横浜ゴムは7月26日、理化学研究所(理研)、日本ゼオンとの共同研究により、バイオマス(生物資源)から効率的にイソプレンを生成できる世界初の新技術を開発したと発表した。
イソプレンは自動車タイヤなどに使われる合成ゴム(ポリイソプレンゴム)の原料として使用される炭化水素。現在、ナフサ熱分解の副生成物として工業的に生産されているが、イソプレン生成技術を確立することで、石油への依存度が低減でき、二酸化炭素削減に貢献できる。
3者は2013年から共同研究を進め、2015年にコンピューターで人工代謝反応を新規設計する「in silico代謝設計技術」を用いてイソプレンの新規合成法を発見した。新技術はこれを進化させたもので、世界初となる新しい人工経路の構築と高活性酵素の作成により、優れたイソプレン生成能を持つ細胞を創製、細胞内で出発原料であるバイオマス(糖)からイソプレン生成までを一貫して行うことに成功。さらに生成したイソプレンを重合してポリイソプレンゴムの合成を実現した。
自然界ではイソプレンはメバロン酸(糖から生成した中間物質)から5段階の反応を経て生成することが知られているが、今回構築した新しい人工経路はメバロン酸からイソプレン生成までを2段階で行える。さらに高活性酵素は自然界の酵素では不可能な驚異的なイソプレン生成能を持つ。これらを本来イソプレン生成能を持たない大腸菌に導入してイソプレン生成能を持たせることで、効率的なイソプレン生成を人工的に行うことができる。なお、同じく合成ゴムであるブタジエンのようなジエンゴムにも本技術が適用できることを確認している。
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