ハイドロプレーニング現象を体験、その恐怖とプライマシー4の実力

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ミシュラン プライマシー4試乗会
ミシュラン プライマシー4試乗会 全 20 枚 拡大写真

最近のタイヤの高性能化は目覚ましいもので、標準装着タイヤでも低燃費とウェット性能と耐摩耗性能を高いレベルでバランスしている。車の性能向上と相まって、よほどの状況にならなければ、教習所で習うようなハイドロプレーニング現象やスタンディングウェーブ現象など体験したことがないドライバーも多いだろう。

18日に発表されたミシュランのプレミアムコンフォートタイヤ『プライマシー4』の発表前試乗会が開催された。プライマシー4は、前モデルである「プライマシー3」の進化版だが、プレミアムコンフォートの静粛性や乗り心地を維持しながら、摩耗時のウェット性能の低下を抑えている。ミシュランの発表によれば、新品時のプライマシー3の制動距離を100とするなら、プライマシー4の制動距離は95.5とマイナス4.5%短くなる。摩耗時のプライマシー3とプライマシー4では、13.3%も短い制動距離となるという。

試乗会では、それを体験してもらおうと、トヨタ『クラウンアスリート・ハイブリッド』とVW『ゴルフVII』が用意され、テストコースのウェット路でプライマシー4や比較タイヤの制動距離の計測テストが行われた。計測方法は、散水されているテストコースで、指定速度からのフル制動(ABS作動)の制動距離を、GPS付きのセンサーで計測する。クラウンアスリートは60km/hから10km/hまでの制動距離、ゴルフVIIは80km/hから10km/hまでの制動距離を計測した。

使用されたタイヤは、プライマシー3と4の新品タイヤと摩耗タイヤ、それと他社同等性能タイヤの新品と摩耗タイヤ。クラウンアスリートは4台で、プライマシー4と他社比較タイヤの新品と摩耗品がそれぞれ装着された。ゴルフVIIは、プライマシー3と4の新品と摩耗品の比較を行ったが、こちらは2台の車両で、新品と摩耗タイヤを付け替えての実験だ。なお、消耗品タイヤはサンダーでトレッド面を残溝2mmまで削ったものだ。

まず、クラウンアスリートでプライマシー4と他社製品の新品タイヤで比較を行った。スタート地点から60km/hまで加速し、目印のパイロンでフルブレーキングを行う。速度と距離はGPSセンサーが計測するので、減速開始がパイロンと前後しても計測に影響はない。

新品の場合、どちらもブレーキの踏み始めの感触、初期制動で感じるG、ABSの動作に大きな違いはなかった。強いて言えば、比較の他社タイヤの初期制動が始まるタイミングが少し遅れていたくらいだ。感覚として制動距離の違いはなかった(ほぼ同じような止まり方)が、計測結果はプライマシー4の数値の方がよかった。

続いて消耗品での比較だが、他社比較タイヤは、ブレーキを踏んだ瞬間に「あ、これはダメ(ぶつかる)だ!」という感触だった。そもそもペダルを踏んだときの手応え(路面のグリップ感やABSの反応)がなく、減速Gも小さく流れている感覚だ。おそらく最初のひと踏みでハイドロプレーニング状態になっているのだろう。タイヤは路面ではなく水の上を滑っている状態だ(散水は水深0.8mmで調整されていた)。

これに対し、プライマシー4の摩耗タイヤは、新品より遅れるもののすぐにABSの「ゴッゴッ」という音とペダルへのフィードバックが感じられる。ABSを効かせたことがある人なら、非常に安心感のある反応だ。停止までの距離が伸びているのはわかるが、ペダルにフィードバックされるグリップ感もあった。制動距離は感覚的にも見た目にも違っていた。

次にゴルフVIIによる80km/hからの制動実験だ。新品のプライマシー3と4の比較は、ブレーキングの感覚の違いはほとんどなく、プライマシー4の方が若干制動距離が短かったものの、どちらもしっかり止まってくれた。消耗品での試験はクラウンアスリートでの試験と同様に、プライマシー3は減速、停止までの間、怖い思いをする羽目になった。とくに旧モデルの摩耗タイヤの場合、80km/hまでの加速時にハイドロプレーニングを起してタイヤが空転する。そのため、なかなか80km/hまで達せず、なかなかブレーキを踏めないという状態だった。

以上の実験は、すべて制動距離が0.1メートル単位で計測されて自分でも数値を確認しているのだが、タイヤ公正取引競争契約により、決められた条件での計測しか数値を記事化できない。上記の結果は数字を比較しても、消耗タイヤのウェット性能の違いは明らかだった。

《中尾真二》

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