ロードスター好きなJR東日本社員の「逆転の発想」が原点…館山駅から真冬の海沿いを走らせて感じた「いいね!」

「オープンカーde体感!! 南房総ドライブ」
「オープンカーde体感!! 南房総ドライブ」全 26 枚

千葉・館山が真冬でも比較的に暖かいからっていっても、オープンカーで走って気持ちいいわけがない。寒いに決まってるし、2シーターで二人の会話もままならない…そんな先入観で館山駅に降り立つ。

館山駅に直結する「駅レンタカー」で待つ、ソウルレッドクリスタルメタリックのマツダ『ロードスター』(ND)S Special Package(AT車)と対面し、一連の“レンタカー出発儀式”をすませて、すぐに海辺へと走らせてみると…これが、びっくりするほど、気持ちいい。真冬なのに。

しかも、レンタル料金は3時間4860円、1日(1暦日)9720円という、一般的な価格の半値ほど。これ、JR東日本グループとマツダの「ありそうでなかったコラボ」による「オープンカーde体感!! 南房総ドライブ」。なぜ、鉄道会社と自動車会社たちが手を組んで、こんなユニークな企画が生まれたのか。

マツダロードスター好きJR東日本社員の思いつきからスタート

駅舎の前でパチリ駅舎の前でパチリ

マツダロードスター開発主査 中山雅氏をして「ありそうでなかった出会い」といわしめたこの企画は、実はマツダロードスター好きJR東日本社員の思いつきが原点だった。

このJR東日本とマツダのコラボ企画の張本人は、JR東日本 千葉支社 総務部企画室 佐藤裕史さん。千葉生まれ千葉育ちの佐藤さんは、初代ロードスター(NA:1989~1997年)、2代目ロードスター(NB:1998~2005年)と乗り継ぎ、さらに「次もロードスターを考えてる。もう一回2代目か、現行(ND:2015~)を」という、自他ともに認めるロードスター好き。しかも大型バイクも乗る。そんなJR東日本社員だった。

「JR東日本 千葉支社としては、館山駅から先の2次交通を充実させる、南房総エリアの観光人口を増やす、という2つのミッションがあります。こうした課題があるなかで、木更津地区駅長の山口さんと話していて、館山からロードスターで走って、南房総エリアのいろいろな味覚、空気、出会いを思いっきり体験してもらうのはどうかと、なんとなく話していた。そこがこの企画の原点です」。

ここで出てくる「木更津地区駅長の山口さん」とは、JR東日本 千葉支社 木更津地区 山口一男駅長。なんと山口駅長も、3代目ロードスター(NC:2005~2015年)乗り。こうしたロードスター好きな二人の思いが走り出し、JR東日本 木更津地区指導センター 副長 宮澤聡さんと共に「企画書をなんども書き直し、マーケティング調査を重ね、マツダやJR東日本レンタリース、地域の人たちの協力を得て、実現できた」と佐藤さんは振り返る。クルマを起点に電車利用の方法を考える、逆転の発想だ。

「運転席と助手席の距離が近いから、親子でも乗ってほしい」

マツダロードスター開発主査 中山雅氏が現行のロードスターを「まるで露天風呂に浸かってるような気分になる」「走るスポーツタイプの露天風呂」というように、実際に真冬の館山の道を走らせてみると、あったかい気分に浸りながら、海沿いの冷たい風が頭上を流れ去っていく…そんな新鮮な感覚で、どきどきわくわくのドライビングが体感できる。

JR東日本とマツダのコラボによる「オープンカーde体感!! 南房総ドライブ」を実際にオペレーションするのは、「駅レンタカー」を運営するJR東日本レンタリース。同社 東京支店 荻原雄也 係長は、「ロードスターは、運転席と助手席の距離が近いから、男女でも女子旅でも、どきどきするはずです。彼氏や彼女がオープンカーを運転しているところをパシャって撮ってあげればインスタ映えするし、盛り上がりますよね」と。

「親子で利用された方から、同乗者との距離が近くて良い、という声もありました。ふだん平日は、父と息子であまり話す機会がないみたいで、週末にロードスターを借りて、いろいろ近況を話したりもできる。露天風呂に浸かってるような気分でね」(荻原係長)。

また、駅レンタカー館山営業所 安田淳子 所長は、「このロードスターを走らせて、購入を決めたという利用者もいらっしゃいました。大型バイクで駅レンタカーにきて、ロードスターで館山を走るといった使い方や、違ったオープンカーを持ってて『ロードスターを試してみたい』という人もいます」と教えてくれた。

ロードスター借りた人だけの特別メニューがうれしい

海が見えた!海が見えた!

JR線で館山駅に降りて、駅直結の駅レンタカー東日本館山営業所でロードスターに乗って、海辺を走らせる。

片手でルーフを開ける、サイドウィンドウを上げ下げ、シートヒーターを調節する、パドルシフトを操作しながら坂道を駆け上がる、海辺のパーキングでクルマをとめる、海がみえるテラス席でランチ、外房線の踏切をこえる…ひとつひとつの動作がいつもと違っておもしろい。

寒いだろうと覚悟していたが、シートヒーターが強い味方だ。ロードスターは風の巻き込みが少ないように設計されているので、体が冷えていくこともない。

前出のJR東日本 千葉支社 佐藤さんや宮澤聡さん(木更津地区指導センター副長)らが、足で稼いだ「オープンカーde体感!! 南房総ドライブ」事業協力店をめぐるのもいい。出発時に受け取った「駅レンタカー利用証明」を店内で提示すると、お得なサービスが受けられる。

ランチで立ち寄ったファミリーオ館山「海山レストラン ボーノ!」は、地元の野菜や魚介を使った料理が魅力だ。この駅レンタカー利用者しか味わえない限定特別メニューを出してくれる。割引やプラス感ではなく、「ロードスター借りた人だけの特別メニュー」という点が、またうれしい。

海山レストラン ボーノ!の特別メニュー海山レストラン ボーノ!の特別メニュー

「電車で駅まで、駅からロードスター」は次の地へ

「館山の道は、花の香りも楽しめる」(安田 所長)といってた。たしかに、波打ち際からの潮、菜の花、温泉の湯気と、嗅覚もいろいろ鋭くなる。

菜の花が咲き誇るフラワーロード菜の花が咲き誇るフラワーロード

「もう返す時間かー」。館山駅に戻って、ロードスターと別れるのが惜しい。もっと走っていたい気分。こんどは2日間借りて、ロードスターから夜空を眺めてみたい。いや、「オープンカーde体感!! 南房総ドライブ」の旅はまだ終わってない。このあと、駅でビールや駅弁を買い込んで、電車のなかで乾杯の時間もある。これも、「電車で館山、駅からレンタカー」のいいところ。

そして実は、このJR東日本 千葉支社 佐藤さんらの発案で生まれた“ロードスター駅レンタカー企画”は、横展開が決まった。3月31日までの「オープンカーde体感!! 南房総ドライブ」に続き、4月以降は、静岡ディスティネーションキャンペーンにあわせて、熱海で展開するという。

《レスポンス編集部》

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