【ルマン24時間】中嶋一貴「長く待ち望んでいた優勝、言葉にならないほど嬉しい」…初優勝トヨタ祝談

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ルマンを制した#8 トヨタの(左から)ブエミ、中嶋、アロンソ。
ルマンを制した#8 トヨタの(左から)ブエミ、中嶋、アロンソ。 全 8 枚 拡大写真

2018年ルマン24時間レース(16~17日決勝)で宿願の総合初優勝を1-2で成し遂げたトヨタ、その選手・チーム首脳からも喜びの声が届いた。一昨年にはゴール目前で勝利を逃すなど、自身にとっても悲願達成となった中嶋一貴は「言葉にならないほど嬉しい」と語っている。

結論からいえば、今年のルマン総合優勝戦線は最高峰LMP1クラスで唯一ハイブリッドマシンで戦うトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)の圧勝だった。ノンハイブリッドマシンで走る他のLMP1勢はルール面での“調整”もあったとはいえ、結局のところ絶対スピードでトヨタTS050の2台には対抗し得ず、さらにはトラブルやアクシデントで瓦解、2日目の朝を迎える頃には1周13km以上のコースで10周差をつけられていた。

一方のトヨタ勢は、ほぼ順調。対他的なマージンがあったことも織り込みつつ、課題だった“強さ”の面を磨き込んで盤石のレース運びを見せた。それがわずかに破綻を見せたのは、残り2時間を切ってからの7号車 小林可夢偉組スローダウンの状況だったが、これは給油予定周回のピットインを誤ったことへの“対応策”によるもので、今回のレース展開においては大事には至らなかった(僚機8号車との優勝争いも、この前の段階で実質的にほぼ決着しつつあった)。

優勝した8号車のドライビングクルーは、中嶋一貴(日本)、セバスチャン・ブエミ(スイス)、フェルナンド・アロンソ(スペイン)の3人で、いずれも初のルマン総合優勝。2016年に残り数分で勝利を逃している中嶋とブエミにとっては、まさに悲願達成、大願成就となった。

中嶋一貴のコメント
「ついに長い間待ち望んでいた優勝を手にすることができ、言葉にならないほど嬉しいです。最高のチームメイトとともに戦ったTS050 HYBRIDは、全くトラブルもなく素晴らしい性能を発揮してくれました。トヨタ自動車が1985年の参戦以来、待ち望んでいたルマン優勝を勝ち獲ることができたのは、これまで携わった多くの方々の努力の結晶であり、とても誇りに思います」

セバスチャン・ブエミのコメント
「今日の優勝は自分のレース人生のなかでも最高のものだ。レース終盤の数周は2016年の悪夢が思い出され、ゴールする瞬間までは半信半疑だった。ゴールした瞬間に、チーム全員の努力が実り、すごいことを成し遂げた実感が湧いてきたよ。クルー全員とともに喜びを分かち合いたい」

フェルナンド・アロンソのコメント
「世界3大レースと言われるルマン24時間で、優勝という最高の結果が得られてとても幸せだ。厳しい場面の連続で、それがずっと続く“ルマン”では集中力を保ちながら、やるべきことを確実に実行することが求められる。今日のレースは終盤まで2台のTS050 HYBRIDが1分以内という厳しい状況だったが、チームとして1-2フィニッシュという最高の結果も得られた。とても満足している」

ルマン初参戦、LMP1で走るのは2レース目ながら、夜間ドライブでも良いペースを維持するなど、アロンソはさすがF1チャンピオンという走りで、立派に勝利に貢献。これでアロンソは、F1モナコGP、インディ500、ルマン24時間という世界3大レース制覇にリーチをかけた。来年以降、インディ500に昨年以来となる挑戦をして勝てば、過去にグラハム・ヒル(1962&68年F1王者)しか前例がないとされる世界3冠の快挙達成となる。

小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ-マリア・ロペスの7号車は2位。当然ながら彼らも勝ちたかったわけだが、1-2でのトヨタ初優勝を一様に喜んでいる。可夢偉も一定以上の満足感を示す。

小林可夢偉のコメント
「8号車のスタッフ、そしてチーム全員におめでとうと言いたいと思います。トヨタは何のトラブルのないまま最後まで走り切れる車両を作り上げるという、素晴らしい仕事をしました。本当に素晴らしいことです。我々ももちろん勝利を望んでいましたが、8号車は本当に強かったです。ルマンのような耐久レースでは、リスクを冒すことなく車両をコントロールして戦っていかなくてはなりません。そういう意味でも、2台が揃って無事に完走できたことは良かったです。2位に入り、トヨタの1-2フィニッシュの一翼を担えたことにはとても満足しています」

そして2012年からの現行体制でのトヨタの挑戦、ハイブリッドレーサーを仕立ててのルマン参戦において技術面の“顔”であり続けた存在が、現在はチーム代表も務める村田久武氏だ。その言葉にも万感の想いが込もる。

村田久武氏のコメント
「このチーム全員でルマン優勝を遂げたことをとても誇らしく思います。ようやくトヨタにとって悲願だったルマン24時間を制覇することができました。これまでの関係者の厳しい努力の積み重ねと決して諦めない強い思いに心から感謝したいと思います。これまで経験してきた厳しく辛い結果を乗り越えて、やっとつかんだのが今日の表彰台の真ん中です。本当に素晴らしい瞬間でした」

トヨタが最初にルマンに挑戦したとされるのは1985年で、この時のドライバーのひとりが中嶋悟さんであり、その長男・中嶋一貴が生まれた年だったというのも、何かしらの縁を感じさせるトヨタ初優勝であった。

総合およびLMP1クラスの3~4位はレベリオン・レーシングの2台だった。日本でもお馴染みの強豪選手、アウディ時代にルマンで3回の総合優勝を経験しているアンドレ・ロッテラーが乗る1号車は4位。また、ジェンソン・バトンが乗ったSMPレーシングの11号車(LMP1クラス)はレース序盤に長期のガレージインを強いられる苦しい展開となり、やがて走行を再開したが、最終的には残り1時間を切ったところでマシントラブル発生とみられる状況でバトンがコースサイドにストップ、リタイアとなった。

LMP2クラスではG-ドライブ・レーシング、 J-E.ベルニュらが乗る26号車がクラス1位(総合5位)でゴール(下記*参照)。メーカーバトル華やかなLMGTE-Proクラスはポルシェの1-2となり、92号車 M.クリステンセン組が勝利している。LMGTE-Amクラスの優勝もポルシェで、デンプシー-プロトン・レーシングの77号車 C.リード組が栄冠をつかんだ。同クラスの日本人ドライバーが乗るフェラーリ2台は、澤圭太のクリアウォーター・レーシング 61号車がクラス8位、石川資章のMRレーシング 70号車が同9位だった。

今回のルマン24時間レースは、世界耐久選手権(WEC)2018/2019シーズンの第2戦。この“スーパーシーズン”は来年のルマンを最終戦とする全8戦の予定で構成されており、次戦第3戦は8月19日決勝の英国シルバーストン戦となる。その次、第4戦は日本の富士スピードウェイが舞台で、10月12~14日の開催。トヨタ勢にとっては凱旋レースということになる。

(*追記=日本時間19日午前:LMP2クラスの2台に技術的な理由で失格裁定が出たことがレース終了翌日に発表された。そのなかには上記26号車=クラス1位ゴール車も含まれている。チーム側には96時間の控訴期間があり、今年のルマン24時間レース正式結果の全確定にはしばらく時間がかかる見込み)

《遠藤俊幸》

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