ヤンマーは1月17日、危険海域などで自動航行し、海域調査やスマート漁業などでの活用が期待される「ロボティックボート」の基礎技術および「自動着桟システム」を開発したと発表した。
近年注目を集める自動運転技術は、自動車や農業機械の分野では実用化が進んでいるが、海洋分野では、まだ十分に確立されていない。今回、ヤンマーは、漁船やプレジャーボートで培った造船技術(ハード)と、中央研究所の基幹技術(ソフト)の融合により、海域調査やインフラ点検などに貢献する「ロボティックボート」の基礎技術を開発した。
ヤンマーが実証機として開発した「ロボティックボート」は、ヤンマー造船のガラス繊維強化プラスチック(FRP)の成型技術による小型・低コストでの生産を実現。またミドルウエアを採用したプラットフォームを搭載することで様々な需要に対応できるシステムを構築している。
衛星測位装置(DGPS)や慣性計測装置(IMU)といった航海計器、無線LANや各種衛星通信装置に加え、IRカメラ(1機)、120°広角HDカメラ(3機)、レーダー(1機)、AIS(1機)を搭載。48時間以上の自動航行を実現する。
ヤンマー ロボティックボート実証機は、SIP「次世代海洋資源調査技術」(海のジパング計画)の一環で開発を行い、海洋研究開発機構(JAMSTEC)が実施する海洋資源調査の洋上中継器(ASV)として活用。今後は、大学や研究機関における海洋試験での活用拡大や産業界での実用化を目指していく。
またヤンマーは、関連する自動操船技術として、漁船やプレジャーボートでも搭載可能な「自動着桟システム」を開発。同技術は産業用に限らず、自社商品のボードなどへの搭載も検討し、着桟時の操船の煩わしさの解消と、快適な航行の実現に貢献する。