【サバンナRX-3 復活へ】コイツはまだ死んじゃいない…駒場豊の挑戦

作業場に招き入れられたコイツは「サバンナRX-3」。

廃車同然の車両をレストアしようと決意した理由とは?

挑戦者・駒場豊氏(郷田鈑金)が想いを語る。

【サバンナRX-3 復活の軌跡02】コイツはまだ死んじゃいない…駒場豊の挑戦(長野・岡谷)
【サバンナRX-3 復活の軌跡02】コイツはまだ死んじゃいない…駒場豊の挑戦(長野・岡谷)全 7 枚

作業場に招き入れられたその姿は、まるで最期の時を静かに待つ瀕死の兵士のよう。

もう一歩も動けない…。

そう視線を送るかのようなマツダ「サバンナRX-3」に再びエンジンを灯し、走らせるという無謀とも言える一人の男の挑戦を編集部は『サバンナRX-3 復活の軌跡』と題し、連載記事として追いかけている。

瀕死の「サバンナRX-3」に再びエンジンを灯そうとしている挑戦者とは…。長野県岡谷市で自動車販売・整備・修理を営む「郷田鈑金」の社長として、自ら数多くの鈑金塗装を手がけ、ロードスターのレストアを得意とする駒場豊氏だ。本記事では、駒場豊氏のこれまでの歩みと、「サバンナRX-3」のレストアを決意した思いを紹介したい。

◆幼き日の駒場少年が抱いたレースへの憧れ

駒場豊氏の父であり、郷田鈑金の現会長である駒場稔氏が今から45年前に有限会社郷田鈑金塗装として「郷田鈑金サバンナ」を操り、レース活動を行っていたことは前回紹介した。つまり、幼き日の駒場氏にとっては自宅にレーシングカーのある環境はいわば当たり前だったのだ。

「サバンナRX-3が、実際にサーキットで走っている記憶は正直あまり無いんです。ただ、レーシングカーが家にあり、そのクルマを見て育ったから、身近な存在ではあったし、憧れも強かった。何よりサーキットへ行く前のセッティングとして、エンジンを灯した時に自宅のすぐ下の工場で轟く爆音や、オイルの焼け焦げたにおいは未だにはっきりと覚えています」と熱っぽく話した駒場氏。

「いつかはレースに関わってみたい」ー。

レーシングカーのメンテナンスに強い興味を持った駒場氏は、2002年から「郷田鈑金レーシングチーム」として本格的にレース活動へ参戦。チームとして参戦した2010年の富士チャンピオンレースではコースレコードを記録している。

“綺麗なクルマは速い”というベテランメカニックの言葉

レース活動に携わる中で、あるベテランメカニックから言われた言葉が、駒場氏の印象に残っているという。

「速く走るレーシングカーの根本を支えているのは“クルマを一番良い状態にすること”に誇りを持って仕事をしているメカニックなどの裏方さんです。ある時、ベテランのメカニックに“綺麗なクルマは速いんだ”と言われて、ハッとしました。

例えばオイル漏れをした時に汚れが目立つクルマでは、どこからオイルが漏れているか分からないですよね。綺麗なクルマであれば、原因は一目瞭然。クルマを1番良い状態にするには、クルマを1番綺麗にすることが大事なんだと。レストアの根本はそこにあると思っています」

◆今、サバンナRX-3を走らせる意味

郷田鈑金が50周年を迎えた今年、駒場氏にはある思いが。

「20年前に廃車同然のコイツを譲ってもらってから、状態がひどくなってしまったけど、ひどい箇所は一から作り直し、穴が空いている箇所は塞げばいい。基本的に直せないクルマってスクラップにでもならない限り無いと思うんです。そういう意味で手をちゃんと入れればまだコイツは動くし、死んではいないと思うんですよね。メカニックの言葉じゃないけど、このクルマを1番良い状態に持っていきたい。

このレストアには様々な技術要素が詰まっています。樹脂の成形、鉄の溶接、鉄板の曲げ方など…やればやるだけ自分の勉強になるし、それがひいてはこの先のお客様のためになります。正直大変ではあるけれど、自分にとっては50年目の原点回帰なんです」

確かに、完成までの道のりは簡単なものではないだろう。
しかしもう既に、復活へ向けたパーツの分解作業が駒場氏の手によって始まっている。

エンジンが掛かり、颯爽と走り出すサバンナRX-3の姿が、駒場氏には見えているのかもしれない。

次回はいよいよ本格的なレストア過程に突入する様子をお伝えする。

【サバンナRX-3 復活の軌跡02】コイツはまだ死んじゃいない…駒場豊の挑戦(長野・岡谷)

《カーケアプラス編集部@松岡大輔》

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