まずは先頭部のみ…北海道ニセコ町で2017年に引退した「ニセコエクスプレス」保存の動き

まずは先頭部のみの保存を目指す「ニセコエクスプレス」。車齢は現在運用されているキハ183系より若かったが、保守面のデメリットが仇となり、3両中2両はすでに解体されている。函館本線小樽~塩谷。2017年11月3日撮影。
まずは先頭部のみの保存を目指す「ニセコエクスプレス」。車齢は現在運用されているキハ183系より若かったが、保守面のデメリットが仇となり、3両中2両はすでに解体されている。函館本線小樽~塩谷。2017年11月3日撮影。全 3 枚

北海道ニセコ町のニセコ町鉄道文化協会は、2017年11月に引退したJR北海道のリゾート車両「ニセコエクスプレス」の保存へ向けたインターネット募金を、クラウドファンディングサイトの「Ready for」で実施している。

「ニセコエクスプレス」は、1988年にニセコ方面へのスキー列車用リゾート車両として誕生。キハ183系特急型気動車と同じ系列だったが、独特の流線型車体を持つ新製車であることから5000番台で区別されていた。

ニセコ方面以外にも北海道内各地で臨時列車として使用されたが、最後は札幌~蘭越間で運行されたこともあってニセコ町とは縁が深い車両で、「同車のふるさとは『ニセコ町』」と考える町民が多いという。

引退後の「ニセコエクスプレス」は、しばらく苗穂工場の構内に留置されていたが、3両編成のうち2両は2018年10月に解体。残るは先頭車のキハ183-5001のみとなっているが、それもこのままでは4月以降に解体される運命にあるという。すでに解体された2両の部品の一部は、キハ183-5001の保存へ向けた保守用部品としてJR北海道からニセコ町へ譲渡された。

ニセコ駅の転車台付近で保存されている9600形蒸気機関車(左)とまみえた「ニセコエクスプレス」のラストラン列車(右)。先頭部分の保存となった場合は、転車台付近に車庫が建設されるという。ニセコ駅の転車台付近で保存されている9600形蒸気機関車(左)とまみえた「ニセコエクスプレス」のラストラン列車(右)。先頭部分の保存となった場合は、転車台付近に車庫が建設されるという。

保存が実現した場合は、ニセコ町教育委員会が所管する「有島記念館」が管理するとしている。保存先は、現在、9600形蒸気機関車9643号が保存されているニセコ駅近くの旧新得機関区転車台付近が候補となっているが、名うての降雪地帯ゆえ、屋外での展示には車庫の建設が必要で、購入・輸送費用を勘案すると、先頭部分7mのみの保存を第1目標としている。

第1目標額は860万円だが、さらに90万円が集まれば1両すべての保存が可能になるという。その場合は車庫の建設費用が不足するため、職員が常駐し、最低限の除雪作業ができる有島記念館で緊急避難的に保存するとしている。

JR北海道からキハ183-5001の保守部品用に譲渡された解体車の部品。JR北海道からキハ183-5001の保守部品用に譲渡された解体車の部品。

2月26日20時頃の時点で19人から15万円近い支援額が集まっており、残る90日で目標達成を目指す。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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