【浦島ライダーの2輪体験記】ホンダ CBR250RR は「ヤヌス」なバイクだった

ホンダ CBR250RR
ホンダ CBR250RR全 15 枚
16歳の誕生日と共に原付免許を取り、でも、20代はクルマに夢中。アラサーでリターンライダーになるも、40代は仕事に忙殺される。そしてアラフィフで2輪に再々入門。そんな浦島ライダーが、最新のバイクをチェックしていきます!

◆250ccとみくびったワタシを叱りたい


ホンダ『CBR250RR』の第一印象は、「軽い」「低い」そして「シートが硬い」でした。「クォーターバイクトップクラスのスポーツ性能!」と評判なので心して対面したのですが、低い位置から生えるバーハンドルを持って駐車位置から引き出すと、拍子抜けするほどボディが軽い。これは嬉しい。カタログスペックの車重は、167kg(ABSなしは165kg)です。

シート高は790mm。硬めのシートクッションが細身なこともあって、足つきがいい。身長165cm(短足)の自分でも、両足の裏3分の1が接地するので不安がない。シートに跨ると、たしかに他社のフルカウルモデルより前傾姿勢にはなるけれど、「窮屈」とか「ツラい」といったレベルでありません。むしろスポーツ気分が盛り上がる!

いざ走り始めると、「アレッ!?」と再び拍子抜け。180度という素直なクランク角をもつ2気筒エンジンは、スムーズだけれど、アウトプットは排気量並み。早々と、「RRといえども、しょせんは250ccだなァ……」などと見くびった気分になった自分を、いま、ワタシは叱りたい。

というのも、エンジン回転を示すインジケーターが4000を超えると、250RRは蹴飛ばされたかのような加速を始めるのです。7000rpmからはホンダスポーツの本領発揮。ライダーの胸の中でも何かが弾けて、アドレナリンが噴き出します! まったく胸のすく速さです!!

◆目の回るような疾走感。体調を整えてから挑みたい


剛性の高いトラスフレームが組まれたボディはカッチリとしていて、一方、フロントの足まわりは意外にソフト……というか、しなやか。走りは上質で、そのうえバイクの挙動がわかりやすい。ちなみに、リアサスペンションには、贅沢にもアルミのガルアームが用いられます。

249ccの並列2気筒エンジンは、1万2500rpmで38psの最高出力、1万1000rpmで23Nmの最大トルクを発生。スポーティな高回転型ユニットですね。ご存知のようにCBR250RRは、「スロットル・バイ・ワイヤ」を採用。右手のアクセル(グリップ)操作を電気信号に変換して、コンピューター処理を経てから実際にエンジンのスロットルを動かします。パワーユニット制御の自由度が上がることもあって、3種類のライディングモードそれぞれで、フィールが如実に異なる。

デフォルトの「スポーツ」から「スポーツ+」に変更すると、アクセル操作に対するスロットル開度が増加するためか、一段とパワフルになり、噛み付くかのようにエンジンのレスポンスがよくなります。ホンダの2シリンダーは1万4000rpmのレッドゾーンまでキッチリ回るから、エンジンをフルスケール使って走ると、もう、目の回るような疾走感。体調を整えてから挑みたい。

逆に「コンフォート」モードでは、パワーの上昇が抑えられ、グッとおとなしくなる。排気音も静か。メーカーでは、タンデム時の穏やかな走りを想定しているようです。

◆意外なほどの付き合いやすさと、底知れぬポテンシャル


ホンダ入魂のハイテククォーターモデル。価格が83万9160円(ABS付き/グランプリレッド+ストライプ)と聞くと腰が引けますが、ひとたび試乗すると、発売から2年になろうというのに、いまだ国内軽2輪販売で5本の指に入ることに納得させられます。

パワーをほとばしらせながら吹け上がるエンジンと、回頭性のいい癖のないハンドリング。両者が組み合わさって、250RRの「走り」がカタチづくられます。いうまでもなく速いバイクですが、絶対的には250ccの排気量ゆえ、ちょっと慣れれば「手の内に入れられるのでは?」と、ライダーに希望的観測を抱かせる……。そんなところも、魅力のひとつでしょう。意外なほどの付き合いやすさと、底知れぬポテンシャル。CBR250RRは、ヤヌス(※)のような2面性を持つバイクなのです。

※編集部注:ローマ神話の神。頭の前後に顔を持っており、出入口と扉を司る。

《ダン・アオキ》

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