【KTM 790アドベンチャー 海外試乗】低重心タンクで安定感バツグン!の足長ツアラー…佐川健太郎

ダカール連覇のノウハウを注ぎ込んだアドベンチャー

モロッコの滑りやすいコーナリングでも扱いやすい

オフロードではテールスライドも楽しめる

KTM 790アドベンチャー 海外試乗
KTM 790アドベンチャー 海外試乗全 12 枚

ダカール連覇のノウハウを注ぎ込んだアドベンチャー

『790アドベンチャー』はダカールラリー18連覇を誇るKTMが、そのノウハウを注いで開発したミドルクラスのアドベンチャーモデルである。エンジンはKTM初となる水冷並列2気筒で、昨年登場した『790DUKE』用をベースに低中速寄りの出力特性に最適化されている。

【画像全12枚】

790アドベンチャーには2つのタイプがあり、オンロード寄りの装備が与えられたSTD仕様とオフロード向けに足まわりが強化された「R」仕様がある。両者ともエンジンと車体の基本構造は共通だ。
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STD仕様だが、シート高はアドベンチャーモデルとしては割と低めで身長179cmの自分で両足がべったり着く。それを可能にしているのが車体左右の低い位置に振り分けた燃料タンクだ。満タンで450kmを走破できる20リットル燃料タンクはラリーマシン譲りのレイアウトで、マス集中化と低重心化とともにタンクまわりのスリム化も図られている。元からシート高は830mmと低めではあるが、これが結果的に足着き性にも貢献しているのだ。

もうひとつの特徴がLC8cと呼ばれるエンジンだ。75度位相クランクによるVツインのような鼓動感と2軸バランサーによるスムーズな回転フィールが特徴。小文字の「c」はコンパクトの意味で、単気筒並みの軽量スリムさであることを表している。

モロッコの滑りやすいコーナリングでも扱いやすい

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試乗会が行われたモロッコのアスファルト路面は滑りやすく部分的に荒れていたが、路面をつかむトラクタブルな出力特性と200mmのストローク量を持つ前後サスペンションのおかげで安心してコーナリングを楽しめた。

「R」と共通のフロント21インチホイールということもあり、ハンドリングは軽快というよりは安定性を重視している感じ。低重心ゆえに背の高いアドベンチャーモデルにありがちな倒し込みでのグラッと感がないため、低速ターンでもストレスが少ないのがメリット。実際いろいろなシチュエーションで扱いやすいと思った。

電子制御も最新だ。3種類のライディングモード(ストリート、レイン、オフロード)にMTC(バンク角センサー付きのトラコン)やコーナリングABS、アップ&ダウンシフターなどの電制の進化も著しい。標準のストリートモードではバンク角に応じてトラコンやABSの介入度を最適化してくれるため、その気になればマシンまかせでかなり攻めた走りもできてしまう。デバイスの介入もごく自然な感じで、うっかりMTSを解除して走っていたらリヤがスライドしてしまい、そこで初めてマシンに助けられていたと気付いたほどだ。

オフロードではテールスライドも楽しめる

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ゴロゴロした石が転がる自然のままの荒野にも入っていったが、オフロードモードに切り替えれば出力特性が穏やかになり電制も最適化され、その気になればテールスライドなども楽しめてしまう。とはいえ、軽量といっても200kg近くあるしオンロード寄りのデュアルパーパス用タイヤなので無茶はできないが、STD仕様でも日本の普通の林道ツーリングぐらいなら楽にこなせるはずだ。

必要十分なパワーと快適な乗り心地、進化した電制に守られてリラックスして長距離ツーリングを楽しめる。傑出したオフロード性能を持った足長スポーツツアラーだ。


■5つ星評価
パワーソース:★★★★
ハンドリング:★★★★
扱いやすさ:★★★★
快適性:★★★★★
オススメ度:★★★★★

佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

《佐川健太郎》

佐川健太郎

早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。メーカーやディーラーのアドバイザーも務める。(株)モト・マニアックス代表。「Yahoo!ニュース個人」オーサー。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

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