同車は、アバルト『124スパイダー』をベースにしたモータースポーツ専用車両だ。アバルト124スパイダーは、フィアット『124スパイダー』をベースにしたアバルトの高性能バージョン。マツダ『ロードスター』と基本設計を共通にしており、生産もマツダの工場で行われている。アバルト124スパイダーは2016年、日本市場にも導入された。
アバルト124ラリーは2016年春、スイスで開催されたジュネーブモーターショー2016において、アバルト124スパイダーと同時にワールドプレミアされた。アバルト124ラリーのネーミングは、およそ40年ぶりの復活となる。アバルトレーシングチームが開発を担当し、2017年シーズンから、実戦投入された。現在はFIA(国際自動車連盟)の「R-GTカップ」に参戦しており、アバルト124ラリーは2018年シーズン、このR-GTカップを制している。

◆300hpを発生する1.8ターボにはトルク特性を向上させるチューニングを実施
エンジンは、市販車のアバルト124スパイダーの1.4リットル直列4気筒ガソリンターボ「マルチエア」(最大出力170hp、最大トルク25.5kgm)に代えて、引き続き直噴1.8リットル直列4気筒ガソリンターボを搭載する。アバルトレーシングチームのチューニングにより、最大出力300hp/6500rpmを引き出す。

◆トランスミッションを改良。トラクション性能の引き上げも図る
トランスミッションの開発部門は、デファレンシャルに焦点を当てて改良を実施。新しいロッキングキャリブレーションを導入する。トラクションコントロールシステムには、ハイ、ミディアム、ローグリップ、ウェットの4種類のマッピングを採用し、タイヤのグリップ状態に応じて、最適な駆動トルクを得られるようにした。

◆最低地上高を40mm引き上げた未舗装路向けの「グラベルロードキット」を用意
2019年モデルには、未舗装路での走行向けの「グラベルロードキット」をラインナップする。2019年モデルの開発では、グラベルを走行するために必要なすべてのコンポーネントを含めた特別なキットを用意し、グラベル向けのセットアップにも焦点を当てた。荒れた路面でも、タイヤと路面のコンスタントな接触を維持し、トラクションとロードホールディング性を向上させるのが狙いだ。
グラベルロードキットでは、最低地上高が40mm引き上げられた。また、グラベルロードキットには、18インチホイールの代わりに、専用の15インチアルミホイールとブレーキディスクを設定した。アバルトは、とくに荒れた路面でのグリップを最適化する、としている。