モビリティをデザインすることの意味と意義…APEVがパネルディスカッションと講演を開催

パネルディスカッション風景
パネルディスカッション風景全 9 枚

1月25日、APEV(電気自動車普及協会)は「国際学生EVデザインコンテスト2019」のキックオフ記者会見を東京大学で実施。これに合わせ、パネルディスカッションと講演を開催した。

パネルディスカッションのメンバーは西村隆(トヨタ自動車東京デザイン研究所、千葉大学卒業)、稲葉理夢(日野自動車デザイン部、首都大学東京卒業)、中部主貴(本田技術研究所四輪R&Dセンター、京都工芸繊維大学卒業)、林貴之(ダイハツビジネスサポートセンター商品事業部、専門学校HAL大阪卒業)。

いずれも同コンテストの第1回(2013年)あるいは第2回(2015年)で入賞し、その後デザイナーとなった4名だ。コンテスト実行委員長の山下敏男氏がモデレーターとなり、コンテスト参加時の思い出や苦労話、後輩へのメッセージなどが語られた。

参加当時を振り返っては「既存のクルマから発想をはじめてしまうと、新しいモビリティの姿にたどり着けない。ワークショップで講師から指摘され、アイデアをもっと飛躍させていいんだと気づいた」、「生活の中で、モビリティがどのように人を幸せにするかを考えたことは、現在の仕事に役立っている」という意見が出された。

後輩へのメッセージとしては「モビリティの用途そのものがどんどん変わってゆく時代。新しいアイデアをどんどん出してほしい」、「授業とは違うところで創造性を発揮できる機会。楽しみながら創造性を発揮できる場に挑戦していってほしい」とエールを送っている。

パネルディスカッションの後には、日野自動車・新事業企画部兼コーポレート戦略部の松山耕輔氏が「モテるクルマから、持たないクルマへ?」という題で講演。「乗り物の魅力」というものは時代とともに変化してゆく、ということを説く内容だ。

「これまでカーデザインとは情感に訴求するもので、これは今後も変わらない」としつつも、時代は「シェアする、すでにあるものをしっかり使う」という方向にシフトしつつあり、メーカーとしてはこれを技術で支え、魅力を生み出してゆくことが使命だと考えていると松山氏。さまざまな移動手段を有機的に繋げ、効率的に連携させることで地域全体の最適化を図ることが重要と説いた。

またアムステルダム(オランダ)やヨーテボリ(スウェーデン)の駅前が交通結節点として鉄道やバス、路面電車など公共交通を使う歩行者の利便性を重視して整備されている例を紹介。「公共交通を使ってみようかな?と思わせるデザインにするということを、日本はもっと学ばなければならない」とした。

「自分で所有しないからアノニマスでいいのかといえば、そうではない。形や色だけでなくサービス内容などで人を惹き付ける魅力が必要。使ってみたいと思わせることが重要で、ここにデザインが大きな役割を果たす」と語っている。

《古庄 速人》

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