燃費より走破性? スバルらしいハイブリッド「e-BOXER」搭載 フォレスター

自動車 ニューモデル 新型車
新型 スバル フォレスター 発表会
新型 スバル フォレスター 発表会 全 20 枚 拡大写真

20日、正式に国内発表された新型『フォレスター』は、ドライバーモニタリングシステム搭載のハイブリッド(e-BOXER)車、「Advance」グレードが予約の4割を占める。ハイブリッドシステムは『XV』とほぼ同等だが、新型フォレスターのSIドライブ、Xモードのチューニングは同車向けに施されている。

スバルのハイブリッドは、CVT(変速機)の前に、エンジン、モーターがつながったトルコンが配置される。クラッチはエンジンとトルコンの間、CVTの出力軸の2箇所に設置される。方式はホンダのIMAに似た、パラレルハイブリッドに分類されるものだ。

エンジンはFB20(2.0L直噴DOHC、107kW(145PS)、188Nm)。モーターは100V 10kW(65Nm)のものが搭載される。発電用のモーターは搭載せず、駆動用モーターの回生によってバッテリーに充電する。バッテリー容量は4.8Ah。フォレスターからリチウムイオンバッテリーになった。

スバル方式のハイブリッドの特徴は、構造がシンプルでコストメリットの他、信頼性が高いこと。そして、2つのクラッチによりトルク制御の幅が広がること。トルコンとCVTによるパワーロスがあるものの、AWDに必要なパワー制御のしやすさ、スバルならでは信頼性(安心・安全)へのこだわりから、この方式を採用したという。

開発はトヨタとの共同開発とのことだが、『プリウス』のハイブリッドシステムはプリウスとしての正常進化を遂げすぎて、いささか機構が複雑だ。初代システムの問題点を改善していった結果、補助的な機構が増え、部品点数も増している。乗用車でもオールマイティが求められるAWD、とくにSUVではシンプルさ、信頼性の高さは重要だ。

e-BOXERもSIドライブとXモードに対応する。SIモードは、モーターを利用することでトルクカーブの設定の幅が広がっている。インテリジェントモードは、高速走行でもトルク不足を感じさせずエコドライブを可能にする。スポーツモードは、発進加速などモータートルクを利用したかなりスポーティーな味付けを行ったという。おそらく2.5Lのガソリンエンジンモデル(Touring、Premium、X-BREAK)よりもキビキビした走りを見せてくれるのではないだろうか。

Xモードは「ディープスノー/マッド」モードにすると自動的にVDCがOFFとなる。新雪にはまったときやぬかるみ脱出にはVDC OFFが不可欠だが、新型フォレスターでは手動による切り替えが必要ない。LSDは搭載されないが、代わりの機構としてタイヤ空転時にブレーキを独立制御することで、空転タイヤにトルクが逃げるのを防ぐことができる。これは、悪路脱出以外、ブレーキベクタリングとして悪路走破、走行性能にも寄与する。

さらに縁石のような大きな段差、石などを越えるとき、クロカン4WDにあるような超低速ギアのような走行制御もできるという。これもモータートルクを利用できるe-BOXERならではだ。

ハイブリッドはもちろん燃費・環境性能にも影響する。しかし、スバルのe-BOXERはそれよりも操縦安定性、走破性を考えての、いかにもスバルらしいハイブリッドシステムといえるだろう。

《中尾真二》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』が日本導入…6月の新型車ランキング
  2. トランプ関税に「ジタバタしない」姿勢のトヨタも、米国市場で7月1日から値上げ[新聞ウォッチ]
  3. ケーニグセグ、1625馬力の新型ハイパーカー『サダイアズ・スピア』発表
  4. 【ダイハツ ムーヴ 新型試乗】「カッコよさ」盛り込んだ軽ハイトワゴンの逆襲…中村孝仁
  5. 雨天・高速走行時の浮き上がりを防ぐ! ダイハツ『エッセ』など4車種用「スポーツエアロワイパーブレード」を発売
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  4. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る