モーター・インバータ・変速機を一体化、ボルグワーナーのEVドライブモジュール…オートモーティブワールド2019

iDM:統合EVモジュール
iDM:統合EVモジュール全 8 枚

自動車関連技術の展示会「オートモーティブワールド2019」で、EV向けの一体型統合ドライブモジュール「iDM」を展示していたのは米国のサプライヤー、ボルグワーナー。

【画像全8枚】

iDMは、EV用の駆動モーター、コントローラー内蔵のインバーター、アウトプット用の変速機を一体構造とした電動パワートレインモジュールだ。通常、EVのパワーユニットやインバーターは大容量の電流を流す必要があるため、インバーター自体のサイズが大きくなり、また配線ケーブルも容量の大きい太い配線が必要となる。iDMではモーター部と制御部を一体構造とすることでインバーター、モーター間の配線を省略(直結)している。

一体化できたのは、インバータなどパワー半導体や制御ユニットの小型化もあるが、ポイントは変速機にある。一般的なEVはモーターの出力軸がダイレクトにドライブシャフトまたはプロペラシャフトにつながる。iDMでは、変速機をかますことでモーターや制御ユニットの小型化を実現している。

ボルグワーナーでは、現在、大中小の3種類のiDMを持っている。大型のものは商用車(バンやトラック)を想定したEVパワートレインとなる。中型と小型は乗用車向けのモジュールだ。会場に展示されていたのは、動作電圧は250~450Vと高電圧仕様。ピーク出力は125kW(330VDC)。ピークトルクはホイールあたり2,800Nm。

写真でわかるようにiDM本体は日本の軽自動車にも十分収まるサイズだ。トルク性能などピュアEVのパワートレインとして使えるが、コンパクトなため、たとえば既存のFFをモーターで4WD化するハイブリッドの後輪アクスルに載せることもできるという。つまり、既存モデルのハイブリッド化ソリューションに応用できるということだ。

なお、同社はハイブリッド車のソリューションとして、やはり既存のエンジン出力と同軸上に駆動モーターや発電モーターなどを配置できるモジュール持っており、展示を行っていた。

同社の製品は、EVまでのブリッジとしてのハイブリッドやPHEV向けのモーターアドオンを意識したものが多い。中国市場や既存のOEMメーカーの動向をみながら、2025年ごろをEVシフトの節目とみているようだ。

その一方で、現状では内燃機関向けの製品の展示もあった。ダウンサイジングターボ用の電動コンプレッサー、電動ターボだ。ボルグワーナーの電動ターボユニットは、国内初展示だそうだ。ダウンサイジングターボの欠点は、なんといっても、結局はエンジンパワーが足りないため、とくに低速域でのトルク不足や全体としての運転のしにくさがある(もちろん実用上の問題はない)。

電動ターボは排気を利用しないため、タイムラグなど関係なく任意の過給制御ができることが特徴だ。燃費や環境性能を考えた制御についても同様だ。展示されていた電動ターボユニットは、48Vから400Vまで対応する。排気はコンプレッサーの駆動には利用しないならば、ターボではなくただの電動コンプレッサーではないかと思うが、排気側のブレードは発電に使う。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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