【アルピーヌ A110 試乗】この走りと上質感は大人をトリコにする…島崎七生人

アルピーヌA110ピュアに公道試乗

見た目に反してやさしい乗り心地

“FUN TO DRIVE”に偽りのない走り

アルピーヌ A110ピュア
アルピーヌ A110ピュア全 15 枚

見た目に反してやさしい乗り心地

最初に驚かされたのは乗降性のよさ。最近なら『アルファロメオ4C』のように高く幅広なサイドシルを跨ぎ足を慎重に床の上に置き、上体を屈めながらシートに腰を落とす……そんな“苦労”は必要なく、ちょっとしたスポーツクーペ並みのスムースさで乗り込めた。

「社員全員の体型で確認した」というSabelt製モノコックバケットシートも、見た目に反し法外の座り心地のよさ。バケットながらクッションの効きが実感でき快適で優しい感触だし、その上で身体をしっかりとホールドしてくれる。
アルピーヌ A110ピュアアルピーヌ A110ピュア
見回せばインテリアも、ステッチ入りのソフトパッドが随所に使われ、トリム類のチリ合わせも落ち度はなく、上質なフィニッシュをみせる。D/N/Rのセレクトボタンを始め、各種スイッチ類のタッチも吟味された印象だ。

またオーディオスピーカーには、同じフランスのFOCALが奢られる。偶然にもレポーターは最近、自分の愛車に同じFOCALのスピーカー(グレードはアルピーヌのそれのほうが上だが)をインストールしたばかりだが、新車につき音はやや硬めながら、エイジングが進めば、現状のクッキリとした音質がよりしなやかにこなれ、クルマに見合った音を鳴らしてくれることだろう……と思った。

“FUN TO DRIVE”に偽りなし

アルピーヌ A110ピュアアルピーヌ A110ピュア
試乗当日、少し腰を痛めており(だから優しいシートには救われた)、サーキット走行のプログラムはスキップし、何はともあれ公道に出てみた。すると1110kgという軽量な車重からは想像できないボディ剛性の高さ、乗り心地の良さだった。

前:205/40ZR18 86Y、後:235/40ZR18 95YサイズのミシュランPILOT SPORT 4(ドイツ製)から伝わるロードノイズも抑えられているし、何より段差のショックもしっかり緩和される乗り心地のよさも印象的。自然でしっとりとした感触のステアリングも、無用なキックバック、振動を一切伝えず、実に洗練されたタッチに仕上げられている。
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まったくの初対面につき、ワインディング路に持ち込みつつも、ほどほどの走りを試した次第だが、7速DCTで操る1.8リットルターボ(252ps/32.6kgm)は、全域で淀みなく回り、望みどおりのレスポンスでドライバーの意思に応えてくれる。走行モードを切り替えたときの特性の違いは明快で、レースモードでは、これでもかというキレ味で吹け上がりをみせる。

軽さを味方につけたうえ、前:44%、後:56%の理想的な重量配分に仕上げられたというだけあり、切れば曲がり、アクセル操作で楽しい姿勢にも持ち込めるであろう感触は、公道でも実感できた。“FUN TO DRIVE”を標榜したというが、まさしく偽りはなく、しかも大人のクルマ好きの気持ちも虜にするであろう走りと上質感がいい。
アルピーヌ A110ピュアアルピーヌ A110ピュア

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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