【スーパーフォーミュラ 鈴鹿テスト】2日目トップは野尻智紀…今回はチーム無限の“王車”16号車に乗り1番時計

#16 野尻智紀
#16 野尻智紀全 8 枚

スーパーフォーミュラ(SF)鈴鹿テスト2日目の6日、この日のトップタイムは野尻智紀がマークした。タイムは1分37秒297。SFはこれで今季の公式走行日程を終了し、新型シャシー導入となる来シーズンを迎える。

テスト2日目(最終日)は朝から曇天。温度条件的にも、晴れていた前日に比べると冷え込んだ(それでも12月にしては暖かめだが)。いつ雨が降り出しても不思議はない空模様のなかで、朝8時30分から午前の走行セッション(2時間半)がスタート。そして10時過ぎ頃から、弱めながらも実際に雨が降ってくることに。それ以降はコースインするマシンが激減し、ほぼ“開店休業状態”となってしまった。

午後のセッションは2~4時。やはり強くはない雨が断続的に降る。ただ、ベストタイム比較で午前の約1秒落ち水準という路面状態が保たれた時間帯もあり、コース上はそれなり以上に賑わい続けた。だが、午後が今日の初走行というドライバー以外は概ね午前のベストタイムが2日目総合のベストタイムになる、という状況だった(午前より午後が速かった選手は2名)。

2014年から5シーズン使用されてきたワンメイクシャシー「SF14」は今季が使用最終年。公式のレース、テストに関していえば今回のテストが現状では“最後のお役目”だったが、残念ながら最終セッションは存分な走り納めとはならなかった。とはいえ、素晴らしいスピードを発揮してSFの国際的価値を高めた名車、拍手で送り出したいところだ(なお、ホンダ勢に関しては12月9日にツインリンクもてぎで開催されるホンダレーシングサンクスデイにて、SF14によるデモレースが予定されている)。

2日目のベストタイムは午前セッションの雨が降る直前頃に野尻智紀がマークした1分37秒297。シーズン中はDOCOMO TEAM DANDELION RACING(エンジンはホンダ)で快速ぶりを発揮していた野尻、今回のテストではTEAM MUGEN(ホンダ)の今季チャンピオンカー“王車”である16号車に搭乗してのトップタイムだ。

今回のテストには、今季チャンピオンの山本尚貴と野尻がマシン(チーム)をスイッチするかたちでの参加になった。シーズン中の山本&MUGEN 16号車と野尻&DANDELION 5号車は、ホンダ勢の双璧といっていいスピードを誇っていた。同じ「SF14+ホンダエンジン+ヨコハマタイヤ」のパッケージでポテンシャル自体もほぼイコールと思える両者なわけだが、今回、自分のマシンではない16号車に乗った野尻は変わらぬ速さを発揮しつつ、「けっこう、僕の中では大きな衝撃がありました。それくらい(速さは近くてもマシンの性格は)違います」と語る。

「どこでどうグリップが出て、というところが最初は手探りでしたね」とも野尻は振り返っている。同じマシンで速さがほぼ同じでも、走らせるチーム(体制)が違うと性格は大きく異なってくるもののようだ。「今回のテストでいい経験値を得られました。来シーズンはマシンもかわりますが、どこで走るにしても、これを活かしていかないといけないと思います。きっと山本選手も僕の(今シーズンの)マシンに乗って、いろいろと思うところがあったでしょうしね」と、野尻は貴重な経験を糧に、来季の王座獲りに照準をセットしている。

2日目の2番手タイムは#19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)の1分37秒329、3番手には#18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG/トヨタ)が1分37秒398で続いた。いずれも今季の自身のマシンで走った強豪、さすがの貫禄というところだが、特筆したいのは4番手の#64 アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING/ホンダ)である。初日に続いてSF実戦未参戦組のトップタイム、しかも常にタイミングモニターの上位に位置し続ける安定的な速さを示した。このパフォーマンスが来季の実戦シート獲得に結びつくことを期待したいドライバーだ。

F1界の超大物テクニカルパーソン、空力の鬼才とも称されるエイドリアン・ニューウェイ氏はこの日も鈴鹿のピットに姿を現し、息子ハリソンの走りを実際に見守った。ハリソン・ニューウェイは午前セッションにB-Max Racing team(ホンダ)の50号車で出走し、ベストは1分38秒926で12番手(午前午後総合13番手)。このあとニューウェイは、12月9日決勝の日程で富士スピードウェイにて開催されるアジアン・ルマン・シリーズ2018/2019第2戦に“転戦”する模様。

また、今回のテストにやはりB-Maxから参加したルーカス・アウアー(1987&91年F1日本GP優勝者ゲルハルト・ベルガーの甥、24歳)と、TEAM MUGENの15号車で走ったダニエル・ティクトゥム(2017&18年マカオF3優勝者、今季SFスポット参戦歴もある19歳)は、ともに来季のSFをレッドブルのスポンサードで戦うことが決まったと伝えられている。

2日目は計21人が走行。この日が初走行となったドライバーもいれば、前日とは違うチームのマシンに乗る新顔ドライバーもいるなど、この時期らしい“状況”も散見されつつのテストで、2日間で出走したドライバーは全23人だった。来季もSFのシート数が20を大きく超えることはないと見込まれるので(今季19台)、この先の“イス取りゲーム”は熾烈なものとなるだろう。

全日本スーパーフォーミュラ選手権は来季2019年も4月に鈴鹿で開幕し、ほぼ月イチのペースで全7戦、10月にやはり鈴鹿で終幕するスケジュールで実施される。年明け1~2月にはホンダ勢、トヨタ勢ともに新陣容が正式に決まり、新型SF19シャシーで戦う新シーズンが本格的に動き出す。

《遠藤俊幸》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
  2. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  3. 日本にはないアバルトの高性能SUV、『パルス アバルト』が大胆イメチェン!
  4. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  5. 【BYD シーライオン7 新型試乗】全幅1925mmの堂々サイズも「心配無用」、快適性はまさに至れり尽くせり…島崎七生人
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  5. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
ランキングをもっと見る