[カーオーディオ“本格”のススメ]外部パワーアンプを使う楽しさ

外部パワーアンプの搭載例(製作ショップ:ゼプト)。トランクフロアの左右に外部パワーアンプが積まれている。
外部パワーアンプの搭載例(製作ショップ:ゼプト)。トランクフロアの左右に外部パワーアンプが積まれている。全 4 枚

カーオーディオという趣味を、より“本格”的に楽しむことをお薦めしている当短期集中連載。その第4回目となる今回は、“外部パワーアンプ”を導入するという“本格”アプローチについて、その利点から楽しみ方のコツまでをじっくりと解説していく。

なお当特集では、全国の実力カーオーディオプロショップの敏腕インストーラーの方々に講師役をお願いしている。今回は、北海道伊達市に店舗を構える“ZEPT(ゼプト)”の佐々木さんに教えを請うた。今回も濃い話がたくさん聞けたので、それらを詳細に紹介していく。

■“外部パワーアンプ”を使えば余裕を持って音楽を再生でき、かつ音の質感も向上する!

最初に、“外部パワーアンプ”を導入するメリットから教えてもらった。

「ハイエンドメインユニットなら内蔵パワーアンプもなかなかに高性能ですが、通常の1DINのメインユニットもしくは2DINのAV一体型ナビでは、内蔵パワーアンプの性能に多くを望めません。多くの機種はそもそも本体がリーズナブルですからパワーアンプに大してコストがかけられていませんし、ボディサイズが小さいので大きなパーツは搭載できません。結果、大きめの音量で音楽を楽しもうとすると音が歪みっぽくなりますし、細かな再現力も足りません。

クルマのエンジンでも、排気量が大きい方が高性能ですよね。高速道路でも必要が生じれば臨機応変に加速もできますし。しかし軽自動車ではそうはいきません。余裕があるかどうかは違いとして大きいです。乗り心地が変わってきます。

パワーアンプでも、それと同じようなことが言えると思います。例えば外部パワーアンプならば、瞬間的に音量の大きな低音信号が入力されても余裕を持ってそれを再生できますが、内蔵パワーアンプはそもそも目一杯動いていますので余力がなく、その低音を豊かに再生するのは難しいです。また“外部パワーアンプ”を使うと、音の質感も良化します。再生できる情報量も多くなりますから。

特に、スピーカーを市販品に交換した場合には、内蔵パワーアンプの非力さが一層目立ってしまいます。せっかく予算を投じて良いスピーカーを導入したのですから、その良さを味わい尽くせないのはもったいないと思うんです。“外部パワーアンプ”を使えば、市販スピーカーの性能を十分に引き出せます。その観点でも、“外部パワーアンプ”を導入することには利点があると思います」

■使い勝手が良いのは“4chパワーアンプ”。1台でいろいろなシステムレイアウトに対応可能!

続いては、“外部パワーアンプ”の選び方のコツを教えてもらった。

「まずはch数が問題となりますが、お薦めなのはズバリ、“4chパワーアンプ”です。フロントスピーカーをパッシブクロスオーバーネットワークを使って鳴らす場合には、“2chパワーアンプ”が1台あればOKですが、将来的なシステムアップが視野に入っているのなら、“4chパワーアンプ”を導入しておいた方があとあと便利です。サブウーファーを鳴らせたり、プロセッサーを導入すればフロントスピーカーの“マルチアンプ駆動”が可能になりますし。

それに、後からパワーアンプを増設するとインストールスペースを確保する必要が出てきますし工賃もかさんでしまいます。その点でも、最初から“4chパワーアンプ”を用意しておいた方が安心だと思います。

ただし、音にこだわるのであれば、今ある予算をすぺて投入して“2chパワーアンプ”を購入する、というアプローチもアリだと思います。例えば、10万円の“2chパワーアンプ”と同じく10万円の“4chパワーアンプ”とを比べると、1chあたりの金額は前者の方が高いわけですから、性能も相応に高くなります。

もしも音にこだわって“2chパワーアンプ”を選ぶのであれば、小型モデルをチョイスすると良いかもしれません。後からもう1台追加したくなっても、2台ともシート下に収められたりもしますから。

ところで“4chパアーアンプ”を選ぶ場合には、“ブリッジ接続”が可能かどうかを調べておきたいですね。それができると、サブウーファーを鳴らそうとしたときにも便利に使えます。対応力が高まるんです」

■使用するスピーカーとのバランスが大事。試聴会イベントも積極的に活用すベシ!

“スペック”的な部分でのチェックポイントも教えてもらった。

「“出力”は確認しておいた方がいいと思います。使用するスピーカーの定格入力を見て、定格出力の値がそれよりも多少大きいくらいのモデルを選んでおくと安心です。パワーアンプの定格出力が大きい分には差が大きくても構いません。逆に、“外部パワーアンプ”の定格出力の方が小さい、という関係になるのは避けたいですね。

後は、“ダンピングファクター”もチェックしておくと良いと思います。“ダンピングファクター”とは“制動力”を表す数値で、これを見ることでスピーカーをしっかりと止めるられる能力がどれくらいなのかを推し量れるんです。数値が高い方が良いわけですが、問題となるのはスピーカーとのバランスだと思います。スピーカーの耐入力が高い場合は、“ダンピングファクター”もハイスペックである方がマッチしやすいと思います。

その他の数値は、それほど気にする必要はないと思います。“再生周波数帯域”や“S/N比”等も参考程度に見ておけば良いと思います。

“外部パワーアンプ”の性能は、スペックだけでは読み取れません。聴いてみて、好みの音かどうかが重要です。とはいえ、市場に存在しているすべてのモデルの音を聴くことはできませんから、プロショップのアドバイスを聞きながら絞り込んでいくと良い思います。

たくさんの製品の音を聴いてみたいと思ったら、イベントを活用したいですね。お近くで試聴会等々が開かれることが分かったら、そのチャンスは逃すべきではないと思います」

■電源確保は“バッ直”が基本。ノイズ対策、熱対策も重要!

さらには、インストールにおいての注意事項も教えてもらった。

「まず、電源をメインバッテリーから取る“バッ直”はマストだと思います。電源を安定的に確保できないと、性能を十分に発揮するのが難しくなりますから。

あと、ノイズの混入対策もしっかりと施したいですね。特に注意したいのは、電源とRCA入力です。また、熱を持ちやすいタイプの“外部パワーアンプ”であれば、熱の逃げ道を確保することも重要になると思います」

細かな点についても聞いてみた。フロント2ウェイを2台の“2chパワーアンプ”で“マルチアンプ駆動”しようとするとき、ユニットごとで振り分ける使い方と左右で振り分ける使い方とでは、どちらがお薦めなのだろうか。

「当店では、1台をツィーターに、もう1台をミッドウーファーにというように、ユニットごとで振り分ける形を取ることの方が多いですね。左右のコンディションをイコールにしやすいのでコントロールもしやすくなります。対して、左右で振り分ける場合にはchセパレーションが上がります。そこにこだわるのであれば、左右で振り分ける使い方もアリだと思います。

ところで、音にこだわるなら“電源強化”もお薦めです。これについてはいろいろなやり方がありますので、ご興味があれば馴染みのプロショップに相談してみましょう」

最後にまとめてもらった。

「“外部パワーアンプ”の導入は、スピーカー交換をした後の“次の一手”として実に有効です。マニアックにカーオーディオを楽しんでいる気分にも浸れますし。スピーカーを市販品に換えたら、“外部パワーアンプ”の導入にもトライしていただきたいですね。カーオーディオがさらに楽しくなるはずです」

“ZEPT(ゼプト)”の佐々木さんに聞いた話は以上だ。カーオーディオシステムの音を今よりもっと良くしたいと思ったら、“外部パワーアンプ”の導入の検討をぜひに。音が良くなる感動を、今1度味わうことが可能となる。

“本格カーオーディオ”のススメ 第4回“外部パワーアンプ”を使う楽しさとは?

《太田祥三》

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