JR西日本は6月19日、およそ470億円を投入して吹田総合車両所のリニューアルを実施することを明らかにした。
同車両所は、網干(あぼし)総合車両所(兵庫県太子町)と並ぶ、JR西日本屈指の検修設備。2012年6月に検修態勢の見直しなどを図るため、京都総合運転所や吹田工場、森ノ宮・奈良・日根野各電車区の検修部門が統合されて発足。大阪環状線、阪和線、関西本線(大和路線)、山陰本線(嵯峨野線)、湖西線、草津線といった近畿エリアで運行されている車両のメンテナンスを担っている。
今回のリニューアルは、吹田工場を承継した大阪府吹田市の「本所」と呼ばれる施設で行なわれ、2019年春頃から2028年度末までの予定で、建替や耐震補強、新規設備の導入が行なわれる。新しい本所は検修棟や倉庫、入出場棟が新築され、台車検修棟は耐震補強や検修ラインの改良が図られる。
新規に導入される設備としては、編成一括車体昇降装置、台車等部品自動搬送装置、自動塗装装置、輪軸検査装置、高所からの墜落防止設備、台車枠反転装置などがあるが、とくに編成一括車体昇降装置は、これまで編成を1両ごとに外して、車体をクレーンで吊り上げていた作業を解消し、編成をまるごと昇降させながら車両メンテナンスを行なえるという画期的なもの。移動を伴なわないため、スムーズな検修ラインを構築できるとしている。
JR西日本ではこれらのリニューアルで、生産性や車両品質の向上、作業の安全性や作業環境の向上、大規模地震時における近畿エリアの安全運行の確保を図れるとしている。