札沼線北海道医療大学-新十津川間は2020年5月7日に廃止…石狩川右岸から鉄道の大半が消える

月形町内にある秘境駅の豊ヶ岡駅。廃止区間ではデュアル・モード・ビークル(DMV)の走行試験が行なわれたこともあった。2004年7月。
月形町内にある秘境駅の豊ヶ岡駅。廃止区間ではデュアル・モード・ビークル(DMV)の走行試験が行なわれたこともあった。2004年7月。全 6 枚

JR北海道は12月21日、札沼線北海道医療大学~新十津川間47.6kmを2020年5月7日に廃止すると発表した。12月20日には沿線自治体の当別町、月形町、浦臼町、新十津川町と廃止合意の調印が行なわれ、12月21日付けで国土交通大臣へ鉄道事業廃止届出書が提出された。

札沼線は、桑園駅(札幌市中央区)と石狩沼田駅(北海道沼田町)を結ぶ石狩川右岸の鉄道として、南北双方から建設に着手。1935年10月に全通した。

太平洋戦争中は樺太の鉄道へレールを供出するため、1943年10月に石狩当別以北が休止に追い込まれるという辛い歴史もあったが、戦後は熱心な復元運動が功を奏し、1956年11月までには全線が復活している。

しかし、札沼線は南北で輸送密度の差が大きく、1972年6月には新十津川~石狩沼田間が廃止。札幌に近い桑園~石狩当別間は宅地化の進行や、1974年に当別町に東日本学園大学(現在の北海道医療大学)が開学したことなどから年々輸送密度が増加し、2012年6月には桑園~北海道医療大学間が電化された。

その一方で、北海道医療大学~新十津川間は非電化のまま残され、2016年3月に行なわれたダイヤ改正では浦臼~新十津川間が1日1往復のみの運行に。同年11月にJR北海道が発表した「当社単独では維持することが困難な線区」で輸送密度ワースト1とされていた。

以来、沿線4町では存続の道が模索されてきたが、6月には月形町と新十津川町が、7月には浦臼町が、10月には当別町が相次いで廃止を容認していた。

廃止日が5月7日とされたのは、お別れ乗車の人々がゴールデンウィークに殺到することを見越した措置で、廃止後は代替バスを運行。運行費用やバスターミナル整備などにJR北海道が18億円あまりを支援するとしている。

なお、国土交通省北海道運輸局ではこの廃止届を受けて、廃止の是非を含めずに「関係自治体及び申請のあった利害関係人の意見を聴取する」としている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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