やソフトウェアの開発がやりたいと思っていた。でもそれ以上に、AIの世界に興味がわいてきて、自動運転車を触りながら学べる大学とかがないかなって思っていた。先生もいろいろ気軽に教えてくれて、おもしろかった」

また渡部教授は、「垂直視野30度と20度のレーダーを重ねて設置し、16本のレーダを照射しながら、秒間20回転させている。現状、こうした16ラインのレーダーは、遠く行けば行くほどラインが広がるわけだから、20メートル先にいる人間になると、レーダーの線がその人間にたった一本しかあたらないことになる。そうすると、レーダーの密度をあげなければならない」といった技術的なポイントも教えてくれた。

同大学 工学部情報システム学科の佐藤進教授や井上聡准教授は、高校生や父母たちに「来年4月に開設するAI専攻は、PythonなどのAIプログラム言語、深層学習、人工知能概論、自動運転概論などのカリキュラムをそろえる。現在、日本ディープラーニング協会と連携し、高等教育機関としては日本初の、日本ディープラーニング協会G検定・E資格の取得を支援できるよう、認定プログラムを申請しているところ」と伝えていた。

自動運転実験車が大学構内を走る時代……。AI人材育成へ向け、大学も動き始た。

《レスポンス編集部》

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