【スズキ スーパーキャリイ 試乗】「農家の味方」はなかなか快適でござる…中村孝仁

試乗記 国産車
スズキ スーパーキャリイ
スズキ スーパーキャリイ 全 21 枚 拡大写真

キャビンが長く、広くなったキャリイ


スズキ『スーパーキャリイ』というクルマに乗った。いわゆる軽トラである。キャビンを少し長めにとった、アメリカ的に言うならエクステンドキャブというやつだ。

エクステンドキャブなどと呼ぶと、妙にかっこよく聞こえるのは気のせいか? 兎に角働くクルマなど、滅多に乗らない。この仕事を長くやっていても、引っ越しなどのプライベートなことを除けば、トラックなどまず乗らない。とりわけ軽トラとなると、ホームセンターから大荷物を引き取る時に借りたのを思い浮かべる程度で、試乗という名目で乗ったことはこれまでに一度もなかった。そもそも、これまで自動車メーカーが商用車の広報車を持つ事などほとんどなかったから、そんなチャンスがなかったともいえる。

【画像全21枚】

ところが最近、スズキのみならず、ダイハツも、いわゆる働くクルマを広報車のラインナップに入れているので、日ごろ乗ることの無いこんなクルマたちに乗ってみたいという欲求も出てきたというわけである。

人にやさしいクルマになった


スズキ・スーパーキャリイは、キャビンスペースを僅かに後方に伸ばして、ドライバーズシート背後にスペースを作ったもの。おかげでキャビンスペースにゆとりが出来たが、必然的に荷台、即ちトラックベッド(こう言うとやはりかっこよく聞こえる)が狭くなるのだが、それでも伸ばしたスペースは、いわゆる空中浮遊型だから、ベッド自体の長さはノーマルのキャリイほとんど変わらない長さを維持している。

具体的にはキャリイの荷台フロア長2030mmに対して、スーパーキャリイは1975mmある。ただしキャビンが後ろに出っ張ってきた分、高さが230mm以上ある長尺荷物を積むスペースは1480mmとだいぶ苦しくなる。

一方で室内は、ノーマルのキャリイと比べたら格段に快適だ。一番のゆとりを感じるのは運転席側で最大40度もリクライニングしてくれること(助手席側は24度)。おかげでコンビニで買い物をしてちょっと一休み、なんていう時もとにかくくつろげる。また、シートのスライド量も伸びていて、どんなドライバーにも対応可能となっていることも朗報だろう。

これまでの軽トラだと、自分のカバンは助手席。もし、もう一人乗ってくると、それは助手席側床下に置くか、さもなければ助手席の住人に持ってもらわなければならない。しかし、スーパーキャリイだと、二人がカバンを持っていても問題なし。さらに、アクセサリーを使ってフックなどを利用すれば、アイデア次第で如何様にも使えそうである。というわけで、ほとんどシートを倒すことのできないノーマルの軽トラと比べると、ずいぶんと人にやさしいクルマになった気がした。

軽トラ最強の50ps


エンジンとトランスミッションは50ps、63Nmの3気筒NAエンジンと5MT、3AT、それに5AGSと3種のトランスミッションが選べるが、試乗車はこのうち5MT。因みに出力50psは軽トラ最強だそうである。

最近の軽自動車の乗り心地が良くなっていることは多くのモデルに乗って実感しているが、まさか軽トラまでよくなっているとは思わなかった。引っ越しなどで、2トントラックなどは良く乗るが、空荷状態だとその乗り心地はひどいもので、とてもじゃないが快適とは言えないレベル。それが今回試乗したスーパーキャリイはとりあえず、これならOKのレベルである。静粛性だって、なかなかだ。シートのほぼ真下にエンジンがあって、しかもそのフロアもほとんど鉄板剥き出しで、遮音をしていないことを考えれば文句の言いようがない。

5速MTは、ほとんどのケースで発進は2速の方がスムーズに走れる。1速は完全な坂道及び積載状態用で、空荷の場合は使う必然性は感じない。こういうクルマでハンドリングを云々するのは野暮だろうが、正直路面のうねりや横風などの外乱にはかなり弱い。東京都内の一般道路を走っても時々修正舵をあてないとまっすぐ走ってくれないから、高速は相当に気を使いそうな印象を受けた。

■5つ星評価
パッケージング ★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★
フットワーク ★★★
おすすめ度 ★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来40年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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