【グッドデザイン2018】大賞は「おてらおやつクラブ」、Gogoroが決選投票で次点

「おてらおやつクラブ」の展示
「おてらおやつクラブ」の展示全 8 枚

日本デザイン振興会は10月31日、2018年度のグッドデザイン大賞を発表した。大賞に選ばれたのは、寺のお供え物を貧困家庭に「おすそ分け」する活動『おてらおやつクラブ』。電動モビリティソリューション『Gogoro』との決選投票を制しての選出だ。

大賞は6件の候補の中から審査委員とグッドデザイン受賞者、そして31日にスタートした展示会「GOOD DESIGN EXHIBITION 2018」来場者による投票で決定された。最初の投票で「おてらおやつクラブ」がトップとなったが、「Gogoro」との差がわずかだったため決選投票を実施。最終的に受賞となった。

「おてらおやつクラブ」とは、寺に集まったお供え物を「仏さまのおさがり」として頂戴し、経済的困難を抱えた家庭に支援団体と協力して「おすそわけ」する活動。日本全国で975の寺院が参加し、菓子や果物をはじめ保存食品や日用品などを届けている。

代表の松島靖朗氏は「寺や地域の人々が信仰をもってやってきた習慣を、多くの人たちの力を合わせてつなげる。お寺の“ある”と社会の“ない”をつなげる活動です」と説明する。古くから各地域でそれぞれにおこなわれていた活動を現代の枠組みに合わせて仕立てたことをはじめ、既存の人や組織、習慣などを「つなぎ直す」ことで機能していることなどが高く評価された。

そのいっぽうで、この活動を知ることで、広い地域で貧困が身近な問題になっているということを実感するという側面があることにも気づかされる。松島氏も「多くの人が貧困問題に関心を持ち、当事者として動きはじめるきっかけになればと思います」と語っている。人の感情を揺さぶり、意識を変える契機を作るというのは、まさしくデザインそのものだ。

惜しくも次点となった「Gogoro」も電動スクーターだけでなく、車両やバッテリーシェアリングの仕組み、充電ステーションのネットワークなどを総合したシステムとしてのエントリーだった。電動モビリティで社会を変えたいというメッセージも明快で、「おてらおやつクラブ」に迫る得票となったことにも納得だ。

ちなみに大賞候補にはJR東日本と東京都の『丸の内駅前広場から行幸通りに繋がる景観』も選ばれ、「Gogoro」と同様に19件が選出された金賞になった。トランスポーテーション、モビリティ関連としてはスズキ『ジムニー/ジムニーシエラ』、小田急電鉄『ロマンスカーGSE』も金賞を獲得している。

このほか新しいビジネスモデルや新産業の創出、地域社会の発展や活性化、災害復興に寄与するデザインに焦点を当てた特別賞「グッドフォーカス賞」は12件が選出されている。

なお今年度のグッドデザイン賞には、4789件のエントリーがあった。この中からグッドデザイン賞に選出された全1353件を集めた「GOOD DESIGN EXHIBITION 2018」が、東京ミッドタウンで11月4日まで開催されている。入場料は1000円(大学生以下は無料)。

《古庄 速人》

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