電動車いすのWHILL、歩道を対象とした自動運転システムを発表予定…CES 2019

CESで披露する自動運転WHILL(プロトタイプ)
CESで披露する自動運転WHILL(プロトタイプ)全 8 枚

WHILLは、1月8日から11日までの4日間、米国ラスベガスで開催される世界最大の家電見本市「CES 2019」に、「WHILL自動運転システム」を出展する。ブランド名の「WHILL」は同社が開発・販売する電動車いすの名前でもある。

WHILL自動運転システムは、同社が独自開発した「WHILL自動運転モデル」および、複数の機体を管理・運用するシステムで構成。高齢者・障害者の移動シーンをスマートにする、これまでのMaaSになかった、歩道領域における自動運転システムだ。

世界的な高齢化の影響で、長距離歩行が困難と感じる人は増加傾向にあるとともに、労働人口が減少する中、高齢者の介助に関する人手不足も大きな課題となっている。中でも空港、駅、商業施設などの大型施設では、車椅子の介助や回収に多くの人手が必要となっている。WHILLでは、歩行困難者の社会参加の機会を増やすとともに、介助などの負荷軽減を目的に、空港など施設内での利用を想定した「WHILL自動運転システム」を開発した。

自動車の自動運転の場合は、視野に入れるべき範囲は主に前方と、接触の可能性が高い車体の四隅だが、歩道を走行するパーソナルモビリティの場合は、周囲の歩行者との距離や、家具や柱などの障害物を想定し、周囲全体を視野に入れる必要がある。WHILL自動運転モデルでは、ステレオカメラを左右のアーム部分に1台ずつ搭載し、広い視野角度を実現。機体後方にもセンサーなどを搭載し、後退の際の衝突などに備える。

WHILL自動運転システムの実用イメージWHILL自動運転システムの実用イメージ

これらセンサー群を用いて検知した周囲の状況データを、あらかじめ収集した地図情報と照らし合わせることで、安全な自動走行を実現。乗り捨てたWHILLは自動で待機場所まで戻るなどの運用が可能で、回収にかかっていた人手も減らすことができる。また、通信回線を搭載し、機体の位置情報を一元管理可能。どの場所にどの機体があるかを把握でき、サービス提供者の運用負荷を削減する。

さらに、使用シーンにあわせたオプション・アプリケーションを開発することで、最適な機能を提供。今回のCESで展示するモデルでは、WHILLを呼び出すためのアプリや、乗車しながら運転状況を確認できるタブレット端末、背面のスーツケース格納オプションなども参考展示する。

CES2019でのWHILLの出展ブースイメージCES2019でのWHILLの出展ブースイメージ

現在、WHILLは、スキポール空港(オランダ)、ヒースロー空港(英国)、ラガーディア空港(米国)などでの実用化に向けた協議を関係各社と進めているほか、空港以外にも、スポーツ施設、商業施設、観光地などでの実用化を順次進めていく。また施設以外では、小田急グループほか3社とMaaS連携を開始。将来的には、全世界の歩道領域で公共交通機関のように利用されることを目指し、さまざまなパートナーと協力しながら、2020年を目処に公道での実用化を行う予定だ。

《纐纈敏也@DAYS》

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