15万人のライダーが大集結…ハーレー115周年イベントは、まさに「USA」なスケールだった

モーターサイクル エンタメ・イベント
ハーレーダビッドソン 115th アニバーサリー・ミルウォーキー
ハーレーダビッドソン 115th アニバーサリー・ミルウォーキー 全 20 枚 拡大写真

1903年の創業以来、ハーレーダビッドソンが本拠を構える米国ウィスコンシン州ミルウォーキーでは、節目ごとに盛大なイベントがおこなわれている。5年刻みの周期で開かれ、115周年を迎えた今年は8月29日~9月2日の5日間に述べ15万人のライダーが集まった。

なぜハーレー乗りは集まるのか…!? わかる気がした


ミルウォーキーはシカゴの北方130kmに位置し、ミシガン湖に面する州第一の商工業都市。中心部は空港からクルマで20分程度と近い。木曜日に到着すると、街はすでにハーレーダビッドソンであふれかえり、日曜日まで昼夜を問わずVツインサウンドが鳴り響く。街路にもショッピングモールにも、いたるところに「WELCOM BIKERS」のバナーと「BIKE PARKING ONLY」のサインが掲げられ、街全体がライダーを歓迎している。まるでライダー天国ではないか……その光景に目を疑う。日本では何かと邪魔者扱いされるバイクだから、日本人としては信じがたい。

独特の文化がそこには根づいている


ライダーは全米からはもちろん、国境を接するカナダやメキシコからも集まってくる。さらにヨーロッパ各国、ブラジル、インドネシア、中国、台湾、そして日本からも海を越えてファンが来ているから驚く。それにしてもハーレー乗りは、お祭り好きだ。ハーレーダビッドソンというモーターサイクルを通じて、年齢や住む場所、肌の色など問わず仲間意識が芽生える。これは少し特殊かもしれない。実際、筆者もハーレーダビッドソンのロゴの入ったTシャツを着ているだけで、ライダーから握手を求められ「どこから来た?」とスマイルで問いかけられ、その輪に入れてもらえる。これはある種の文化、ハーレー特有のカルチャーだという人もファンの中には数多くいる。

見て回るだけで時間が足りない! 充実のプログラム


街全体がお祭り騒ぎの様相だが、公式会場も決められている。ハーレーダビッドソン本社はもちろんのこと、街の中心近くにあるハーレーダビッドソンミュージアム、そして湖畔の大きな公園や地元の7つのディーラーなどがそうで、それぞれでロックフェスのような音楽ライブが行われていたり、試乗会などさまざまなプログラムが用意されているのだ。

さらにレースイベントが充実していた。ミシガン湖畔では黎明期のモーターサイクル競技を再現したビーチレースが2日間にわたって開催されていた。オーバルトラックでは、1930年代の貴重なマシンも砂煙を上げてバトルを繰り広げ、観衆らを熱狂させている。ライダーのファッションも当時をオマージュしたもので、見ているとタイムスリップしたかのような気持ちになってしまう。

金曜日の夜には、街の中心にあるアリーナでフラットトラックレースがおこなわれた。ショートトラックで大排気量のハーレーが、ハンドルをぶつけ合うほどのドッグファイト。多重クラッシュも頻発し、会場は熱狂的なほどにヒートアップしていく。

アメリカのモータースポーツといえばドラッグレースも欠かせない。0-400メートルをスロットル全開で駆け抜ける1対1の勝負という単純明快さで、人気は衰えない。ハーレーにはドラッグレーサーをモチーフにしたモデルも多く、切っても切れない縁がある。

モータースポーツとともにあるハーレーを再認識


シンプルさならヒルクライムも負けていない。スキー場を利用したレース場では、急斜面をハーレーが駆け上がっていた。ドラッグレース同様、単純明快さがあり、見ていて飽きない。レースイベントを見て回るだけで、イベントウィークはあっという間に過ぎ去っていく。

フラットトラックレースにせよドラッグレースにせよ全米選手権がおこなわれ、ハーレーダビッドソンはファクトリーチームが昔から参戦し続けている。だからアメリカのハーレー乗りにとってレースはとても身近な存在で、Vツインエンジンにレーシングスプリットが宿ることをよく知っている。日本では“ハーレー=ノンビリ走る”もので、モータースポーツと縁遠いと誤解されがちだが決してそうではないのだ。かつてはロードレーサーもあったことは、コアなファンなら承知のはずだろう。

日曜日は6000台規模のパレードが行われ、その幕を下ろしたが、4種ものレースを開催した今回の115周年セレブレーションイベントは、ハーレーダビッドソンのレーシングスプリットを改めて強く主張するかのような印象を受けた。もしや、コンペティションな匂いのするモデルも今後登場予定なのか……!? 楽しみになってくる。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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