5Gでの救急医療に取り組み、カタルーニャ州政府が推進…MWC 2019

カタルーニャ政府が公開した、5Gを使う救急医療のモックアップ
カタルーニャ政府が公開した、5Gを使う救急医療のモックアップ全 5 枚

MWC2019が開催されているスペイン・バルセロナ州政府とモバイル・ワールドキャピタル・バルセロナ、i2CAT財団、カタルーニャ電気通信技術センター(CTTC)は、MWC 2019において5Gを使った先端救急医療を推進すると発表した。

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これはカタルーニャ政府がカタルーニャを5Gテクノロジーの分野における、ヨーロッパのイノベーションハブの1つに変換する成長戦略の一環としたもの。5Gは大容量だけでなく低遅延であることも大きな特徴で、それは高解像度な映像とスムーズなインターフェイスの実現ももたらす。同政府はそのメリットを最大限に引き出せるものとして、5Gに対応した救急車のプロトタイプを開発。5Gを使った、遠隔操作による救急医療の実用化を世界に先駆けて目指す。

会場にはその救急車のモックアップが展示され、ビデオ映像を上映しながらそのメリットが紹介された。その具体例として紹介されたのは、交通事故を起こした男性が命の危険にさらされている状況下で、現場に駆けつけた救急隊がその状況を詳細にアップロードする。5Gを使って送られた映像はきわめて鮮明で、細部までが手に取るように分かる。遅延も少ないために医師が離れた場所にいてもその状況をつぶさに把握することができるのだ。

状況を把握した医師はそれらのデータに基づき、最良の治療方法をスタッフに伝達。医師が現場にいない状況下でもいち早い適切な治療が行え、死亡リスクの低減につながるというわけだ。もちろん、将来はロボットを使った遠隔治療も視野に入るだろう。特に災害やテロなどが発生した時、一人の医師が複数の現場を掛け持つことも想定される。これはまさに5Gがもたらす最大のメリットとなるのだ。

会場では救急車を模倣したパネルの背後にそのシステムが紹介された。高解像度カメラが4台設置され、患者徒死して想定された人形に対しては遠隔操作でズームアップが可能。離れた場所にいる医師は送られてきた心電図や脈拍、呼吸といった情報をチェックしながら現場の医療スタッフにいち早く指示を下すことができる。スピーカーとマイクも搭載しているので、医師が患者に対して直接呼びかけることも可能となっていた。

ただ、5Gのインフラが整うのはもう少し先という現実もある。そこで当面は4Gネットワークを活用してその経験値を積み上げ、近い将来、整備が進む5Gネットワークへの対応に備えていく。そのためにカタルーニャ政府は参画する企業に対して、5G関連のプロジェクトに積極的に関わり、さらに5Gへの投資を惜しまないことなどを重要な約束として求めていくとしている。その中でバルセロナ市は“5Gシティプロジェクト”を目指し、新たな5Gパラダイムに向けた積極的な働きかけを図っていく考えだ。

《会田肇》

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